半導体市場調査会社であるTrendForceが、各社のガイダンスや受注状況を踏まえた2021年第1四半期(1~3月期)の半導体ファウンドリ売上高ランキングトップ10予測を発表した。

同社の調査によると、2021年第1四半期のファウンドリ市場は前四半期から引き続き堅調で、むしろ生産能力が不足するほど好調で、その結果、需給バランスが崩れ、供給不足に陥る事態となっている。そのためTrendForceでも、同四半期のファウンドリトップ10社の合計売上高は前年同期比20%増という高い成長率を予想している。

また、車載半導体の生産量を増やしてもらいたいという話が各所から出ているものの、家電向けや産業機器向け半導体など、ほかの分野の生産数量とリードタイムを間接的に損なう可能性があるため、ファウンドリ各社はその生産能力の再配分を少なくとも2月下旬段階ではまだ行っていない模様だという。

  • ファウンドリランキング

    2021年第1四半期(1~3月期)のファウンドリ売上高ランキングトップ10 (出所:IC Insights)

市場の過半を占め、圧倒的な存在感を示す首位TSMCの同四半期の売上高は前年同期比25%増と予想され、これは四半期別の売上高としては同社の過去最高を更新する可能性が高いという。特に5nmプロセスの生産が伸びており、同四半期には売り上げの20%を占めるまでに成長する見込みだという。また、AMD、NVIDIA、Qualcomm、MediaTekからの7nmプロセスに対する需要も根強く、こちらも売上高の30%を占める可能性が高いという。

2位はSamsung Electronicsで、同四半期の売上高は前年同期比11%増となる見込み。5G、CMOSイメージセンサ、HPC関連での需要が高まっており、設備投資が継続的に行われているほか、5nmならびに7nmプロセスの稼働率が上昇しているとされている。

3位はUMCで、自動車産業からの需要に加えて、ドライバIC、PMIC、RFフロントエンド、IoT向け半導体などを中心に生産能力の限界近くで生産を続けていることもあり、売上高は同14%増となることが予想されている。そして4位はGLOBALFOUNDRIES(GF)で、自動車関連需要の増加に加え、米国国防総省向けに製造してきた軍事用チップの需要の増加により、こちらも稼働率は極めて高く、売上高も同8%増となることが予想されている。

5位はSMICだが、米国商務省が2020年秋に米国半導体製造装置メーカーが同社に装置を出荷するためには輸出許可証(ライセンス)を必要とする措置をとったほか、同年12月にはSMICをエンティティリストに追加する措置をとったことから同社の先端プロセスである14nm未満のプロセスでの半導体の出荷は減少すると予想されている。しかし、40nmプロセス以上の成熟プロセスに対する需要の高止まりが続いており、その結果、同四半期の同社の売上高も同17%増とプラス成長になる見込みだという。

6位以下で特徴的なのは9位の中Hua Hong Semiconductor(華虹半導体)で、同社は現在、無錫のFab7の300mmウェハの生産能力の拡充に重点を置いている。NOR、BCD、スーパージャンクション、IGBTを含む生産ラインで、これらのプロセス技術はすでに顧客の認定をパスし、同社のビジネスに勢いをつけている模様である。また200mmの生産ラインもフル稼働の状態とのことで、同四半期の売上高も同42%増と大きく伸びる可能性があるとTrendForceでは見ている。