「優しい人工知能“reco!(リコ)”-タッチでキヅク、キミとのキズナ」はもう参加しましたか?

日本科学未来館では、人に寄り添う優しい人工知能の実現を目指して、みなさんとともにつくる実証実験「優しい人工知能“reco!(リコ)”-タッチでキヅク、キミとのキズナ」を2020年2月から進めています。(※臨時休館に伴って、約4か月の休止期間がありました)

reco!は各展示に設置されている端末に、展示の感想やご自身の性格に関する簡単な質問への回答を伝えると、あなたにおススメの展示を紹介してくれます。たくさんのデータを積み重ねることで、私たちを優しく見守り、新しい気づきを後押ししてくれる、そんな優しい人工知能をつくる研究です。

reco!についてさらに詳しく知りたい方はこちらのブログをご覧ください

https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20200702post.html

これまでに参加いただいた人数は、なんと10291人!(2021年1月末時点)

ありがとうございます!!

参加者総数1万人突破!ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

このブログでは、“みなさんの体験がどのように研究の未来につながっているのか”について、お話ししたいと思います。「reco!を体験したよ!」「これから体験するよ!」という方はもちろん、「未来館には行けないけど、気になる!」という方もぜひご覧ください。

reco!は困っている人を助けたい

2020年12月19日(土)、reco!の研究者である髙岡昂太さん(産業技術総合研究所 主任研究員)と一緒に、トークセッション「みんなでつくる、優しい人工知能」を行いました。

※みなさんの未来館での体験がどのように研究に活かされているのか、普段は見られない人工知能の仕組みをのぞけます。やさしい内容になっていますので、ぜひ気楽にご覧ください!

トークセッション「みんなでつくる、優しい人工知能」ノート (作:科学コミュニケーター片平)

未来館では、みなさんとお話をしながら展示をおススメしているreco!ですが、髙岡さんはreco!を使って私たちが抱える様々な問題(社会課題)を解決したいと考えているそうです。

例えば、学校や職場、家庭の中でコミュニケーションがうまく取れずにモヤモヤしたり、寂しいな、辛いなーと感じることはありませんか?そのような状態が続いてしまうと、いつの間にか社会や集団から孤立してしまったり、いじめや虐待を引き起こしたり、精神を病んでしまうなど健康被害につながってしまうこともありますよね…。そんな時、reco!が困っている人の相談に乗りながら、集めたデータから最適な方法を推測して、困っている人の代わりに言いにくいことを伝えたり、気持ちが楽になるような提案をしてくれたりしたら、孤独や孤立から抜け出す助けになるかもしれません。

 reco!はそんな “優しい人工知能”を目指しているのですが、でも、優しさってその時によって違いますよね。話を聞いてほしい時やアドバイスが欲しい時もあれば、そっとしておいてほしい時もあります。そこで、トークセッションに参加いただいたみなさんに、ある困ったシチュエーションに対して、みなさんが思う優しさを考えてもらいました。

ストーリーが書かれたおハガキに、アイデアを書いてもらいました
書いたおハガキはポストに投函!

ストーリーの1つを紹介しますので、ぜひみなさんも考えてみてください。

「こんな時、キミがreco!だったら、この人にどんなことを言ってあげるかな?」

今日はなんだか学校に行きたくない。

昨日の音楽の授業中、ひとりずつみんなの前で歌をうたったんだ。

緊張しちゃってよく覚えてないけれど、すっごく下手だったと思う。

放課後もなんだか僕を見て笑っている気がしたし。

今日の1時間目も音楽だなんて最悪。

あーあ、学校行きたくないなあ。

みなさんの優しさが届きました!

みなさんの優しさが書かれたおハガキを読む髙岡さん

松島:みなさんからいろいろな優しさのアイデアが届きましたね。

髙岡さん:いろいろバリエーションがあるのはいいですね。解決策って1つじゃない、多様な内容で時と場合によって選ぶパターンも違うので、いろいろな選択肢を持っているのは大事だと思います。

松島:確かに、同じ人でもその時の気分によって違いますよね。

髙岡さん:未来館の中でreco!が展示をおススメする時には、満足してもらえる確率が①一番高い展示、②中くらいの展示、③低い展示、の3つの選択肢を出しています。将来みなさんにアドバイスをするときも同じように①ピッタリくるんだろうな、②こんなのもアリかな、③普段なら選ばないけどたまにはこれも新鮮かな、というのを出せるようにするのがいいと考えています。

松島:先ほどのストーリーだと、音楽の授業が憂うつだと思っている主人公に対して①一緒に練習する、②上手かったよとはげます、③学校サボっちゃおう、ということですね。

髙岡さん:そうです。一緒に練習をするというのは正論ではありますが、毎回正論を言われても響かないですよね。そういう意味でも、今回みなさんのアイデアを見ていて、幅のある選択肢というのは大事だと思いました。

松島:人によって違うし、さらに、その時によっても違うとなると、どんなオススメを出せばいいのか難しそうです…。

髙岡さん:今回、みなさんにはreco!だったらどうするか、と一緒になぜそう思ったのか理由も書いてもらいました。その理由の中に今後の研究のヒントがあると感じました。たとえば、「はげます」という理由に「しかったら逆効果だから」というのがありました。多くの人は、はげました方が前向きになれるかと思います。一方で、中には歌の練習が何らかの事情で出来ていなかった場合には、理由をユーザーに説明し、適切にしかられた方が心に響く人も居るかもしれません。例えば、日頃の会話・顔認識で読み取る表情・心理状態を知るための脈拍など、取得するデータを増やして、ユーザーがどういったタイプかを推測できれば、その人の特性や状況、環境要因などに合わせて、もっと人に寄り添った“優しい人工知能”になれるのではないかと思います。

全部で43通のおハガキが集まりました、ありがとうございます!

~実際にトークセッションにご参加いただいたみなさんのアイデア(一部抜粋)~

「もっと歌おうよ」…歌った方がいいから、楽しい気分になれるから

「はげます」…しかったら逆効果だから

reco!が1日話を聞いてあげる。勉強に付き合う。学校にはreco!から連絡を入れる。」…学校にいつでもいかなければいけないわけではないけれど、学校や保護者が心配しないようにしてくれるとよいから

「そんなこときにしなくていいよ」…できないきょうかがあってもほかのきょうかができればいいから

「アドバイスをする」…自分だったら、言葉でだいたい立ち直れるから

「みんなが昨日の歌をどう思っているかを知らせる」…自分が思っている印象と、他人の印象には違い があるため

「音楽以外の長所を見つけてあげる」…何か一つのことだけで、人生が決まるわけではないから

「じゃあ一緒に練習しよう!」…不安や沈んだ気持ちをとりのぞいてあげたかったから

「サボっちゃえよっ!」…重く考えるほどのコトでもない気がするから

「次、楽しく歌うために必要なことをいっしょに考える(緊張しなくなる方法、上手に歌を歌う方法、歌の練習の方法」…失敗してしまって落ち込む気持ちをなぐさめても。「次、同じ失敗をしたら…」という不安をぬぐえないと思ったので。同じ失敗をくりかえさないように前向きに考えるのがいいかな…と思いました。

reco!は優しい人工知能を目指してまだまだ勉強中!

reco!を体験できるのは2021年3月31日までです。reco!がどんな質問をすれば、みなさんのことを知れるのか調べるために、2月からは新たな質問を追加しています。未来館にいらした際には、ぜひ参加してくださいね!

そして、ゴールreco!では常時みなさんのアイデアを募集しています!

一番左がゴールreco!、その横に研究者からのお返事動画とみなさんのアイデアを付せんに書いてもらうブースがあります

みなさんからいただいたアイデアは髙岡さんにお届けして、そのお返事はゴールreco!の隣で動画を流しています。ぜひこちらもチェックしてくださいね。

これからも、みんなで優しい人工知能をつくっていきましょう!



Author
執筆: 松島 聡子(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
気づいた時には、化学が好きになっていました。大学院まで学んできた化学で社会に貢献したいと考え、メーカーに就職。その一方で、科学技術の目まぐるしい発展に、希望と不安を抱くようになりました。「地球の未来について本気で考えてみたい!」と思い、未来館へ。