メルカリ、「マーケットプレイスの基本原則」公開 外部有識者と策定、売り場の透明性向上

フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは1月27日、外部有識者で構成される「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」での議論をもとに策定した「マーケットプレイスの基本原則(Principles)」を公開した。メルカリのマーケットプレイスに参加するすべての人の拠り所となる基本的な考え方をまとめ、より透明性の高いマーケットプレイスとなることを目指す。

「メルカリ」をはじめとした二次流通マーケットプレイスの浸透により、個人でのモノの売買がより簡単かつ身近に楽しめるようになり、モノの循環も加速している。その一方で、多くの利用者が参加することによる課題も生じている。特にコロナ禍においては、社会全体でさまざまな物資の需給バランスが変化し、「メルカリ」においても既存の取り組みの強化だけではなく、より複合的な対策や判断が求められるケースが発生したという。

こうした状況を受けメルカリは、改めて社会において必要なマーケットプレイス運営の原理原則を検討すべく、2020年7月に企業倫理、経済学、ESG等の幅広い外部有識者で構成される「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」(座長:慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授 梅津光弘氏)を設立。以来、6回に渡り議論を重ねてきた。


【有識者会議での議論と「マーケットプレイスの基本原則」要旨】

メルカリと有識者が策定に向けた議論を行った基本原則とは、利用規約やガイドの背景となる、メルカリのマーケットプレイスに参加するすべての人の拠り所となる基本的な考え方をまとめたもの。具体的なルールや禁止行為はサービスの利用規約やガイドに定められているが、その背景となる基本原則が存在することで、より透明性の高いマーケットプレイスとなることを目指すとしている。

本基本原則においてはまず、「多様な価値観を持った人たちが、自由に取引できるマーケットプレイスを創ること」を重要な理念として定めた。マーケットプレイスの果たすべき役割として、多様な価値観を持った売り手と買い手の自由な取引を通じ、需給のマッチングを実現する。誰もが安心して参加できる、多様で自由なマーケットプレイスを実現し、誰かにとっては価値がなかったモノが、他の必要とする誰かのもとに届くことによって生みだされる「新たな価値」を創出していきたいとしえいる。

しかし一方で、例えばコロナ禍におけるマスク・消毒液など、緊急事態下において著しく供給が逼迫しており、本来できるだけ早く多くの人に届けられるべきであるにも関わらず、需給バランスが一時的に崩れ、様々な影響が出てしまうケースも存在する。本基本原則では、有識者会議での議論を通じ、こうしたケースに対応しながら、モノの循環の加速、循環型社会の実現といったマーケットプレイスによって生みだされる正の側面を最大化するための対応基準や考え方として、以下を3つの基本原則として明文化した。


【マーケットプレイスの基本原則(一部抜粋)】

◆安全であること
自由な取引は、安全に利用できる環境があってはじめて成り立つ。そのため、法令に違反する取引を禁止することはもちろん、以下のような取引についても禁止し、取引の当事者及び取引の結果影響を受ける第三者の安全を確保する。
・身体・生命への危害が加わる可能性が高い商品の取引
・違法・犯罪行為につながる可能性が高い商品の取引
・緊急事態において、生命身体の安全や健康の維持に関わる必需品であり、できるだけ早く多くの人に届けることが求められるが供給が著しく不足している商品の取引

◆信頼できること
マーケットプレイスでは様々なものが取引されている。一つ一つユニークな商品を安心して取引するには、商品や取引に関する正確な情報が提供された上で、誠実に取引される必要がある。そのためメルカリは、以下のような行為を禁止することによって、多くの人に信頼して利用してもらえるマーケットプレイスを構築する。
・商品の詳細がわからない取引や商品情報の偽装を行う行為
・商品に問題があっても返品に応じないという行為
・手元に商品がないのに出品する行為
・販売を目的としない出品行為

◆人道的であること
多様な価値観を持つ人々が参加するマーケットプレイスでは、一人一人の価値観や立場が尊重されることが大切である。また、取引を通じて、人道に反するような行為が助長されることがあってはならないと考える。そのため、メルカリでは以下のような取引や行為を禁止する。
・人種、民族、宗教、性別等による差別を助長する商品の取引・行為
・誹謗中傷、脅迫行為等


【需給バランスが著しく崩れ、急激に価格が高騰するものへの対応方針】

本基本原則の策定においては、需給バランスが著しく崩れ、価格が急騰するケースへの対応方針についても議論を行った。今後は、基本原則に基づき以下の対応を行っていくとしている。

◆一次流通における供給状況を確認し、出品規制などを実施
コロナ禍などの緊急事態において、マスク・消毒液に代表される生命身体の安全や健康の維持に関わる必需品であり、できるだけ早く多くの人に届けられるべきであるにも関わらず、供給が著しく不足している商品については、一次流通における供給状況を確認し、必要に応じて出品規制などを行う。


◆購入判断に必要な情報提供を実施
出品規制等の対応を行わないと判断したケースにおいても、需給バランスが著しく崩れ、価格が急騰することで、利用者が意図せず急騰した価格で商品を購入してしまう等、混乱が生じる可能性があることを考慮し、マーケットプレイスの責務として、利用者が冷静に購入判断ができるよう情報提供を強化していく。

今後は一次流通企業とも連携のうえ、商品発売前後の注意喚起や、発売後に商品価格が著しく高騰している場合において、「メルカリ」アプリ内の該当商品検索結果画面・購入画面において注意喚起を行うアラート機能を実装(今春から今夏での実装を予定)することで、安心して取引できる環境の構築を目指す。


アラート機能のイメージ


メルカリは、本基本原則の策定を受け、今後順次、利用規約・ガイドの更新や、カスタマーサポート体制・マーケットプレイス運営ルールの整備など、より良いマーケットプレイスの運営に向けた様々な取り組みを実施する考え。また、利用者に対しても、意見交換や対話の機会を設け、本基本原則の浸透に努めていくとしている。

加えて、本基本原則に沿ったマーケットプレイスの運営と、より良いマーケットプレイスの構築に向けて、利用者はもちろん、一次流通企業、配送事業者、消費者団体、関係するNGO/NPO、関係当局、その他様々なステークホルダーとの継続的な対話を強化する。なお、本基本原則は、半年に1度、外部有識者との「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」を通じてレビューし、社会情勢の変化や利用者・関係者との対話を踏まえて、必要な場合は見直しを行っていく。

本基本原則策定に伴い、メルカリジャパンの田面木宏尚CEOは、「この度、外部有識者の方々との議論を経て、メルカリのマーケットプレイス運営の基本的な考え方を定めた原理・原則を策定しました。有識者との議論は、メルカリがどうあるべきか、創業の理念に立ち返り、社会における存在意義を考える貴重な機会でした。基本原則の策定はメルカリにとっては大きな一歩です。しかし同時に、より良いマーケットプレイスを創るためのはじめの一歩に過ぎず、今後も機能面の見直し・改善や、一次流通事業者・お客さまとの対話を継続的に行い、基本原則についても必要に応じてアップデートを行っていきます。メルカリは今後も、様々な取り組みを通じて、みなさまと一緒により良いマーケットプレイスを創り、限りある資源を循環させる循環型社会の実現に取り組んでまいります」とコメントした。

「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」座長の梅津光弘氏は、「メルカリのマーケットプレイスに関する有識者会議に座長として参加させていただいた。当初は3回で基本原則をまとめる予定だったが、倍以上の時間がかかった。難産の末にようやく赤ちゃんが産まれたのだが、これからが本番だ。我々がしたことは産婆の仕事であり、この原則をどう実践し、育てていくかはメルカリとそのユーザーの双肩にかかっている。実は今、世界中でデジタル・プラットフォームという新技術・新市場に関するルール作りが始まっている。欧米でも基本的な考え方は錯綜し、試行錯誤は始まったばかりだ。そして、この困難な課題を制する者が、将来の市場を制すると言っても良いこの基本原則が日本発の世界にも通用する立派なルールに育っていくことを心から願っている」とコメントした。

メルカリは、今後も循環型社会の実現に向け、より良いマーケットプレイスのあり方を考えていくとともに、誰もが安心して参加できる、多様で自由なマーケットプレイスを構築していく考えを示した。