「言霊の存在を信じているタイプなので…」映画監督・内山拓也が夢を叶えるために“とりつづけた行動”とは?
放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。1月17日(日)の放送では映画監督・内山拓也さんが登場しました。


(左から)高須光聖、内山拓也さん



◆スタイリストを目指して上京した学生時代
高須:まだお若いんですよね?

内山:今は28歳ですね。

高須:(映画監督として)デビューされたのが23歳の頃なんですよね。

内山:デビューというか、自主映画を撮ったときが23歳ですね。

高須:すごいね。そもそも、映画監督になりたくてずっと映画を観てきて、ようやく監督になった、っていう感じではないんだよね。

内山:そうですね。18歳で新潟から上京をした当時は、スタイリストを目指していました。

高須:なんでスタイリストになろうと思ったんですか?

内山:もともと服が好きだったのと、当時通っていた古着屋さんがありまして。古着屋さんの店主から、いろんなものをオススメしてもらっていたんです。その方から「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明さんが監督をしている実写映画を、ファッションとして薦められたんですよ。岩井俊二さんが主演をされている「式日」という映画です。

高須:あったねえ!

内山:映画を観たら「こういう表現があるんだ!」と衝撃を受けました。

高須:直接服を作るだけじゃなくて、映像美としてのファッションね。

内山:自身を着飾ることだけが楽しかった自分が、服に可能性を感じたんです。「この道だったら自分は拓けるかもしれない」と思ったのと、もともと“東京に行きたい”という漠然とした田舎心があって、東京の文化服装学院に進学しました。(当時の自分は)何をしたいのかあまり分かってはいないけど、とりあえず「大成する」という志を掲げていましたね。

◆「映画って巨大な産物なんだ」
高須:スタイリストになろうと思っていた気持ちが、映画監督のほうに傾いていったきっかけは何だったの?

内山:大きく言うと、2個ぐらいの理由があります。映画をたくさん観ていったら「映画って面白いな」って気持ちが大きくなったんです。

高須:映画の面白さに気付いた作品は何だった?

内山:スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」です。

高須:カッコいい映画だよね。

内山:観たときに「映画って巨大な産物なんだ。奥深いものなんだな」と感じました。

高須:(映画って)価値観を作っているからね。

内山:そうなんです。“価値観を変えられるものなんだ”っていうことを、この映画に教えてもらいました。

高須:もう1つの理由は何?

内山:勉強として、MV、広告、ファッション雑誌とかのアシスタントに行っていた時期があったんですね。はじめて映画の現場に行ったら、自分はひたすら端っこでアイロンをかけたりしながらアシスタント作業をしていたんです。だけど、現場を見ていたら「こんなふうに映画を作るんだ。ファッションを介さずに、直接あの輪のなかに入りたい」という衝動に駆られてしまって。

高須:「なんで俺はこんなところでアイロンをかけているんだ」って思っちゃったんだ。

内山: “自分が本当にやりたいことは何か”を自身に問いかけたら“映画だ!”ということに気付いてしまって、急にファッションを介して作品に携わっている自分がどうでもよくなってしまったんですね。それで、ファッションの勉強はやめて就職もせずにフリーターになりました。それが21歳の頃の話です。

高須:そこからどうなったの? 映画の道を目指すことを考えないといけなくなったんだよね。

内山:とりあえず、映画館でバイトをはじめました。だけど、映画館で働いたところで映画の世界に行けるわけではありませんでしたね。

高須:作る側ではなく、観る側の場所だもんね。

内山:そうですね。だけど、自分は言霊の存在をめちゃくちゃ信じているタイプなので、「映画の現場の行きたい」ということを、会う人会う人に伝え続けました。それに、言ったからには有言実行をしなければならない。その責任を自身に課すために、あえて言うようにしていました。そうして2年ほどバイトをしていたら、映画館の社員さんから映画のお仕事を紹介してもらえたんですね。現場に行ったのが23歳ぐらいで、それが自身の転機になりました。

◆映画監督を目指すきっかけとなった人物
内山:撮影現場では、いろんなことを経験させてもらいました。

高須:映画を撮るための過程が全部見られるもんね。

内山:だけど、基本的にはバイトだし、年に1回か2回ぐらいの小さい現場だったんです。どうしたらいいんだろうと悩んでいた頃、映画監督の中野量太さんの作品を(自分が)働いている映画館で観たんですよ。それで“この人は面白い”と思ったので、中野さんに履歴書を渡したんです。

高須:おぉ!

内山:“履歴書をもらったところで、中野さん的にはどうしようもないよな”ってことが、今になって気付きましたけどね(笑)。だけど、その当時は気持ちが先行していました。

高須:何かに引っかかればって思いがあるもんね。

内山:そうですね。履歴書を受け取ってはくれたのですが、当時の中野さんは「湯を沸かすほどの熱い愛」をまだ撮っていなかったんです。なので、「ありがとうなんだけど、現場がないんだよね。ごめんね」って感じでやりとりが終わりました。そのあとに、中野さんがゴールデン街で1日店長をしているっていう情報をSNSで見かけて、そこにも足を運びました。

高須:すごいね!

内山:そのときはお店にいた人たちを紹介してもらって、また別の形で現場に行く機会をいただけました。

*   *   *

内山:そして、中野さんが苦労して書かれた脚本ができたとき、「うっちー、ようやく脚本が現場になったよ。長らく待たせてごめんね、助監督をやってくれる?」と言ってくれたんです。それで「湯を沸かすほどの熱い愛」の助監督を務めました。

高須:助監督になれたんだ!

内山:(助監督のなかでは)サードという下っ端でしたけれど、そこではじめて“自分は監督になりたい!”と気付いたんですよ。

高須:花開いた瞬間やね。

内山:自分がやりたいことが見えてきたんですよね。映画の現場に携わりたいんじゃなくて、すべてを決定する監督になりたいと、中野さんを見て気付くことができました。中野さんの現場を終えてからは、まわりに「自主映画を撮ります」と伝えて、そこからアルバイトでお金を貯めて、自主映画を制作しました。

高須:素晴らしいね。内山さんは猪突猛進型で、ストンと落ちるものがあるとすぐに動ける人なんだね。

<番組概要>
番組名:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00~25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組公式Facebook:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/