中日・石川昂弥 (C) Kyodo News

◆ 未来の主砲候補、2年目の春

 2019年のドラフト1位、石川昂弥の2年目が始まった。

 昨秋に体調不良を訴えて秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」への参加を見送ったため、春季沖縄キャンプは二軍・読谷組からのスタート。未来の主砲へ向けて、仁村徹二軍監督が思い描くのは“スパルタ教育”だ。


 時代錯誤だと受け止められることもあるだろう。だが、それも「将来的に4番を打つとなると、しんどい思いをしてもらわないと」という期待の表れ。「昨年は1年間我慢しました。故障されても、免疫力を下げすぎても、というところもありますから、死ぬ寸前くらいまで。死ぬ思いをしてもらう」と語った。

 時間的拘束とハードなメニュー設定。だが、プロは競争の世界。勝てない者は落ちこぼれ、ユニホームを脱がされる。仁村監督は厳しい練習が必要だと判断。早出に居残り、夜間トレ…。未来の4番候補に、これでもかと追い込む猛烈メニューを課す。


◆ 二軍監督が抱く将来像は…

 「イチからスタートの気持ちでやってもらわないとダメ。(巨人)岡本の上にいかないと、(チームメートの)高橋周平を抜く勢いでないと」

 巨人の主砲・岡本和真は4年目にブレイクした。ルーキーイヤーの2015年は17試合に出場し、そこから3試合、15試合。それが突然、2018年に143試合出場して33本塁打を放った。打率.309で100打点。この年をスタート地点として3年連続30発を達成した。

 また、高橋は7年目の2018年に初めて規定打席に到達。2019年には三塁でベストナインを獲得すると、2020年は初の打率3割をクリア。2年連続でゴールデングラブ賞を獲得している。


 どんなスラッガーにも“覚醒イヤー”がある。キャンプを乗り切り、オープン戦でアピールしてポジションをつかむ。開幕してからの第1ハードルは、「自分を信じられるかどうか」だろう。

 2015年の岡本は、開幕前に「どれだけスイングを変えずにいけるか。フォームをコロコロ変えては話になりません」と話していた。高橋も、「良い時は続かない。起用したベンチに応えるように、毎日1本、ヒットを打ちたい。調子を崩したときに修正できる手段を持っていたい」と語っている。

 石川は昨季14試合出場して打率.222。打撃不振に陥り、「構えに戸惑った」という話も聞いた。投手との対戦の前に、自分と戦っていては、打てるものも打てない。


◆ “野球づけ”の日々の向こうに見える景色

 仁村監督は根性もたたき直すつもりでいる。

 「(同学年で一軍・北谷組の)岡林の方がよっぽど『俺は絶対レギュラー取ってやる』というのが出る。石川は、自然とやっていけばあそこまでなるかな、という感じ」とバッサリ。

 脱・ぬるま湯。環境の変化を心配し、ゆとり教育に終始していたのは過去。限界の向こう側の景色を眺めさせる。


 文字通り“野球づけ”の日々の向こう側に何が待っているのか──。

 グラウンドでのたうち回る19歳。上がった悲鳴は体力が残っている証拠となる。鬼軍曹と化した仁村監督はさらに追い込み、背番号2はやがて虫の息となる。ここまできて、指揮官の思惑は達成する。

 まず、背番号2は練習に耐えられるか。そして、実戦で結果を残せるのか。その過程の先にだけ、輝かしいスターへの扉がある。


文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)