東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系が2月21日にデビュー。新木場駅7時21分発の和光市行(各駅停車)が初運用となった。今後、2022年度までに全21編成180両を導入し、既存の7000系を順次置き換えていく。

  • 東京メトロの新型車両17000系がデビュー。初運用は新木場駅7時21分発の和光市行(東京メトロ提供)

新型車両17000系は7時18分頃、新木場駅の乗車ホームに入線。休日朝ということもあり、乗客はあまり多くなかったものの、それでも筆者が見る限り、十数人ほどの乗客を確認できた。当日に発表された17000系デビューのニュースを読み、新型車両をひと目見るべく訪れたと思われる利用者もいた様子だった。

入線から発車時刻までは3分程度だったため、程なくして発車メロディーが鳴り、ドアが閉まった。その後、大手町駅務管区長による出発合図に合わせ、7時21分頃に17000系の営業初列車が発車。和光市駅へ向かった。

  • 新型車両17000系が新木場駅の乗車ホームに入線。乗客数は少なかったが、これから多くの乗客を運ぶことだろう

  • 大手町駅務管区長の合図とともに、17000系が新木場駅を発車した

新型車両17000系は、有楽町線・副都心線で活躍する既存の7000系・10000系と同様の丸目のヘッドライトを継承しつつも、車体前面をスタイリッシュな形状とした点が特徴。外観に関して、車体側面の車端上部に車いすとベビーカーのピクトグラムを掲出しており、車内に車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースが設置されている。有楽町線・副都心線のラインカラーであるゴールドとブラウンの帯は、車体前面と側面上部、客室窓の下に鮮やかに配色されている。

車内においては、荷棚、貫通扉、袖仕切りに透明な強化ガラスを採用し、開放感のある空間に。モノトーンを基調としつつも、吊り革や座席の背もたれに使用されたラインカラーがアクセントになっている。新型コロナウイルス感染症対策として、座席の表地には消臭・抗菌・抗ウイルス加工を施したものが採用され、車内も全般的に抗菌・抗ウイルス処置が行われている。

車両の床面の高さは従来の1,200mmから1,140mmに低減され、かつ乗降ドア出入口下部の形状をホーム側に約10度傾けることで、乗りやすさが向上した。全車両にフリースペースを設け、フリースペース付近のドアレールに切欠き加工を施したことにより、車いす・ベビーカーを使用する利用者がより安全に乗降できるようになっている。

  • 17000系では、全車両にフリースペースを設け、フリースペース付近のドアレールに切欠き加工を施すなど、車いす・ベビーカーを使用する人も利用しやすいように工夫されている(2020年8月の報道公開にて、編集部撮影)

17000系の営業初列車が新木場駅を発車した後、コンコースにて東京メトロ車両部設計課長の荻野智久氏が報道取材に対応。17000系のデビューに際し、利用者へのメッセージとして、「バリアフリーや乗降サービス、車内空間に力を入れて製作したので、受け入れていただけたら非常にありがたいと思います」と話した。

全車両に設置したフリースペースをはじめ、ドアレールの切欠き加工や出入口の傾斜など、17000系ではバリアフリーの促進も図っている。今後の新型車両におけるバリアフリー面の展望として、「この電車のバリアフリーについては、これからも踏襲していきます」と荻野課長。コロナ禍の情勢を踏まえ、車内の換気や各部の抗菌処置などを通して、「安全・安心な車内空間を提供できるように、引き続き頑張っていきたい」ともコメントした。

今回の運行開始を皮切りに、17000系は10両編成を6編成(計60両)、8両編成を15編成(計120両)、計180両を順次導入し、営業運転を行う。有楽町線・副都心線だけでなく、相互直通運転を行う西武有楽町線・池袋線、東武東上線、東急東横線、みなとみらい線も走るため、新型車両の活躍する姿を広範囲にわたって見られるようになる。運良く見ること、または乗ることができた場合にはぜひ、従来の車両とのさまざまな違いに注目してほしい。