ロッテ・安田[写真は春季キャンプ中]

◆ 長年左の長距離砲が不在

 ロッテは長年長打力不足に喘いでいる。本拠地・ZOZOマリンスタジアムにホームランラグーンが設置された2019年にマリン移転後最多となるチーム158本塁打を放ったが、昨季はリーグワースト2位の90本塁打。19年以前は11年から18年まで8年連続で、チーム本塁打100本に到達しなかった。

 “繋いで”、“走って”といった機動力を中心にした打線が作れればよかったが、昨季はチーム盗塁こそリーグ3位の87盗塁も、チーム打率はリーグワーストの.235。得点もリーグワースト2位の461得点だった。

 チーム最多本塁打はマーティンの25本。球団の左打者で20本塁打以上放った選手は、08年に24本塁打を放った大松尚逸氏以来12年ぶりのことだった。右打者は19年にレアードが32本塁打、18年と19年に井上晴哉が24本塁打放ち、日本人選手を見ても井口資仁監督が現役時代の13年に23本、09年にサブロー氏の22本塁打と数年に1度、20本塁打放つ選手が表れている。

 ただ、“左打者”は外国人選手だけでなく、日本人選手も長年長距離砲が不在。直近10年でシーズン10本以上本塁打を放った日本人の左打者を見ると、17年に11本塁打、19年に15本塁打を放った鈴木大地(現楽天)しかいない。ちなみに、その前の2010年はというと、大松氏が16本塁打、福浦現二軍ヘッドコーチ兼打撃コーチが13本塁打放っている。2011年以降に左の日本人長距離打者、冬の時代に突入したといえる。

▼ 直近10年の左打者のチーム最多本塁打
11年  3本 福浦和也
12年  9本 根元俊一、ホワイトセル
13年 11本 ブラゼル
14年  8本 角中勝也
15年  6本 鈴木大地、角中勝也
16年  8本 角中勝也
17年 11本 鈴木大地
18年  8本 鈴木大地
19年 15本 鈴木大地
20年 25本 マーティン

◆ 安田は昨季6本塁打

 左の長距離砲候補が全くいないわけではない。安田尚憲には、大きな期待がかかる。

 安田は、昨季初めてシーズン通して一軍でプレー。「成績は全然ダメでしたし、本当に来年(2021年)はレギュラーをとる気持ちでいかないと。今年(2020年)のような成績では一軍に残ることができない。そういう気持ちをもってやっていきたいと思います」と20年終了直後の取材でこのように振り返った。

 本塁打は6本塁打だったが、「勝負の決まる打席で結果が出てよかった」と10月3日の西武戦では3-3の7回に決勝の3ランを放つなど、やはり勝負所での一発はチームの雰囲気もよくなり、ファンもより一層盛り上がる。19年にはファームで19本塁打を放ちイースタン・リーグ最多の本塁打を放った過去がある。“長打力”という意味では、現状の日本人の左打者で、一番期待ができる選手といっていいだろう。

 その他にも、シーズン最終盤に一軍に昇格し、2本の先頭打者本塁打を放つなど3本のアーチを描いた藤原恭大、“打てる捕手”の佐藤都志也などもいる。

 2月1日から始まる石垣島春季キャンプには、現役時代に2度の本塁打王に輝き、04年には平成唯一の“三冠王”に輝いた松中信彦氏が、臨時打撃コーチを務める。その松中氏は球団を通じて「マリーンズは若い有望な選手が多いというイメージです。これからのマリーンズを背負っていく野手が特に多いという印象を受けています。今まで自分がやってきた色々な練習方法や技術を若い選手に伝えたいと思っています」と意気込む。

 左の長距離砲だけでなく、昨季25歳以下の日本人右打者はパ・リーグで唯一0本塁打など“長打力”という面で課題の多いマリーンズ。その一方で、期待の若手が多いのも事実。日本人では12年間出ていない左打者の“20本塁打”。今季その壁を突き破る選手は出てくるだろうかーー。

文=岩下雄太