米Qualcommは2月23日(現地時間)、Snapdragon XR1プラットフォームをベースとしたAR(拡張現実)スマートグラスのリファレンスデザイン「Qualcomm Snapdragon XR1 AR Smart Viewer」を発表した。Snapdragonプラットフォームに最適化されており、互換性のあるスマートフォン(Snapdragon 800シリーズ)やWindopws PC(Snapdragon Computeプラットフォーム)、プロセッシングパックと共に使用。消費電力を抑えながら、没入感のあるAR体験を実現する。

AR Smart Viewerは、接続するスマートフォンやホストデバイスと処理を分割(Split-processing)することで効率的にARグラスのパフォーマンスを引き出し、一般的なARビューワーよりもシステム全体の消費電力を約30%削減できる。

2Dアプリ・フレームワークによって、ユーザーの環境内に複数の仮想ディスプレイを配置してスマートフォンのアプリを使用したり、デジタル著作権管理で保護されたコンテンツの再生、動画ストリーミングサービスの視聴などをシステムレベルでサポートする。PCとの接続では、AR Smart Viewerの平面検出と複数の仮想ディスプレイをレンダリングする機能を組み合わせて、現実環境の平面に仮想のPCウィンドウを固定できる。

  • Qualcomm Snapdragon XR1 AR Smart Viewer

    Qualcomm Snapdragon XR1 AR Smart Viewer

手振れ補正に対応する8MB RGBカメラをサポートし、リモートアシスタンスのようなハンズフリーの「See What I See」を実現。デュアルモノクロカメラを装備し、6DoFの自由度でヘッドトラッキングとジェスチャー認識によるハンドトラッキングを可能にする。リファレンスデザインのディスプレイには、中国BOEがフレームレート最大90Hzのマイクロ有機EL(micro-OLED)バイノキュラーディスプレイを提供している。

Qualcommは現在、AR Smart Viewerを一部のパートナーに提供しており、数カ月中に提供を拡大する計画だ。今年1月に開催されたCES 2021で、Lenovoが発表したARスマートグラス「ThinkReality A3」はAR Smart Viewerと並行して開発された製品で、2021年半ばに法人向けに販売開始になる予定。また中国のGoertekが、デバイスメーカーがARスマートデバイスを迅速に開発・展開するのをサポートするAR Smart Viewerハードウェアを開発している。

  • ThinkReality A3

    Snapdragon XR1プラットフォームを採用したLenovoのThinkReality A3