PL(損益計算書)とは?BS(貸借対照表)との違いや見方を解説!

経理アウトソーシング

PLとは、経理業務で必ず作成する書類であり、日本語では損益計算書と呼ばれます。PLは、会社の財務状況を知るために必要な財務諸表の一種です。この記事では、PLとはどのような役割を持つ書類でありどのような内容か、BS(貸借対照表)との違いやPLの読み方について解説します。

PLとは

PL(Profit and Loss statement)とは、企業の損益を計算した財務諸表のひとつです。決算日などある時点における収益から、収益を得るために使った原価をマイナスして利益を算出。計算結果より、指定期間中(基本的に1年)に企業がどれだけ利益が出たのかを、一覧表形式で表しています。

1、収益・原価・利益の関係

収益は、製品価格(サービス価格)×販売数で製品単位(サービス単位)での数字を計算し、製品数分足しこんで計算できます。原価は、製品を製造するための原材料費など、かかった費用の総額です。利益は、売上金額から原価をマイナスすることで計算できる数字で、実際の儲けになります。

収益・原価・利益の関係の関係を簡単な数字で表すと以下の通りです。

収益:100万円(製品価格1,000円×販売数1,000個)
原価:30万円
利益:収益100万円ー原価30万円=70万円

製品価格1,000円の商品を1,000個製造するのに原価が30万円かかった場合、利益は収益の100万円から原価の30万円を引いた70万円となります。

2、BS(貸借対照表)との違い

BS(Balance Sheet)は日本語で「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」と呼び、会社の財務状況を表す「診断書」のような役割を持つ財務諸表です。会社が持っている資産(現金・土地・建物など)・負債(借金)・純利益をまとめ、「ある瞬間」の財政状態を表現します。

BSは、現在の財政状況がどうなっているのか、経営状況が健全かどうかを確認するために利用する書類です。

一方、PL(損益計算書)は、指定期間における会社の経営成績を示す「成績表」のような役割を持つ書類です。BSは「点」で財政を把握し、PLは「線」で財政を把握するという点が大きく違います。

PLは、1年間の成績で、過去のPLと比較して成長性を確認したり、同業他社のPLと比較して優位性を確認したりするために使われる書類です。

BSとPLは表現する財務状況に違いがあるため、両方を合わせて経営の健全性・安定性や、成長性を総合的に判断します。

3、BSとの見比べ方

BSとPLの見比べ方は、2つの表に記載されている数字の流れを見て理解しましょう。前年度のBS(資産・負債・純資産)に対し、今期1年間のPLで算出した売上・原価・利益等の数字を反映することで、今年度のBSが作成されます。

例えば、仕入れとして1億円分の衣料品を購入した場合、資産から現金1億円がマイナスされ、負債は1億円プラス、衣料品1億円分も資産となります。

仕入れた衣料品を総額3億円で売り切った(PLの売上高)とすると、収入が3億円、現金が3億円ずつ増加。利益は2億円となり、資産と負債の差額分2億円が純資産となります。

PLの各項目説明

PLの各項目は、以下の通りです。

損益計算書 (〇〇〇=金額)
売上高 〇〇〇
売上原価 〇〇〇
売上総利益 〇〇〇
販売費および一般管理費 〇〇〇
営業利益 〇〇〇
営業外収益 〇〇〇
営業外費用 〇〇〇
経常利益 〇〇〇
特別利益 〇〇〇
特別損失 〇〇〇
税引前当期純利益 〇〇〇
法人税等 〇〇〇
当期純利益 〇〇〇

PLの各項目について、収益・原価・利益の別にまとめて解説します。

1、収益の項目

収益の項目は、売上高・営業利益・特別収益の3種類です。各項目の意味について、以下の表に示します。

収益の項目 説明
売上高 営業活動など本来の事業活動で得られた収益。本業で稼いだ利益の計算に使う数字です。
営業外収益 営業活動以外で得た収益。受取利息や受取配当金などは、営業外収益に相当します。
特別収益 売上高や営業外収益に該当せず、一時的に得た収益。固定資産や投資有価証券の売却益は特別収益となります。

2、原価の項目

原価の項目は、売上原価・販売費および一般管理費・営業外費用・特別損失・事業税の5種類です。各項目の意味について、以下の表に示します。

原価の項目 説明
売上原価 売上高を生み出すために必要な製造や仕入れにかかった費用。「商品が売れた際に計上」されます。原材料費や、直接製造・建設にかかった人件費などが該当します。
販売費および
一般管理費
営業活動の中で、販売や管理にかかった費用。直接製造やサービス提供に関係しない間接部門や役員の給与・広告宣伝費・光熱費・保険料などが相当します。
営業外費用 営業活動以外で支払った費用。支払利息や社債利息、投資目的の株式売買による損失などは営業外費用です。
特別損失 売上原価や販売費および一般管理費に該当しない費用。固定資産売却損や、子会社等特別な関係にある取引先の株式売買での損失は、特別損失に相当します。
事業税 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税など、事業活動によって納付の必要がある諸税。

3、利益の項目

利益の項目は、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5種類です。各項目の意味と利益の計算式について、以下の表に示します。

利益の項目 説明 計算式
売上総利益 商品やサービスによって得ている利益。粗利とも言います。 売上総利益=
売上高-売上原価
営業利益 営業活動で得た利益。売上総利益から販売費および一般管理費を差し引くことで確認できる利益です。 営業利益=
売上総利益-販売費および一般管理費
経常利益 本業で得た利益に加え、営業活動以外で得た利益を足しこんだ利益。 経常利益=
営業利益+営業外収益-営業外費用
税引前当期純利益 経常利益に加えて特別利益と特別損失を反映させた利益。 税引前当期純利益=
経常利益+特別利益-特別損失
当期純利益 税引前当期純利益から事業税を差し引いた額で、当期の純粋な利益となります。 当期純利益=
税引前当期純利益-事業税

PLを会社の成績表として確認する際のポイント2点

PLは会社の「成績表」に相当すると説明しました。では具体的にPLのどの部分を確認すればいいのか、ポイントを2点紹介します。

1、当期純利益がどれだけあるか

本業・本業以外すべての収益から、原価と税金を差し引いた後に残った利益が当期純利益です。

当期純利益がプラスかマイナスか、プラスの場合は多ければ多いほど、企業として儲かっていることになり、「成績は良い」と評価できます。当期純利益がマイナスの場合は資産を減らしてしまうことになり、苦戦していると言えるでしょう。

2、営業利益率が高いかどうか

営業利益率は営業利益を売上高で割った数値です。営業利益率が高ければ高いほど、効率の良い経営をしている企業だと判断できます。

例えば、売上高が同じ1億円の会社があると仮定します。A社は営業利益が8,000万円、B社は4,000万円としましょう。営業利益率はA社80%、B社40%となり、A社の方がB社よりも2倍効率良く稼いでいると言えます。

PL作成など経理の作業負担が大きい場合の解決方法3つ

PLやBSの作成など経理の作業負担が大きい場合、解決手段としては経理担当の雇用・アウトソーシングサービスの利用・フリーランス活用の3パターンが考えられます。それぞれの方法について、特徴やメリットを解説します。

1、経理の経験者を正社員として雇用する

経理の経験者を正社員として雇用することで、現状よりは効率良く経理業務が進められ、負荷分散ができます。ただ、正社員の雇用にはコストがかかり、雇用した人数分の人件費はかなり負担が大きくなる可能性があります。

2、経理アウトソーシングサービスの利用

経理の経験者を数人雇用するだけでは十分に対策できない中規模以上の企業の場合は、経理業務自体のアウトソーシングサービスの利用を検討しましょう。

経理アウトソーシングサービスは、経理業務を委託できるサービスのことで、経理専門のスタッフが経理業務を進めてくれます。経理業務をアウトソーシングする過程で経理業務を標準化でき、最新の税制などにも対応してもらえる点など、メリットが多くおすすめです。

3、クラウドソーシングなどフリーランスの活用

個人事業主や小規模事業者の場合、一部の経理業務を切り出してフリーランスを活用する、という方法もあります。クラウドソーシングサービスには経理経験のあるフリーランスも多く登録しているため、自社の求めるスキルに合ったフリーランスを選べます。

経理の作業量が多い場合は経理アウトソーシングの検討を

PL(損益計算書)は、企業が1年間推進してきた事業の成績表です。書類の項目は収益・原価・利益の3種類に分かれ、最終的には当期の純利益がいくらだったかを算出します。企業の経営状況を確認するには、PLの当期純利益が黒字か、PLの数字から算出できる営業利益率が同業他社と比べて高いかをチェックしましょう。

PLやBSの作成などに時間がかかり経理担当者の負担が大きい場合は、経理アウトソーシングサービスなどを活用して業務を効率化しましょう。

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