こんにちは、科学コミュニケーターの小林です。2/10からはじまったニコニコ生放送「わかんないよね新型コロナ」。水曜と土曜の週2回、新型コロナに関する話題をお届けしております。

このブログでは2/17(水)の放送回を振り返ります。

2/17はワクチンの医療従事者に対する先行接種が始まった日。新型コロナのワクチン接種というものが、日本に住む一般人の私の中でもいよいよ現実味を増してきた……そんなタイミングでの放送でした。使われたのは、ファイザー社とビオンテック社が開発したワクチンです。

ワクチン接種を受けるかどうかについて、よく「自分で納得して決めることが大事」といわれます。でも、そもそも判断材料となる情報を見つけるのが大変だったり、情報源にあたってもよくわかなかったり、自分一人で考えるのが大変なときもあります。

そこで番組では、ファイザー社が作成・公開している新型コロナワクチンの接種者向けガイドを読みながら、わからない部分を“ワクチンのプロ”に尋ねてみることにしました。

患者向けガイド(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構HP):https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/631341D

一般名「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン」、販売名「コミナティ筋注」と耳慣れない言葉にとまどってしまいそうですが、これが先行接種が始まったファイザー社の新型コロナワクチンのことです。右上のRMP資材というところからパンフレットのPDFを見ることができます。

ゲストとしてお呼びしたのは、国立国際医療研究センター 国際感染症センター トラベルクリニック医長/予防接種支援センター長の氏家無限先生です。

氏家先生はどんな人?

氏家先生は普段、海外に渡航する人の予防接種や健康診断などをされています。最近では新型コロナのPCR検査や証明書の発行なども行っているそうです。

そしてもう一つ重要なのが「予防接種支援センター」でのお仕事です。

医療従事者であっても、ワクチンに関する情報はわかりにくいことがあります。予防接種支援センターはそんな医療従事者たちの相談役として、安全に予防接種を実施するためのサポートをしています。その活動の一例が「予防接種基礎講座」という研修会で、予防接種に携わる医療従事者たちに必要な知識や技術を提供しています。資料は誰でも無料で見られますので、気になる方は覗いてみてください。

予防接種基礎講座(国立国際医療研究センター 国際感染症センター病院HP):http://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/index.html

プロにきいてみよう

この記事では、番組で取り扱った質問をいくつかピックアップしてご紹介します。その他の質問は文末にまとめましたので、気になる項目があればぜひ番組アーカイブをご覧ください。

Q. 2回目の接種はきっちり3週間後でなければいけない?

ファイザー社のワクチンは、間に3週間を空けて合計2回接種することになっています。でも、3週間後に体調を崩してしまったらどうしたらよいのでしょうか?

氏家先生によると、2回目の接種は厳密に3週間後である必要はないとのこと。だいたい6週間後くらいまでに接種すれば、ワクチンの効果や副反応は変わらなかったというデータがあるそうです。もし2回目の接種前に体調を崩してしまっても、接種日程を少し延ばすという選択肢があることを知っておくとちょっと安心しますね。

Q. ワクチンの副反応が強い場合、市販の薬を自己判断で飲んでも大丈夫?

ワクチン接種後によく起こる副反応として、注射部位の痛みや発熱などが報告されています。数日でおさまる場合がほとんどですが、これらの症状を抑えるために、解熱鎮痛薬などを自己判断で飲んでもよいのでしょうか?

副反応として出てくる痛みや熱などの症状は、体に免疫ができる過程で出てくる、いわば体の自然な反応。症状を薬で無理やり押さえてしまうことで、ワクチンの効果を下げてしまうという研究結果もあるそうです。なので、接種したら熱が出ることを前提に予防的にあらかじめ飲んでおくようなことはちょっと止めた方が良いというお話でした。

この話を番組で紹介したところ、

「ワクチンの副反応が強い場合、どこまで我慢したらよいでしょうか?例えば、1日目は寝込むことになっても我慢して2日目まで続くようなら消炎鎮痛剤を飲んでも良い、などの目安はありますか?」

という質問を追加でSlidoからいただきました。

メールで氏家先生にお尋ねしたところ、「ワクチンはあくまで予防なので、つらい症状があれば無理する必要はありません」というお返事でした。また、もともと特殊なお薬を飲んでいた方は主治医の先生に相談してから飲むようにしてください。

なお、氏家先生は「日常生活に支障がでるような症状がある場合は、ひょっとするとワクチン以外の病気で症状が出ている可能性もある」ともおっしゃいます。たしかに、接種後の体調不良がすべてワクチンのせいで起きているとは限りません。必要に応じてきちんと医療機関で評価してもらうことも大切ですね。

氏家先生から視聴者へのメッセージ

氏家先生は「新しいタイプのワクチンということや、副反応についてなど、不安はいっぱいあると思う」とした上で、「これまでにたくさんの人が新型コロナウイルスに感染し、亡くなっているという現状を踏まえると、ワクチンによる予防は大きなメリット」とおっしゃいます。

「ワクチンには、自分自身を感染・発症から守るというメリットがありますが、それは身の周りの人や社会全体を感染から守ることにもつながります。接種したときのメリット、接種しなかったときのリスクなど、総合的なバランスを考えて判断して欲しいです。私自身は、接種ができるようになれば率先して接種を受けたいと思っています。」

その他、2/17放送回で扱った話題

番組アーカイブは以下のURLからどなたでもご覧になれます。

視聴URL https://live2.nicovideo.jp/watch/lv330413136

  • 風邪コロナやSARS、MERSの抗体は新型コロナに効かない?(6:10)
  • 2回目の接種は、きっちり3週間でないといけない?(9:28)
  • 1回目の接種で副反応が出なければ、2回目は特別な備えは要らない?(15:38)
  • 副反応がつらい時、市販の薬を自己判断で飲んでも大丈夫?(17:15)
  • 16歳未満への接種は、今後も見送られる予定?(20:37)
  • 妊婦はどうすれば良い? もし氏家先生が妊婦だったら打つ?(22:17)
  • インフルエンザワクチンで副反応が出る人でも接種して大丈夫?(27:54)
  • 接種について悩んでいるのは家族。家族としてどんな対応が考えられる?(30:05)
  • 医療の実習生もワクチン接種対象になる。若い人の接種の情報も増えてくるはず(31:40)
  • ワクチン接種の痛みは、例えばどのくらい?(33:40)
  • Q.アレルギーがあってもワクチンは打てる?(34:45)


Author
執筆: 小林 望(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
蚊をとりまく世界を探求する先生たちの生き方やお話が面白くて、先生たちの後ろにくっついてあちこち行った大学・大学院生時代。院生仲間とはじめた活動の中で、蚊や感染症についてたくさんの人と話す機会があり、科学コミュニケーションに興味をもちました。どうしたらみんなで健康に生きていけるのかを考えるために、未来館へ。