特別定額給付金、持続化給付金、家賃支援給付金などについて、2021年に行う確定申告の際にはどう取り扱えばいいのか解説します。

◆持続化給付金や家賃支援給付金をもらったら、確定申告はどうする? 消費税は?
新型コロナウイルスの影響に対応するために、2020年は各種給付金や助成金を受け取った人も多いかと思います。

主立ったものだけでも順にあげていくと、特別定額給付金、持続化給付金、家賃支援給付金のほか各地方自治体が独自に施行した給付金、厚生労働省が主管として運営している雇用調整助成金や、経済産業省が受け付けているテレワーク導入のためにIT導入補助金などさまざまなものがあります。

しかし、税務という観点からみると「確定申告の際にはどう取り扱うのだろう」という観点も気になるところです。

ここではまず、「所得とはなにか」という観点から、特別定額給付金と持続化給付金の税務上の取扱いの違いを解説していくことにします。

◆持続化給付金は確定申告に含めるが、特別定額給付金は含めなくてよい
「持続化給付金は確定申告に含めるが、特別定額給付金は含めなくてよい」。これが所得税の取扱いにおける結論となります。

所得税法上、「非課税」つまり、所得税がかからないものの代表例に、「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金、損害賠償金、慰謝料」というものがあるのですが、たとえば「家族の送迎途中に、自身の過失割合のない交通事故にあってしまい、先方から損害賠償金を受け取った」といったようなケースについて考えてみましょう。

この場合、受け取った損害賠償金は当然、所得税法上非課税、つまり、税金がかからないのですが、事故を受けた被害者からみると「身体が傷つけられた損害」「就労を休まなくてはいけない損害」「通院することになったといった損害」といったようにさまざまなマイナス面が生じます。

ここで受け取った損害賠償金はそのような損害の経済的補填であって、プラスに寄与するものではない、と所得税法上考えている、ということです。

◆特別定額給付金の税務上の性格は
このようにみていくと、新型コロナウイルスの影響により、ダメージを受けた人のほうが受けなかった人よりもはるかに多いと考えられます。

したがって、特別定額給付金の対象者を「令和2年4月27日時点で、住民基本台帳に記録されている者」全員に一律10万円配布し、それが所得税法上、「非課税」となるもの「新型コロナウイルスの影響によるダメージの経済的補填であって、プラスに寄与するものではない」と税法上とらえていると考えられます。

◆持続化給付金や家賃支援給付金を税務上どうみるか
そのように考えると「持続化給付金」や「家賃支援給付金」は「特別定額給付金」とは性格を異にすると考えられます。

「持続化給付金」も「家賃支援給付金」も支給要件のひとつに「対前年同月の売上が50%以上減少していること」というのがあるのですが、これは逆からみると「新型コロナウイルスの影響で売上が一定額以上減少していなければ支給対象から外れる」こととなります。

したがって、「持続化給付金」も「家賃支援給付金」も「売上の代わりになるもの」なので、所得に含めるという考え方となります。

一般的に「特別定額給付金」以外の各種給付金や助成金(地方自治体主管のもの含む)は、所得税の確定申告内容に含めるととらえておいたほうがいいでしょう。2020年分(令和2年分)の確定申告においては特に注意を要するポイントです。
令和2年以降 所得税青色申告決算書 抜粋(出典:国税庁 資料より)

なお、その場合、画像ように所得税青色申告決算書の2ページ目の雑収入欄に該当給付金・助成金を抜き出して明記しておけば、「申告対象に含めている」ということを明らかにする記載になるでしょう。

◆持続化給付金や家賃支援給付金の消費税の取扱いは
フリーランスや自営業者等が「持続化給付金」や「家賃支援給付金」の給付を受けた場合、もうひとつ気になるのが消費税の取扱いです。言い換えると「持続化給付金」や「家賃支援給付金」を含んだ総額に10%/110%を乗じて消費税を計算するのか、「持続化給付金」や「家賃支援給付金」を含まない額に10%/110%を乗じて消費税を計算するのか、という点です。

これも結論からいうと、消費税を算定する時の対象に「持続化給付金」も「家賃支援給付金」も含まないでよい、となります。

理由は消費税の課税取引かどうかを決めるのに以下の4つの要件を満たしているかどうか、ということが消費税法上に明文化されています。

その4つとは

・国内取引であること
・事業者が事業として行っている取引であること
・対価を得て行っている取引であること
・資産の譲渡や役務の提供を行っている取引であること

であるのですが、これの「資産の譲渡や役務の提供を行っている取引であること」に該当しないという判断となります。

「資産の譲渡」や「役務の提供」とはややむずかしい用語なのですが、要は「商品の販売やサービスの提供」ではないととらえているということです。

「持続化給付金」と「家賃支援給付金」は所得税の確定申告の内容には含めるが、消費税の申告内容には含めなくてよい、これが2021年(令和3年)の確定申告の特異事項となります。

文=田中 卓也(マネーガイド)