この30年間金利は下がり続け、今は「定期預金」を知らない、利用したことがないという人もいます。定期預金の基本と、かしこい利用法、注意点について解説します。

◆コロナ自粛期間中に金利は一桁下げられた!
2020年4月メガバンクの定期預金の金利が、0.01%から0.002%に静かに一桁下がりました。静かにというのは、普通なら金利が一桁下がるのは大ニュースになるはずですが、緊急事態宣言が出され、学校も休校、デパートも駅ビルもシャッターが下ろされ世界中がコロナの話題一色になっていたため、まったく話題にならなかったのです。

メガバンクに追随するように、ゆうちょ銀行、都市銀行や地方銀行も金利が下がりました。

金利の存在すら忘れてしまいそうですが、今は普通預金の金利は0.001%、定期預金は1カ月から10年まで0.002%で、ほぼ差がありません。

10万円貯金をしても利息はつかず、100万円貯金すると、普通預金の税引き後の利息は7円。定期預金は15円なので、その差わずか8円。わざわざ定期預金に預け替えないという人も多くなっています(金利は2021年2月1日現在。半年複利、税金は20.315%)。

◆定期預金の仕組みとは
「定期預金」を知らない人のために、おさらいしておきましょう。定期預金とは、定期券の「定期」と同じで、期限が決められた預金のことです。満期までは解約をしないと引出しができないため、流動性が制限される一方、普通預金と比べると金利は高くなっています。

■預け入れ期間
定期預金の預け入れ期間は金融機関によって違います。最短で1週間。1カ月から5年を扱うところが多く、最長10年まであります。また、自分で満期日を指定できる期日指定定期預金もあります。

■金利
預け入れ金額が1000万円を超えると大口定期となりますが、今は預け入れ金額や期間に関係なく、金利は同じ金融機関が多いです。

金利には、最初に預けた時の金利が満期まで続く固定金利と、金利を見直す変動金利があります。

◆定期預金のメリットは?
金利差がなくなり、おトク感がなくなった定期預金ですが、利用する価値がないかといえばそうではありません。普通預金にお金が貯まってくると、つい油断して使ってしまいます。

定期預金に預け替えれば、生活口座と貯める口座を分けることができて、しっかりお金が貯まります。総合口座の定期預金なら、普通預金口座が残高不足でも貸し付けてくれるので、クレジットカードや保険料などの支払いがある時も安心です。

◆いつも使っている銀行の定期預金でいいの?
給料の振込口座を生活費のメイン口座として使っている人は、何も考えずに定期にまとまったお金を入れている人も多いようです。

例えば、下記2行の定期預金の金利を比べてみましょう。
※金利は2021年2月1日時点

<預け入れ期間5年の定期預金>
・都市銀行……0.002%(300万円未満の預け入れ時)
・オリックス銀行eダイレクト定期預金……0.25%(100万円以上の預け入れ時)

都市銀行とオリックス銀行の金利は、125倍違うことが分かります。100万円貯金しておくと、5年後の税引き前の利息は1万2570円と100円の違いです。5年以内に使う予定があり、まとまったお金がある人は、高金利の定期預金に預けるのもいいでしょう。ネット専用の銀行や支店は、ねらい目です。

・香川銀行セルフうどん支店
超金利トッピング定期預金
1年定期……0.23%
うどんは売っていません。香川銀行の、店舗がないネット専用の支店で、日本全国どこからでも口座開設できます。セブン銀行やイオン銀行から入出金できます。

・auじぶん銀行デビュー応援プログラム
3カ月定期……0.5%
口座開設をした翌々月までの優遇金利で、普通預金の金利の500倍です。注意点は、金利は常に年利で表示されます。0.5%の利息が付くのは、365日分の91日分だけになります。つまり、100万円が100万5000円になるのではなく、100万1246円になって、そこから税金が引かれますので、最終的に受け取る利息は993円になります。

優遇金利にひかれてあちこちに口座を作ると、管理がしにくくなります。口座開設をしたり、入出金の手間も考え、新しく銀行口座を開設すべきかどうか考えましょう。

◆定期預金にはこんな落とし穴が……
定期預金の最大の落とし穴は、なんとなく預けて、その後見直さないことです。定期預金の見直しなんて聞いたことがないかもしれません。

30年前は、最終利回り8.648%もあった郵便局の定額貯金。100万円預ければ、10年後は86万円増えました。ところが今は、10年後の利息は200円です。なんとなく「定期預金」「定額貯金」と思っていると、お金は増えないのです。

◆「貯めるお金」と「増やすお金」の違いとは
お金に色はつけられませんが、5年以内に使う予定があるお金は定期預金で大事にとっておいて、それ以上使う予定がなければその一部を将来のために「増やすお金」にするのがいいでしょう。

お金を増やす=運用=株だ!とばかりに、思いつきで株に投資するのは危険です。もし未来を予測できる能力があれば別ですが、1つの会社の株だけに投資するのではなく、いろいろな会社や国に分散するのがいいですね。

お金は国境を越えますので、自分で外国語をしゃべって海外で働かなくても、利益を出し続ける会社の株を買っておけば、その企業と一緒にお金も成長してくれます。ただし、外国の企業の株といっても、会社を探すのが大変です。そんな人は、たくさんの会社が入っている投資信託を選ぶといいでしょう。500円などの少額から買うことができます。

さらに、もうけに対して20.315%課税されない、NISAやつみたてNISA、節税になるiDeCoなどを利用すれば、運用の効率がよくなります。世界の主要国に投資する投資信託の過去10年間の平均リターンは年率12%です。将来も同じ結果になるとは言えませんが、経済が成長し続けるなら、お金も増えない財布に入れて眠らせるのではなく、増やす財布に入れてしっかり育てたいですね。

文=山口 京子(マネーガイド)