京阪電気鉄道は新型ATS(多情報連続式自動列車停止装置)の導入をはじめ、車両の新造・リニューアルや新常態に即したサービスの拡充など、ハード・ソフト両面から「安全安心」のさらなる向上をめざした施策・サービスを展開する。

  • 新型ATS(多情報連続式自動列車停止装置)の概要

新型ATS(多情報連続式自動列車停止装置)は走行中の列車の速度を常時確認し、踏切や駅での異常発生にも対応するなど、従来にも増して保安度が向上。より安全かつ安定的な輸送をめざし、2015年12月に京阪線の出町柳~深草(現・龍谷大前深草間)で使用開始して以降、導入範囲を順次拡大してきた。今年1月9日に京阪線の全営業線で導入を終え、3月に寝屋川・淀の両車庫でも導入予定。これをもって京阪線全線への導入が完了する。

■13000系5次車を新造、6000系は2021年度に2編成リニューアル

京阪線では13000系(5次車)を新造し、6編成36両を導入。2~6月にかけて既存の5000系を置き換える。新造車両は戸挟み検知装置や車内防犯カメラを搭載したほか、車内の乗降用扉上部に広告用デジタルサイネージを設置。既存の13000系(7両編成)49両も2022年度中に広告用デジタルサイネージの設置工事を完了する予定となっている。

  • 京阪線で導入が進む13000系。新たに5次車が6編成36両導入され、5000系を置き換える

  • 13000系と6000系で広告デジタルサイネージの設置工事が進められる

6000系の車両リニューアルも推進。これまでに14編成112両中、10編成80両のリニューアルが完了し、2021年度は2編成16両のリニューアルを進める。車いすスペースをはじめバリアフリーへの対応を図るとともに、座席の更新や内装材の取替えなど車内も刷新。2022年度までに、6000系のリニューアル済車両全編成で広告用デジタルサイネージの設置工事を完了する予定だという。車両における安全性向上の取組みとして、ホーム検知装置の搭載車両の拡大、京阪線・大津線の車両への転動防止ブレーキの導入も進める。

■非対面販売を拡充、磁気定期券・回数券は終了へ

「新しい生活様式」に代表される感染症予防、衛生対策の観点など、新常態を想定したサービスの拡充も図る。1月31日のダイヤ変更で3000系「プレミアムカー」が運転開始となることを受け、特急停車駅の「プレミアムカー」乗車口付近を中心にキャッシュレス券売機を設置。ウェブサイト「プレミアムカークラブ」での購入時にポイントを付与する「京阪プレミアムカークラブポイント」サービスも導入し、「プレミアムカー券」「ライナー券」の非対面販売を拡充する。

  • 特急停車駅の「プレミアムカー」乗車口付近を中心に設置されるキャッシュレス券売機

磁気定期券の発売は3月19日で終了し、改札機にかざすだけで通過できるIC定期券にサービスを集約。回数券の利用も3月末で終了し、利用回数等に応じた割引制度はICカードを対象とした「PiTaPa利用回数割引(京阪線)」「PiTaPa利用額割引(大津線)」と「京阪電車ポイント還元サービス」に集約し、ICカード利用率のさらなる向上をめざす。その他、駅トイレ手洗台における蛇口ハンドルの自動センサー化も順次実施。「アフターコロナ・ウィズコロナ時代」に即したサービスを拡充する。