BABYMETALが語る、ヘヴィメタルから教えてもらったこと

BABYMETALの音楽を語る際に「進化」は大事なキーワードの一つ。その一方、ヘヴィメタルには「継承」という側面があって、先人たちが遺したものを受け継いでいくという考え方があるように思う。

ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードから「これからも自分たちの音楽を信じてやり続けてほしい」と声をかけられたSU-METALとMOAMETALはこの10年間、本人たちも気づかないうちに何か大切なものをメタルの世界からたくさん受け継ぎ、そして体現してきた。その多様性と精神性を武器に、海外の大舞台で堂々と勝負できるアーティストになったのだ。道なき道を行く。そんな2人に話を聞いた。

※この記事は現在発売中の「Rolling Stone Japan vol.13」に掲載されたものです。

・世界と日本の「架け橋」になる
 
ー2人は10年間活動してきて、自分たちが今やヘヴィメタルの担い手になっていることに関してはどう受け止めていますか?

SU-METAL:BABYMETALってある意味メタルの進化形みたいなものだと思っていて、私自身もBABYMETALの音楽を初めて聴いた時、面白い音楽だなって感じたんです。メタルは知らなかったけど、すごく聴きやすかった。そんな私たちだから、活動初期の頃から世界のメタルと日本をつなぐ架け橋になりたい、ヘヴィメタルを知ってもらう入口のような存在になりたくて。実際、海外でライブをやり続けていくうちに、日本語の響きが面白いとか、日本の文化に興味を持ちましたっていう方がいらっしゃったり、10年やってきてそういう存在に少しでもなれたかなと思います。日本国内でも同年代の人たちから小さい子たちまで、私たちの衣装や踊りをカッコいいと感じてくれて、メタルという音楽を聴いてくれることもある。私たちはまだまだだと思ってるんですけど、架け橋という意味で少しずつ広まっていってるなっていうのは感じるので、すごくうれしいです。

MOAMETAL:みんなにとってのメタルの入口がBABYMETALになれてるっていう実感も、先陣を切っている実感も私自身はそんなにないんです。でも、私はこの音楽に自信を持ってるし、もちろんメタルをリスペクトしていますし、そういう意味も込めてこれから先もメタルの未来を切り開いていけたらいいなと思います。

ーSU-METALさんはメタルレジスタンス第一章(2013〜14年)を振り返るインタビューで「メタルってすごく100%な感じがする。だから、その感じを一生懸命出さなきゃいけない」と語っていましたが、その「フルパワー!」とか「力の限り!」みたいなイメージってどこから浮かんできたものなんでしょうか。

SU-METAL:イメージとしてメタルは「熱い音楽」っていうのがあって。100%で全力でやってる感じで、CDにはないライブ感がすごくカッコいい。疲れ果てた末に出てきたものが熱い、みたいな。そういうイメージを勝手に抱いていて、だからBABYMETALのライブも昔から振り付けがハードで大変だったりするんですけど、毎回パタンって倒れそうなくらい全力で踊ってましたね。ガムシャラにやってました。

ーMOAMETALさんは当時のライブについて、いま言ったように「とにかくガムシャラにがんばる」「終わった後の記憶が何もない」とインタビューで回想していました。メタルがどういうものなのかハッキリと分からないまま全力で頑張るのも大変なことだとは思うんだけど、当時のパワーの源って何だったんですか?

MOAMETAL:なんだろうな……。当時はガムシャラにやることがメタルだっていう認識はなかったんですけど、ただBABYMETALの音楽を届けるためには自分の中でガムシャラじゃないといけない……そういう気持ちが根本にあったんですよね。それは、BABYMETALの音楽を信じてたからだし、BABYMETALの音楽をいろんな人に聴いてほしい!っていう熱意があったからだと思います。

ーBABYMETALとして有名になりたい!とか、もっと上に行きたい!とかそういうのではなく?

MOAMETAL:いや、特にそういうのはなかったんですよ。当時はTVに出たいとも思わなかったし。目の前に与えられたハードルがいつも高すぎるし、よく分からないようなすごい目標が毎回降ってくるので、その目標を達成することに精一杯で、有名になりたいとか、あれがしたいとか、そういう欲望は全然なかったです。

ーその後、2013年のサマソニでメタリカと出会い、SU-METALさん曰く「メタルって耳で聴いちゃいけない。心で聴くものなんだなと気付かされた」そうですね。そう思わせるほど、メタリカの音楽やライブパフォーマンスに感動したのは何でだと思います?

SU-METAL:なんだったんですかね。メタルという音楽を聴くことはあっても、ライブで観る機会があまりなかったんです。その時のメタリカさんのライブは、シンプルに音がズサズサ心に刺さってくる感覚があって。目が離せない、一歩も動けなくなるみたいな。 自分が考える前に音が体中に入ってくるっていうか、そういう感覚が初めてだったんです。「なるほど! これがメタルっていう音楽の力なのか!」って。何を歌ってるか分からないはずなのに、ステージとの距離感も近くて通じ合ってるというか、すごく不思議な感覚だったんですよね。その時にメタルっていう音楽を一瞬で教えてもらった感じがしました。今でもその感覚は、言葉では説明できてないですけど、私の中に染み付いてるものです。BABYMETALとしてメタルをやっていく中で、あのライブがあったからこうやってライブができてるなって思ってますね。

MOAMETAL:私も衝撃的でした。単純に音が大きかったからっていうのもあると思うんですけど、オーディエンスもすごく熱かった。私もそのメタリカさんのライブを観た瞬間にメタルってめっちゃカッコいいじゃんと思いましたね。それまでは白塗りの人たちが何か分からないことを歌っていて怖い!っていう印象だったのが、メタリカさんの音楽を通してメタルのカッコよさを教えてもらった。何で自分の中でカッコいいと思ったのかは今でも分からないんですけど……心に響いた音楽です。

ーバックステージでもお会いしたんですよね。

MOAMETAL:はい。本当に優しい方たちで、人柄にも惚れ込んでしまったというか。まだ無名な私たちに対して一緒に写真を撮ってくださるなんて、あんな大御所の方たちがそのために時間を割いてくださるとは思わなかったし、とても親切にしていただきました。


海外で培った胆力とパフォーマンス力
 
ー2014年、BABYMEATLの初めてのワールドツアーについてSU-METALさんは「雰囲気的にドイツのゴリゴリのメタル感に圧倒された」と語っていましたよね。ヨーロッパのメタルファンって「これはメタル! これはメタルじゃない!」というジャッジが厳しそうな感じがしますけど、本物のメタルファンが何万人もいるようなフェスの舞台を通して、2人が気づいたことや学んだことは何かありますか?

SU-METAL:それまで海外に行くことが全然なかったので、身体にいろんな絵を彫った人を見るのも初めてでしたし(笑)、しかもそういう人が大勢いる中でライブをする。そういうところに戸惑うところから私たちの海外ツアーはスタートしたんです。フランス、ドイツとまわって、イギリスのソニスフィア・フェスティバルにも出演して、フランスは日本のカルチャーが大好きな女の子たちが多くて、私たちをカワイイって目線で見てくれて、ドイツの人はメタル寄りで見ていたから、短い期間でも私たちの見られ方が全く違うということにまず驚いて。そして、ソニスフィアでは、みんなBABYMETALを知らない状態。「誰だろう? この子たち」っていう、すごくアウェーな環境でした。むしろ、私たちのことを嫌ってた人もいっぱいいたんじゃないかなって。

でも、その時に思ったことは、反応が素直だなって。日本だとライブを観ていて誰も手をあげないと、恥ずかしくて自分から手をあげにくかったりするじゃないですか。向こうの人って楽しいと思ったらそういう反応を示すし、そういうのがすごくリアルにわかって。だんだん波のように自分たちの音楽が広がっていく、しかも海外で、メタルのフェスで、っていうのが見えた時は本当に感動しましたね。



MOAMETAL:ドイツのメタラーの人たちは正直最初怖かったです。ステージから見ててもすごい怖い顔してるし……って思ってたんですけど、次第に彼らは本当にメタルを愛してるんだなってことに気づいたんですよね。自分が好きな音楽を愛しているから、私たちを品定めするような感じで「本当にコイツらメタルを愛してるのか? 俺たちと同類なのか?」っていう目でチェックされてるんだなって。私たちも愛を持ってメタルをやってるし、この音楽を信じてメタルをやってるから、ちゃんと自分たちの信じてる音楽を届けるしかないと分かって、それを体現してたらどんどんキツネサインが広がって、「伝わるってこういうことなんだな」ってうれしくなりました。

ー逆に終始緊迫した状態で……みたいなことはなかったんですか?

MOAMETAL:ステージに出た直後はアウェーなことばっかりでしたね。

SU-METAL:海外だとスマホで動画撮影するのが当たり前なので、お客さんの顔ではなく頭上に掲げられたスマホが目に入るっていう状況にまず驚いて。でもライブが激しくなってきてモッシュが起こると、そのスマホが減ってくんですよ。それが面白いなと思いました(笑)。

MOAMETAL:向こうのフェス会場って敷地が本当にだだっ広いじゃないですか。だからお客さんがライブ中に捌けていく様子も全部見えるんですよ。私たちは「ああ、捌けていっちゃった」ってことに、最初はショックを覚えたりしたんですけど、ツアーの途中から「あの人は捌けちゃったから、BABYMETALのステージの後半の曲は聴けないんだ」とか、動じないようになってきたし、逆にライブの途中から見に来てくれる人も目に入るようになって、そうやってアウェーでも楽しめるようになっていきましたね。

ーそうやってタフになっていったと。

MOAMETAL:日々鍛えられていった感じです。若いなりにその大変さを理解してなかったのもよかったなと思ってて。今だったら怖がってしまうようなことも、割とへっちゃらにできていたので。毎回がトレーニングだったけど、すごく楽しかったです。

SU-METAL:誰も教えてくれないし何も知らなかったからできたことなのかなって思いますね。そんな中で毎回学んでいって。普通に考えたらあの規模のライブで学べる人っていないと思うんですよ。だけど、私たちはそれが毎回だったから。

MOAMETAL:しかも勉強してから行くんじゃなくて、勉強せずに行く。その場で学ぶしかない。

SU-METAL:アハハ。吸収力も高かったしね。

MOAMETAL それが当たり前だと思って勉強するから、どんどんいろんなことを覚えていきました。


ブリクストンで披露した「Road of Resistance」

ーダウンロード・フェスティバルの創始者でありメインのブッキング担当、アンディ・コッピングは以前「(他の国に比べて)日本のメタルファンは忠誠心とリスペクトがある」と語ってくれたことがあるんですけど、そのへんはどう思いますか?

SU-METAL:海外のライブってすごい自由なんですよ。国にもよるんですけど、ファンの人が曲のノリを生み出すというか。今まで私たちのライブで一回もやったことがなかったのに、気づいたらお客さんが座って一斉にジャンプしてたり、みたいな。お客さんとライブのノリ方を毎回作っていってるみたいな感覚が多いんですけど、日本のファンの方は私たちがやりたいことをやらせてくれる気がします。私たちがここで見たいと思った景色をちゃんと見せてくれるというか。そして、みんなで音楽を楽しんでる。私たちのパフォーマンスだけじゃなくてみんなで作る「場」っていうものを楽しんでるんじゃないのかなっていう印象があって。海外で盛り上がっているBABYMETALのライブの様子ってYouTubeでも見れるじゃないですか。だから「日本のファンも負けてられないぞ!」っていう感じで、日本に帰ってくるとすごい熱量なんですよね! 闘志を燃やしてる感じが伝わってくる。

MOAMETAL:SU-METALが話してるのを聞いて、そういう部分が忠誠心なのかなという気もしました。あと思うんですけど、海外には有名なメタルフェスがいくつもあって、そういったフェスツアーが出来るのに、日本はまだ少ないじゃないですか。メタルのファンの人がたくさん集まるフェスやイベントが増えればいいなって思います。

ー2014年11月の英ロンドン・ブリクストンアカデミーのステージで初披露した「Road of Resistance」についてMOAMETALさんは「初めて聴いたときに自分なりに”めちゃめちゃメタルだな”って思った」と回想しています。この頃になると「メタルは耳で聴くのではなく、心で聴く」ということも、すごく実感を伴ったものとして自分たちの中にあったのでは?

SU-METAL:ブリクストンのライブはお客さんの熱量が本当にすごくて、私たちのことを知ってくれて、BABYMETALが観たくて来てくださった方たちばかりで。そんななかで「Road of Resistance」を披露した時に、この曲の意味が理解できたんです。それまで1年間、海外をまわってきて正直アウェーみたいな状況だったわけですけど、会場のお客さんがみんなで私たちの歌を歌って後押ししてくれた。そして、私たちがこれから進むべき道は道なき道なんだ、っていう歌詞の意味までしっかり入ってきたんです。メタルの曲って、ライブでこそ意味がわかるというか。耳で聴く音楽じゃなくて、自分の心と体で体感できるものなんだなって。私たちが何を託されているか、自分たちが今後やらなきゃいけないこと、いろんなことを瞬時に吸収しましたね。

MOAMETAL:私もブリクストンでの「Road of Resistance」は本当に記憶に残ってますね。初披露なのに盛り上がって、しかもみんなで肩を組み合って体をぶつけ合って楽しんでる様子を見て、メタルって耳じゃなくて心で聴いて、心でぶつかり合って楽しむ音楽なんだなってことに気がつきました。「Road of Resistance」の間奏の部分、みんなで歌うところがあるんですけど、別々の国の人たちが一緒に楽しめることがすごく楽しいって思ったし、みんなで一つになりたい、みんなで一つの曲を作ろうっていう感覚がすごく快感で、幸せな瞬間でした。


メタルが持つ「物語性」
 
ーテクニカルなところで言うと、メタルって「速さ」っていうのも大切な要素の一つだと思うんですよね。でもそれはいろんな要素があってこそ。70年代後半以降のハードロックに大きな影響を与えたヴァン・ヘイレンのギタリストで10月に亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンは、いわゆる「速弾き」に革新をもたらした人なんだけど、彼いわく「ロックンロール・ギターは、ブルース・ギターと同じように、メロディ、スピード、テイストがあるべきだし、それ以上に重要なのは、感情があるべきだということ」って話してて、BABYMETALの音楽にもメロディ、スピード、テイストがあるなと思ったんですよね。

SU-METAL:「Road of Resistance」の堂々としたカッコよさっていうのは速さから出ているものだと思うんですけど、その演奏に合わせて私が歌うメロディは速いというより、どっしりと流れるような感じなんですよね。速さと遅さってミスマッチな感じがするのに、「Road of Resistance」はすごくマッチしている。それが美しいと思ったんです。私たちはメタルの音楽の楽器演奏に関して細かい部分までは理解できていないのかもしれないけど、一曲の中にいろんな要素が詰まってるからこそいろんな物語を引き出せる。そういう魅力がメタルにはあるんじゃないかなと思います。

ーMOAMETALさんはどうですか。ダンス視点で見ると、こんなに速いツービートで踊ることもないと思うんですけど。

MOAMETAL:BABYMETALのダンスってどんなジャンルなのかなって考えた時、ヒップホップでもないしなんだろうなって思うんですよね。だから人に説明する時も「どんなダンスなの?」って聞かれても「”BABYMETAL”っていうダンス……?」っていう感じになってしまう。でもそうやって一からBABYMETALのダンスとして学んできたから、意外と大変じゃなかったというか、そういうものとして練習してきたからそこまで苦戦はしなかったんです。逆に、最近になって3rdアルバム(『METAL GALAXY』)に入ってる「BxMxC」とか「Brand New Day」とか、ちゃんとしたダンスの要素が入った曲には苦戦して。私はBABYMETALのダンスが得意なんだなって気づきました!



ーちなみに音楽以外でメタルの「カルチャー感」を感じるところって何かあります? 僕は20年くらい前にイギリスのオズフェストに初めて行った時、家族連れがたくさんいることに驚き、若者のファッションが「ヘヴィメタル!」というよりはゴス系の人も結構多くて、そういうのを見て「文化として溶け込んでるんだなぁ」と思ったのですが。

SU-METAL:日本のロックフェスに行くぐらいの感覚でメタルフェスに来てる若者も多ければ、音量大丈夫かなっていうぐらい小さな赤ちゃんを連れて観ているお父さんとか、いろんな方がいて不思議です。日本でメタルを聴いてる人たちって、どちらかというと年齢層が高い方が多いイメージですけど、向こうだとファミリー文化みたいな感じ。私たちのライブも、映画館に来るのかなぐらいの感覚で。近所でやってるから行ってみるか、みたいなノリでライブに足を運んでくれるというか、そういうラフな感じでメタルを楽しんでるのはすごく不思議でした。

MOAMETAL:確かに海外はメタルが文化に溶け込んでる感ありますね。日本もそういう風になればいいなと思います。


盟友BMTHと神様ロブ・ハルフォード

ーメタル界の仲間であり盟友という意味で、ブリング・ミー・ザ・ホライズン(以下BMTH)の存在も大きいですよね。BMTHのEP『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』収録の「キングスレイヤー」ではついに共演が実現。ヴォーカルのオリヴァー・サイクスはこの曲について「まず、彼女たちには日本語で歌ってほしかったんだよ。スペシャルなものにしたかったからね。僕は彼女たちが日本語で歌うのが好きだし、それがキャッチーだと思うから」と語っていました。実際、すごくキャッチーな仕上がりでBABYMETALらしさが出たコラボになりましたよね。

SU-METAL:これまで他のアーティストの曲に参加することがなかったので、世界観を壊してしまうんじゃないかなとか、大丈夫かなって思ったりもしたんですけど、日本語で歌ってほしいというオーダーであったりとか、BABYMETALの曲にありそうな感じのサビであったりとか、私たちの良さをよく知ってくださってるというか。BMTH×BABYMETALっていう曲をしっかり作ってくださったのがすごくうれしくて。私もこの曲を聴いた時に、英語詞が多かったので自分にとって歌うのはチャレンジだったんですけど、ぜひやりたいと思ったし、新しい音楽が見えました。お互いの今までやってきたものが組み合わさって素敵なマリアージュじゃないけど、コンビネーションになったなって。これがコラボなのか!って。そういうものを学ばせてもらって、こんな機会をいただけてすごくありがたいなと思いましたね。

MOAMETAL:素敵な楽曲を用意していただいて、しかもBMTHの曲なのにこんなに参加していいのかっていうぐらい、BABYMETALの要素がめちゃくちゃ強いじゃないですか。それぐらい心の広い方たちなんだなっていうことも再確認できたし、そんな人たちと一緒に楽曲が作れたことは本当に宝物だなって思います。5年ぐらい前に出会って、その時から一緒に曲を作りたいねって言ってたことが今になって叶ったんですけど、この5年間お互いが意識し合ってリスペクトし合ってきたから出来上がった曲だと思ってるので、出会えてよかったなってつくづく思いました。私たちも一番最初にコラボできたのがBMTHでよかったねって話はいつもしてますね。





ーBMTHは仲間って感じだけど、BABYMETALの「STAY METAL」の由来でもあるジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードは正に「メタル・ゴッド」ですよね。そんな神様とは2016年のオルタナティヴ・プレス・アワードで共演しているわけですが、どんな方でしたか?

SU-METAL:長年修行を積んできた感……?

MOAMETAL:仙人みたいな? わかる!

SU-METAL:そう! 仙人感がオーラから出ていて。裏では本当に優しい方なんですよ。ロブさんと共演した時はジューダス・プリーストさんの曲だったので、私があんまり前に出ちゃいけないんじゃないかなと思ってちょっと引いてたんですけど、「ガンガン来ていいよ! もっと一緒にやろうよ!」って、私たちの音楽を認めてくださってるのもすごくうれしかったし、新しいものに対して柔軟に反応してるんだなって。ただでさえ纏ってるものがレジェンドで、私はその時代に生きてないから実際に何がどうなってたのかとかその時の人たちのことは全然わからないけど、すごいことは分かりました。そういう方なのに、まだ進化し続けようとしている姿とか、すごく尊敬できるなと思いましたね。

MOAMETAL:私も一番最初に会った時は海外のフェス会場だったんですけど、ロブさんって人がすごい人だということは正直そこまで分からなかったんです。でもお会いした時に後光のようなものが差してたんですよね。それこそ仙人感というか。みんなが神として崇める気持ちが分かるなって思いましたね。たぶんそういうのって、その人の人間性もあると思うし、何に対しても負けないハートみたいなものが伝わってきたからなのかなぁ……。すごくカッコいい人だなと思って、これがメタルゴッドなんだなって子供ながらに感じました。



ーロブのInstagramも最高なんですよ。猫のTシャツ着てたりして。

MOAMETAL:カワイイ(笑)。共演させていただいた時も、すごくキラキラした可愛いブレスレットを用意してくださったり、カッコいいとカワイイを両方兼ね備えていて。

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前日に決まったスクリレックスとの共演
 
ーメタルにまつわる話をしてきましたけど、Apple Music 1のDJでもあるゼイン・ロウに取材した時に「BABYMETALはオルタナティブなグループの中で、最もエキサイティングなライブアクトの一つ」と語っていたのですが、メタルの未来を担うグループという見方もされつつ、そうじゃない面白がられ方をしているのもBABYMETALの特徴ですよね。レディー・ガガやレッチリとの共演も然り。

SU-METAL:ある意味、BABYMETALは”BABYMETAL”というジャンルなのかもしれないです。それはもちろんメタルに対するリスペクトもあるし、進化した新たな音楽を生み出してるからこそで。レディー・ガガさんのサポートをやらせてもらった時も、どちらかと言うとポップスをメインで聴いてる客層の方々ばかりだったんですけど、衣装が可愛いとか振付が面白いとか、BABYMETALを好きになってくれる入口はみんな違う感じがして。音楽ってジャンル分けされてるけど、実はそういうのってあんまり関係ないのかもしれない。見方によってはもしかしたら私たちはポップスなのかもしれないし、違う音楽なのかもしれない。人によっては「これはメタルじゃない」って思うのも、それはそれでいいと思うんですよね。

MOAMETAL:本当にその通りで、BABYMETALはつくづく固定概念をぶっ壊してるグループだと思いますね。今もなおメタルじゃないっていう風に言われることも多いですし……。グラストンベリーに出た時も盛り上がってくれてる人もいれば、もちろん捌けていく人もいたわけで、そうやって好き嫌いが分かれるからこそ楽しめるというか、熱中してくれてる人もいると思うので、面白い音楽ですね(笑)。私自身はいろんな音楽のジャンルの中間にいられればいいなって。それこそ架け橋というか、何かと何かをつなぐ存在が常にBABYMETALだったらめちゃくちゃ幸せだなと思いますね。



ーそういう意味で僕が印象深かったのは、2015年のULTRA JAPANのスクリレックスのステージにサプライズで登場したことです。その時現場にいてめちゃくちゃビビったんですけど……。

MOAMETAL:私たちもびっくりしました!

ーあの日の共演について何か覚えてることはありますか?

MOAMETAL あれは、イベント前日にお話があって。ステージに立っていても私たちが出ていいのか分からないというか(笑)、メタルとは畑が全然違うところじゃないですか。すごく不思議な感覚でしたね。

SU-METAL:EDMのフェスってBABYMETALからしたら普通はアウェーになると思うんです。でもスクリレックスさんがミックスしてくれた「ギミチョコ!!」だったから、お客さんも自然とノッてくれて、BABYMEATLの曲ってそういう力も持ってるんだなって。私たちは出るまで大丈夫なのかな?って不安だったんですけど、出たらすごくアットホームな感じで。「いいよ! おいで!」って感じだし、お客さんも盛り上がってるし。そういう音楽にも化けるんだなって思いました。


10代の成長期の10年間、一緒に戦ってくれる仲間がいた

ー10年の歩みを振り返ってみると、「時間」と「記憶」と「成長」の重みっていうのをひしひしと感じますよね。時間が記憶を形成していくし、記憶が成長の糧になる。こうしてキャリアを振り返る取材もたくさんしてると思うけど、その中であらためて気づいたり整理できたりすることとかもあるのでは?

SU-METAL:あらためて思うのはBABYMETALはある種の私の人生で、それこそライブで学んで、いろんな国に行って、またライブをして……っていう。普通の人は経験できない一生分の経験をしてるんですよ、この10年間に。10代の成長期の10年間、一緒に戦ってくれる仲間がいて、見たことがないような景色をたくさん見てきた。いろんなものを吸収して、音楽を通して学んだものってすごいたくさんあるなと思っていて。私はもともとただ歌が好きな普通の女の子だったのにBABYMETALに出会って、SU-METALに出会って、こんなにも人生を豊かにしてくれることって他にない気がするんです。頑張ったなと思ったことはなくて、頑張らせてくれる環境があったからずっと楽しいし、それは今でもそうなんですけど。でもそうやって楽しみながらある意味一人の人間を構築できたことって、すごいことだなって思いますね。

MOAMETAL 10年を振り返るとめちゃくちゃつらいこともいっぱいあったし、もちろん楽しいこともあったし、いろんな思い出が出あるんですけど、ここまで続けられたのは、BABYMETALに出会ってくれた人たち、支えてくれてる人たちがいたらからで。そうやってBABYMETALを愛してくれてる人がたくさんいるっていうことを再確認して、あらためて幸せ者だなって思いました。今はこういう状況でライブがなかなかできなくてもどかしいなっていう気持ちもあったんですけど、誰かがどこかでBABYMETALの音楽を聴いてくれて、誰かの中でBABYMETALが生きてくれてるってことは本当に幸せだなって。そんな人たちにこれからも恩返しをしていきたいなと思いましたね。

ー今回のベスト盤『10 BABYMETAL YEARS』には、選りすぐりの10曲が収録されていますよね。テッド・ジェンセンのマスタリングで新たな輝きを帯びた10曲になっていますけど、2人はこの10曲を聴いているとどういう情景が思い浮かんで来ますか?

SU-METAL この10曲を通して聴いた時に「これこそBABYMETALの歴史だな」って思うんです。ただの曲ではなく、一曲一曲にすごく物語がある。それだけBABYMETALはライブで生きてきたし、ライブで曲を披露していく中でその曲にどんどん感情が積み重なっていくというか。もちろん初めて聴いた人はこれがBABYMETALなんだっていう一枚になると思うし、応援してくださっているファンの方にとっては10年間をこの一枚に凝縮したもの。一曲一曲に込められたBABYMETALの歴史だったりストーリーだったり、そういうものを感じていただけるんじゃないかなと思いました。



MOAMETAL:私もこの10曲を通して聴いた時に、一曲一曲の初披露の時とか印象深かったライブのこととか全部思い出したんです。記憶が蘇ってくる感覚も含めて、本当に10年間のBABYMETALが詰まりまくってるなと思いますね。


 伝えたい「ありがとう」の気持ち

ーNHK紅白歌合戦を経て、2021年には日本武道館10公演に挑みます。10周年アニバーサリーイヤーの締めくくりとしてはインパクトの大きいものになりますね。

SU-METAL:今年はアジアツアーだったりとか計画していたことが次々と中止になってしまって自分の中ですごく無気力というか……。本当はこの1年間で10年間の感謝の気持ちを伝えたいなって思っていたので、最初はそれが出来なくてもどかしいって思ってたんですけど、まずはこうやって動き出せたことがすごくうれしいです。そして鹿鳴館や武道館っていう、私たちにとってターニングポイントとなった場所でライブをやらせてもらえること。そこに対しての意気込みとしては、やっぱり恩返しがしたいなって。「ありがとう」って伝えたいなっていう思いがあって。

紅白歌合戦は日本で歴史のある歌番組で、メタルを知らない人ばかりだと思うんですよ。私はこのコロナの期間にメタルの音楽に救われて、メタルの音楽の持っている強いパワーにすごく後押しされて。今こんな時だからメタルを必要とする人っているんじゃないかなって。私たちの音楽を通してメタルという音楽に出会って、誰かをサポートできるようなそんな入口になりたいですし、そういうきっかけを作れればいいなと思ってます。



MOAMETAL:奇跡が起こってよかったと思いました。このコロナの期間で出来ないことのほうが多すぎて、BABYMETALとして無力さを感じることが多かったんですけど、こうやって皆さんの前で何かを届けられるきっかけが用意してもらえて、本当に幸せです。だからこそ、せっかくそういったチャンスをもらえてるんだから画面を通してでもBABYMETALが伝えられることがあればいいなと思うし、ありがとうの気持ちとか笑顔になってほしい私たちの想いが少しでも伝わればいいなと思います。

【関連画像を見る】撮り下ろし写真、SU-METATソロカット+MOAMETALソロカット

<INFORMATION>


『10 BABYMETAL YEARS』
BABYMETAL
トイズファクトリー
発売中
https://www.toysfactory.co.jp/artist/babymetal/10babymetalyears

1. ド・キ・ド・キ☆モーニング
2. ヘドバンギャー!!
3. イジメ、ダメ、ゼッタイ
4. メギツネ
5. ギミチョコ!!
6. Road of Resistance
7. KARATE
8. THE ONE
9. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
10. PA PA YA!! (feat. F.HERO)


10 BABYMETAL BUDOKAN

DOOMSDAY - VII
3月15日(月)東京・日本武道館
DOOMSDAY - VIII
3月16日(火)東京・日本武道館
DOOMSDAY - IX
4月14日(水)東京・日本武道館
DOOMSDAY - X
4月15日(木)東京・日本武道館

https://www.babymetal.com/10babymetalbudokan/