ミスター・ポテトヘッドがジェンダーニュートラルに 反発する保守派の声

米大手玩具メーカーのハズブロは、映画『トイ・ストーリー』シリーズなどでお馴染みミスター・アンド・ミセス・ポテトヘッドの玩具を、「ポテトヘッド」というブランドのもとで展開を続けることを発表した。また、子どもたちが好きなジェンダーでポテトヘッドファミリーを作って遊べるように、様々なタイプのポテトとアクセサリーを含むボックスセットを発売することも明らかにした。

ブランドというものは利益の追求のため以外のことをすることがある。それが消費者から悪くない評価をされるのは、極めて珍しいケースだが、先日ハズブロがそれやってのけた。ハズブロの代表的な商品、ミスター・ポテトヘッドと、彼の女性版のカウンターパートは今後、よりジェンダーニュートラルな「ポテトヘッド」に変更される。ハズブロのスポークスパーソンはFast Company誌のインタビューで、今回の変更の理由について「変化し続ける社会における環境を反映し、ポテト・ファミリーの意味を改めて定義するためです」と述べた。また、ハズブロのシニア・バイス・プレジデントのキンバリー・ボイドは「カルチャーは進化してきました。子どもたちは、自分の経験を表現することを望みます。ミスターとミセスを名前の前につけるこれまでのやり方では、現代社会における家族構成のあり方にそぐわないことがあるのです」と、語っている。

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この決定は客観的に見て、非常に市場を理解した決断だったと言える。2019年の調査によると、アメリカでは22万人以上の子どもたちが同性同士の両親と暮らしているという事実がある。ハズブロの決定は、同性の親を持つ子どもたちにとっての家庭という経験をより満たすものであるのだ。しかし、今回の変更は、ポテトヘッドの玩具自体に大きな変更を含むものではない。なぜならGIジョーやバービー人形とは異なり、体のパーツを好きな組み合わせにして遊ぶことができることがポテトヘッドの特徴であり、見た目にジェンダー的役割がないからだ。言い換えるならば、ポテトヘッドで遊ぶ子どもたちにとって、その男性性については重要な要素ではない。変な目玉のついた、文字通り単なるポテトだからだ。ドン・リックルズによる、ジョン・ウェイン風のテストステロンを抑えきれていない演技を見なければ、ポテトヘッドに性的な役割があるとは思わないだろう。

一方、ベン・シャピーロのような保守派コメンテーターたちはハズブロの発表を、ポリコレが荒れ狂っているようだと嘲っている。シャピーロはTwitterに「また偏見が圧倒されてしまった」、「ミセス・ポテトヘッドも殺されてしまった。彼女はきっと性別のないプリングルスの缶に取って代わられるだろう」と投稿した。保守派政治ブロガーのエリック・エリクソンは「またしてもボコハラムだ」、「すぐにトイ・ストーリーからミセス・ポテトヘッドを削除するんだろう」とツイートした。さらに、右翼の作家でブイロガーのマーク・ダイスは同様のあまりTwitterに「共和党支持州を脱する時が来た」と投稿した。

共和党支持を辞めるというドラマチックな宣言はさておき、右翼勢力の反応はいつも通りだと言える。結局、昨年Land O Lakesが自社ロゴのネイティブ・アメリカンの女性を変更したときも、今月初めにAunt Jemimaが社名とロゴを100年以上前のPearl Milling Companyに戻したときも、騒いでいたのは同じような人たちだ。なぜいい大人たちが、数百万ドル規模のコーポレートブランドのロゴにこれほどの執着を示すのか早急に解明する必要がある。しかし今回のポテトヘッドの変更では、ここで起こっていることはまさに、ハリー・スタイルズが『Vogue』の表紙にドレスを着て登場した際に起こったことと同じだ。白人かつ男性であることからくるパワーの僅かな残滓にしがみついている人たちは、時代遅れのジェンダー観を守るためならば、喜んで死ぬまで闘うだろう。そしてそれが、二人の母親の家庭で育つ三歳の子どもから、自分の家庭に近いプラスチックのポテトの家族を作って遊ぶ機会を奪ってもいいというならそれでもいい。とにかく、今年のクリスマスに新しいポテトヘッドのおもちゃをプレゼントされるだろう全ての子どもたちに祝福を送りたいものだ。

From:Mr. Potato Head Is Now Gender Neutral and Right-Wing Trolls Are Losing It