◆パートで働く主婦に「106万円の壁」があるけど、どう考える?
パート主婦には下記のような「年収の壁」があります。
1)100万円の壁
妻自身が住民税を納める必要が生じる。
2)103万円の壁
妻自身が所得税を納める必要が生じる。
3)106万円の壁
妻自身(一部)が社会保険料を納める必要が生じる。
4)130万円の壁
妻自身が社会保険料を納める必要が生じる。
5)150万円の壁
夫は配偶者控除を受けられなくなる。
6)201万円の壁
夫が配偶者特別控除を受けられなくなる。
多くのパート主婦は、社会保険料を納めなくてすむ130万円以下で雇用調整しています(本人は社会保険料を納めなくても、他の社会保険加入者が納めている)。世帯の手取り収入がガクンと減らないようにするためです。
ところが、2016年10月から社会保険の適用が拡大され、103万円の壁と130万円の壁の間に「106万円の壁」が加わりました。ただし、パート主婦全員に、というわけではありません。
勤務先は社会保険加入の従業員が501人以上、勤務時間は週20時間以上、月給8.8万円以上(年収106万円以上)、勤務期間は1年以上と見込まれる、学生ではない等の条件を満たす場合です。対象になるのは、約25万人とのことでした。
さらに、2017年4月からは、従業員501人未満でも労使の合意があれば対象になっています。
◆パート主婦も公的年金の支え手になることが求められている
では、「106万円の壁」に該当するパート主婦たちは、就業調整をするべきでしょうか? 筆者は、すべての年収の壁を気にせず働くべきだと考えます。年収103万円や106万円しか稼げないなんて、自分自身の能力を過小評価して欲しくないからです。思い切り働けば、すべての年収の壁を超えて世帯収入を増やせるはずですから。
それに、人口減で働く人が減り、高齢化で公的年金の受給者が増えている日本の現状を考えると、公的年金の担い手を増やすことが急務です。専業主婦・パート主婦家庭を優遇している余裕は、今の日本にはないのです(高齢者も)。
パート主婦が社会保険料を納めるようになれば、いいことがあります。働いている間は、パート主婦自身の公的健康保険の給付は充実しますし、老後の公的年金を増やせます。50代の10年間、社会保険料を納めて増える公的年金額は微々たるものかもしれません。しかし、公的年金は終身年金ですから、死ぬまでもらえるのは大きいですよ。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
文=小川 千尋