ServiceNow Japanは2月25日、オンラインで記者発表会を開催し、2021年の戦略を打ち出した。執行役員社長の村瀬将思氏が全体の方向性と日本での戦略を説明した。

  • ServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏

売上高は31%増、更新率は99%

グローバルでの2020年の業績として、村瀬氏は総売上高が前年比31%増の45億ドルに、従業員数が1万1000人から1万3000人に増えたことを報告した。顧客企業数は約6900社、2020年第4四半期の契約更新率は99%と、「ほぼすべてのお客さまが使い続けている」と村瀬氏は胸を張った。

  • 2020年のグローバルの総売上高は前年比31%増の45億ドルに

日本での振り返りとしては、コロナ禍で急務となったDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する解決策として、Platform of Platforms(プラットフォームのプラットフォーム)の提案に触れた。NowPlatform上に各部署で使われているプラットフォーム群があり、社員や顧客などはモバイル、Web、チャットツールなどでServiceNowのワークフローに入ることができる。

NowPlatformは単一のプラットフォーム、単一のデータモデル、単一のアーキテクチャであり、エンドツーエンドでデジタルワークフローを実現できる。「ServiceNowがプラットフォーム群を束ねるプラットフォームの役割」と村瀬氏は説明する。

  • 単一のプラットフォーム、単一のデータモデル、単一のアーキテクチャから成るNowPlatform

このようなアーキテクチャを構築することで、通称「2025年の崖」(経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」)に続く「DXレポート2 中間取りまとめ」で指摘されている業務環境のオンライン化、従業員の安全・健康管理のデジタル化、業務プロセスのデジタル化、顧客接点のデジタル化のすべてにおいて、ServiceNowが支援できるという。

一方、村瀬氏は約500社が参加したDX自己診断では90%の企業が「DXはまだほとんどできていない」と回答したことに触れ、「先んじて先行している企業と、やらなければと思いながらできていない企業と二極化がした年だった」と振り返った。

日本企業はこれまで個別最適化を行っており、同じオフィスに従業員が集まり、同じ時間を共存して仕事をするという密結合モデルだったが、「ニューノーマルの世界では疎結合でも業務が行える環境が必要」と村瀬氏。そこでは従業員体験、顧客体験がさらに重要になると指摘した。

国内の導入事例として、カルビーと広島県を紹介

国内の導入事例としては、カルビーと広島県の2つを紹介した。

カルビーではコロナ禍で「30%前後の出社率」を実施・徹底するにあたり、出社状況の把握が必要だった。そこで、NowPlatformを使い、社員の出社申請、上司による承認、人事による管理などを行うアプリをわずか8稼働日で作成したという。

  • コロナ禍で、従業員の出社状況をリアルタイムに把握するためにNowPlatformを導入したカルビー

広島県は、新型コロナの感染拡大防止のためのQRコードを使った「広島コロナお知らせQR」をServiceNow上に構築した。単に陽性判定者と接触していたことを通知するだけではなく、PCR検査の申し込みまでフローをつなげた点が特徴となる。

パートナーも強化しており、グローバルではアクセンチュアとIBM、国内ではNEC、NTTデータとの関係の進展を紹介した。

例えば、NECはすでにServiceNowを使っており、サービスプロバイダー契約の下で自社のサービス内にServiceNowを組み込んでいたが、2020年10月に再編契約も締結した。NTTデータとは2020年12月にServiceNow専任組織の立ち上げを発表、500億円の売り上げを目指しているという。「国内最大手5社すべてとパートナー協業を推進している」と村瀬氏はいう。