ODD Foot Worksが語る新作EP、22分のショートフィルム『鳶飛蝶躍』

ODD Foot Worksが、2020年12月9日に4曲入りのEP『Qualification 4 Files』を自主レーベル「Tokyo Invader」からデジタルリリースした。Giorgio Blaise Givvnがミックスを、熊野功雄(PHONON STUDIO)がマスタリングを担当しており、趣向は違いながらもODD Foot Worksらしさが現れた4曲となっている。

また同EPで描かれた音楽世界を拡張したショートフィルム『鳶飛蝶躍』も発表。 PERIMETRONのOSRINがディレクションを務めた同作の主演はPecori。ヒロインの円井わんを含め多くの役者とODD Foot Worksのメンバーも出演している。

2020年12月30日には東京・LIQUIDROOMにて単独公演「ODD Foot Works」を有観客&配信で開催し、2021年を踏み出した3人にZoomで近況を訊いた。



ーショートフィルム「鳶飛蝶躍」が、1月15日に公開されました。約22分に渡る映画のような映像で、EP『Qualification 4 Files』の音楽世界を拡張した映像となっています。どのようにして、本映像作品は生まれたんでしょう。

Pecori : 以前からPERIMETRONのOSRINにMVをお願いしたいという想いがあったんです。『Qualification 4 Files』が4曲入りの作品になったこともあり、「4曲まとめて聴ける1本の映像作品にしたらおもしろいかもね」という話をOSRINとして。制作していく中で、単純に4曲を繋げた映像作品じゃなくて、ショートフィルムにしようと変わっていきました。音楽に重きを置くか、映像に重きを置くかですごく迷ったんですけど、結果的に映像の中の音楽として曲を使ってもらう形の作品になりましたね。



ーPecoriさんは主演として、ガッツリ演技もされています。

Pecori : もともと演技をやりたい願望がめちゃくちゃあって。「フェイク・ドキュメンタリーみたいなことをしたいね」ということを2、3年前から言っていたんです。前作「KAMISAMA」もストーリー性のあるMVで、多少演技をしていて。僕とTondenheyは映画も好きで、違う人格になってみたい願望があったんです。

ー濡れ場があったのには驚きました。

Pecori : 濡れ場は、やりたかったんです。っていうと語弊があるかもしれないけど、Pecoriというキャラクターが、見た目が派手でキャッチーでおもしろい人だよね、みたいな吊し上げられかたを小規模なSNSの村でされていて。

SunBalkan : 吊し上げられてはないよ(笑)。

Pecori : そういう村の人たちにギャグ線が高いって言われるイコールおもしろくない人なので(笑)。単純に格好つける場所が欲しかった。その極論として、真剣な顔してセックスしているシーンとかを見せつけたかったんですよ。

SunBalkan : 見せつけるって(笑)。

Pecori : 最終的に舐めている部分がバックショットになりましたけど、そういうシーンも自然とやれたし、それぐらいのセクシーさとか格好よさを見てほしいなと思います。



ー完成した映像作品を観て、SunBalkanさんはいかが思われましたか?

SunBalkan : 撮影している時から画がすごいなと思っていました。Pecoriが言いたい歌詞をOSRINさんがすごく汲んでくれて。歌詞の内容も大事にされているけど、そこまで曲メインの作品でもなくてバランスがとてもよいと思います。

ーTondenheyさんは、作品が完成してみていかがですか?

Tondenhey : 自分は先生役で出たんですけど、声が役者っぽくないなと思いました(笑)。あと、子役の方も含めて、役者さんそれぞれの世界があってすごいなと感じましたね。あまり観たことがない映像だったり、聴いたことがないものを作りたい意欲があるので、そういう意味では新しくておもしろいなと思います。



ー映像の中では、ガラケーや旧5千円札が描かれています。そこに2020年のODD Foot Worksの曲が乗るミスマッチな感じが、逆に自然に入ってきておもしろいなと思って。今作の舞台が現代ではないのには、どのような意図があるんですか?

Pecori : 俺が最後のほうで飛ぶシーンがあって。5千円札が舞ってパラパラパラってなる迫力ある画をスローで撮りたいねって話から「昔の5千円札ってなんかいいよね」というアイデアが出たり、女の子役の部屋が浜崎あゆみだらけだったりしたらいいよねってなっていって。2000年初期は、今の20代にとってちょうどモラトリアムな時期だと思うので、みんな好きなんですよ。

SunBalkan : 今生きている時代ではない時代を使うことで、結果として伝わりやすくなるんじゃないかなっていうのは、できあがってから思いましたね。

Tondenhey : 現代のことをやっても、あまり伝わりにくかったりするしね。



ー1曲目「ULTRA」の歌い出しの〈ウルトラマンよりライダー派〉というリリックで、ものすごく印象的です。映像のモチーフとしても大切なフレーズとなっていますが、このフレーズはどのように生まれたんでしょう。

Pecori : 音を当てて実際に歌って、「これはウルトラマンだわ」ってはめていきました。俺は仮面ライダーが小さい頃にめっちゃ好きで、ウルトラマンはあまり好きじゃなかったんです。ぴったりだなと思ってはめました。



ー今作『Qualification 4 Files』を、どうして自主レーベルのTokyo Invaderを立ち上げてリリースすることにしたんでしょう?

Pecori : ODD Foot Worksは今年で結成4年目なんですけど、3年前の初ライブから、いきなりメジャーのビクターでやらせてもらうということになって。メジャー・レーベルでいろいろと活動を経験してみて、俺らでやってみたいなと思ったんです。単純に自分たちの力でお客さんを求心できるかやってみたかった。

Tondenhey : 作ったものを自分たちから発信した方が、単に偶像として見られるのではなくて中身を持ったものとして見てもらえるかなというのもあります。

SunBalkan : ODD Foot Worksは、自分らでやるということがどんな感じなのか分からないまま始まったんです。やりたいことがたくさんある中で、できないこともあって。今後メジャーに行く行かないにしろ、試しに自分らで1回やってみて考えていきたかったし、勉強も含めてというのがありますね。



ーTokyo Invaderという名前はどのようにして決めたんですか?

SunBalkan : 最初、Stargazerにしようか迷っていたんです。Stargazerは「PRIVATE FUTURE」の曲中に出てくる単語で、Tokyo Invaderは曲のタイトル。このタイミングで過去の大事にしていたものを前面に押し出して、芯として持っておくのがいいんじゃないかという話で決めました。

ーレーベル名にも冠されている東京という場所に関して何か意味を感じますか?

Pecori : メンバー全員が東京発ではないんですけど、東京がカルチャー的にもいろいろと盛り上がっているし、そこでODD Foot Worksという新しいものを提示して盛り上がってくれたらいいなと思ったんです。最近は東京でやる意味を強く感じてはいなくて、別に大阪だろうと盛り上がるところは盛り上がると思っているんです。単純に東京は母数が多いなと思っているだけですね。今後海外での活動も視野に入れているので、看板としてキャッチーにTokyoを入れています。

ー別のインタビュー記事で、今作は引き算が多い作り方をされたと拝見しました。3曲目「Papillon」はウワモノが多い曲だなと思ったのですが。

Tondenhey : そういう意味では「ULTRA」は1番音を刻んでいて、「Papillon」は1音だけ鳴って連鎖していくみたいな感じの意識はありましたね。

Pecori :「ULTRA」や「KEANU」は今自分たちがやりたいことだったり新しいものを見せつけたい意思があって。「Papillon」は過去の作品を継いで、新しくブラッシュアップされたというか。昔からODD Foot Worksを好きな人たちに向けた曲でもあるんです。

ー4曲目「浪漫飛行機」のギターの歪みや、オートチューンは所謂ODD Foot Worksという感じがしました。

SunBalkan :聴いてもらった人の感覚と作っている側の感覚で、意外なズレはありますね。メンバー3人の中でも違いはあるんだなと思いました。

Pecori : 3人とも曲を作るので、そのトラックの作曲者以外の2人は、どちらかと言うと提供してもらったぐらいの感覚なんです。「Papillon」と「KEANU」はTondenheyが作っていて、4曲目の「浪漫飛行機」はSunBalkanが作っている。作った本人とデモとして受け取った2人では全然違うんですよ。

SunBalkan : 突拍子もないものを作ったつもりが意外とスタンダードだったり、その逆もあったりします。なので、Tokyo Invaderになってから初めてのEPで、自分たちの存在を単純明快、奇想天外に示せた作品になっていると思います。



ー別のインタビュー記事で、ミックス作業を笑いながらやったと拝見したのですが、どのような雰囲気だったんですか?

Tondenhey : ベースのゴーストタッチのプクプクって音があるんですけど、SunBalkanがそこをもっと出したいって言っていて。エンジニアのGiorgio Givvnさんが、ドアノブを回す音に聴こえくるぐらい加工して、ベースの音じゃなくなっていったんですよ。SunBalkanがそれを泣きながら見ていて、すごくおもしろかったですね。

Pecori : 最初の音の方向性からかけ離れていって。それで泣きそうになったみたいな(笑)。

SunBalkan : 僕もTondenheyも生バンドのミックスに立ち会ったことはあるけど、生の楽器の扱い方が全然違うんですよ。いい意味でGivvnさんがメンバーの1人と言っても過言ではないぐらい考えていろいろなことを試してくれた。それが自分では想像できないことだったりするので、単純にファニーというか、こんなことあるんだって思いました。

ーポスト・プロダクションでも、いろいろ手を入れてできた作品なんですね。

Tondenhey : 単音で聴くと、すごく異常な音なんですけど、合わせるとそれがばっちりはまっていたりしますね。

Pecori : 意外と俺らの音って細かくて。こだわりもすごいし、訳の分からない音とか入っていたりするんですけど、パッケージングすると普通にいい音楽になるんです。何百回聴いてもいい曲って感じかもしれないです。今回はベースに焦点を当てて聴いてみようとか、そういう聴き方をしたらおもしろいかもしれないですね。



ー2020年12月30日には東京・恵比寿LIQUIDROOMで、久しぶりの有観客ライヴを開催されました。どんなライヴになりましたか。

Pecori : とにかくやれてよかったですね。観客を入れるかどうかギリギリだったんですけど、あれをやらず2020年が終わっていたら、今のモチベーションも違っていた。できていなかったら1年以上ライブしてないってことになったので、お客さんの前でできたことは大きかったです。ライブ自体はKing Gnuのドラム勢喜遊くんと、いつもサポートしてくれているDJ、Yohji Igarashiとのバンドセットで、今のODD Footの完成形布陣で臨めたので最高でした。


Photo by フジイセイヤ

ーお客さんがいる前でのライブは、やっぱり無観客ライブとは違いますか?

Pecori : 全然違いますね。バイブスが全然違うんですよ。無観客配信だと映像撮影をしているぐらいの感覚でカメラに向けてかっこつける意識なんですけど、お客さんがいるとこっちも気づかないぐらいぶち上がっていたりするし、まさにライヴという感じでした。

Tondenhey : 対話がある感じ。

Pecori : そう。緊張したし、それもよかったですね。

ーMCを行わない予定だったと言っていましたけど、喋っていましたもんね。

Pecori : 遊くんともその話をして。俺はお客さんが目の前にいることを体感した瞬間にモードが変わるタイプなのかなって思いました。ライヴ中にこれは伝えたいみたいなことを言いたくなっちゃったりとかして。それはお客さんがいるライブならではですね。お客さんもライヴに来るのが久しぶりの人も多かっただろうから、金玉パンパンみたいな感じでお互い臨んでいたというか。声も出しちゃダメなんですけど、なんせパンパンなので、ちょっと漏れちゃうというか、それにも感動しましたね。

Tondenhey : 久々に血が巡る感じがしましたね。



SunBalkan : 前回のライブで、「いつの間に(ODDは)こんなにでかくなっちゃったんだ」とか「今までのものとは全然違う」って感動してくれたお客さんが結構いたんですけど、個人的には想定していたものよりも全然できていなくて。やっとスタートラインに立てて、やらなきゃいけないことがたくさん見えたって感じですね。

ーやらなきゃいけないことというのは、技術的な面ということですか?

SunBalkan : 技術も含めてです。去年からDJのIgarashiさんが入った体制でやっているんですけど、ライブは3、4回くらいしかできていなくて。今回は今までのライブとも違うことをやったので想定していたよりも難しいというか、課題がやっと見えた。今年はもう一段階、ぶちかましていきたいですね。


Photo by フジイセイヤ

ーTondenheyさんはライヴを振り返ってどうでしたか?

Tondenhey : 緊張しすぎて、変なモードに入って。そのおかげで上手くいったところもありますね。現場に行くこと自体がちょっとイリーガルみたいな世の中が、近未来っぽくていいなと思っちゃいました。合法なんですけど、アンダーグラウンドで盛り上がっている感じが熱いなって。そういう意味では、現場だからこそ伝えられることを伝えたいって思いました。

Pecori : 今回、Tokyo Invaderはこの3人+チームの仲間と自主でやり出して、そこにお客さんもいる。この世界を1番楽しめているグループだと思います。



ー2021年、バンドとして何か計画していることはありますか?

Pecori : う〜ん。『ODD of the movie2023』!

SunBalkan : 初めて聞いた(笑)。

Pecori : 映画はまたやりたいよね。フル・アルバムを出したいですし、ライブももう一段階広いところでやりたい。あと、メンバー各々のソロ活動を去年よりも精力的にやりたいですね。結果的に全部ODD Foot Worksの活動に繋がるので。

ーそういう意味では、デジタル・フリーマガジン「RE:ODD」も続編を期待しています。

Pecori :「RE:ODD vol.0」は、コロナの自粛期間中に満を持して作ったんですけど、自分たちが思うほどはまだ届いていなくて。紙面に入れた曲「HAPPY MAIL」も、あえてサブスクには入れてないんですけど、知らない人がめちゃくちゃ多いんです。個人的にはぶち上がっているというか、今後、vol.2、3、4と上がっていくにつれて、可能性しかないところもあるし、知る人ぞ知るみたいになっているのもいいかなと思っています。ずっと作っていきたいですね。

ーせっかくですので、この記事を通して伝えたいことなどありますか?

Tondenhey : 映像監督とか、もしこの記事を見ていたら、低予算だけど熱いものを作りたい人募集しています!

Pecori : それめちゃくちゃいい! 映像を撮れる人でもアシストでもサポートしてくれる熱い人がいたら、メンバーのSNSなりに連絡ください。信頼できる仲間が欲しいです。インタビューで募集する人なんてなかなかいないと思いますけどね(笑)。


<リリース情報>



ODD Foot Works
『Qualification 4 Files』

配信中
https://ssm.lnk.to/Q4F

=収録曲=
1. ULTRA
2. KEANU
3. Papillon
4. 浪漫飛行機

Mixed by Giorgio Blaise Givvn
Mastered by Isao Kumano(PHONON STUDIO)

<ライブ情報>


配信ライブ「Park Live」

2021年1月29日(金)
時間:19:20~20:20予定
出演者:ODD Foot Works
配信:YouTube、Instagram、J-WAVE「START LINE」(※一部のみ)⁠

Instagram URL:https://www.instagram.com/p/CKZNh21jdpF/
YouTube URL:https://www.youtube.com/watch?v=krYEV8qMwqY
Park Live:https://www.ginzasonypark.jp/program/000/