「いつ大規模停電が起きてもおかしくない状況」LNG不足、寒波・豪雪、原発一時停止…ひっ迫する電力需給
声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。1月20日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「ひっ迫する電力需給」。元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也(うさみ・のりや)さんに話を伺いました。


※写真はイメージです



電力の需給が、ひっ迫しています。1月12日(火)には、関西エリアでの電力の使用率が99%まで上昇。四国でも、一時、使用率が98%まで上昇しました。

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鈴村:電力の需給、現在ではどれくらい厳しくなっているのですか?

宇佐美:率直に言って、“いつ大規模な停電が起きてもおかしくない状況”になっています。東北、北陸、関西、中国、四国、九州といった地域は非常に厳しいです。ちなみに電気の使用率は「予想消費電力」を「そのエリアの供給力」で割った数値で表されます。これらの地域は、電気の使用率が100%近くに迫っているので、本当にスレスレの綱渡りの状況です。

鈴村:やはり寒い地域の電力の需要が厳しくなっているのですか?

宇佐美:寒い地域ということもあるのですが、いくつかの理由があります。関西や四国は今、原発が特殊な事情で止まっているので厳しくなっています。

鈴村:あらためて電力の需給が、ひっ迫している理由を教えていただけますか?

宇佐美:理由は大きく3つあります。電力の需給が足りない一番大きな理由は、「火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)が不足していること」。2つ目は、「寒波、豪雪、天候不順の影響で太陽光発電が不調なこと」。3つ目は「新たな規制基準を満たして、すでに再稼働している原発がメンテナンスや設備追加で一時的に停止していること」。これらの複数の事情が重なって、全国的な電力危機が起きています。

鈴村:緊急事態宣言によって、電力の需給が、さらにひっ迫する可能性はありますか?

宇佐美:残念ながら、その可能性は結構あります。不足しているLNGの取引は、決済から日本にくるまでに2ヵ月くらいかかります。原発も数ヵ月は稼働する見込みがないので、この状況があと1ヵ月程度は続きます。そのようななか、緊急事態宣言でテレワークが進んで、そこに寒波が重なってしまうと、電力需要が増えて、さらに電力需給がひっ迫する可能性があります。

鈴村:電力の需給がひっ迫すると、停電が起こる可能があるとのことですが、そのほか、私たちの生活には、どのような影響が出てきますか?

宇佐美:あらためて言いますと、「大規模な停電が発生するリスクがある」ということ。仮にそれを乗り越えても、現在かなり高騰しているLNGを大量に購入して、この状況を乗り切ることになるので、1ヵ月後、2ヵ月後に「電力料金がかなり上がる」ことになります。

鈴村:電気代が上がる可能性があるということですか……。このひっ迫した状況を改善するには、どういう対策がとられているのですか?

宇佐美:今、電力会社が発電用LNGを必死にかき集めているところです。主な対策としては、韓国や台湾で一度陸に上がったLNGの残りをかき集めるような、いわゆる“落穂ひろい”です。

あとは、ガス会社からLNGを融通してもらったり、スレスレの調整でエリアを超えて全国で電力を融通しあったり、工場の自家発電設備から電気を集めるようなこともおこなっています。本当に“総力戦”の状況ですね。

鈴村:もう“できることは全部やる”という状況なんですね!? そこまで、ひっ迫しているなかで僕らができることは、やはり、できる限り電気を使わないようにすることでしょうか?

宇佐美:“効率的に使う”ことですね。例えば、複数の部屋で暖房を使うよりは、みんなで集まって1つの部屋にいるとか、“余計な電気を消しておく”とか。

鈴村:なるほどね。春になったら、このひっ迫した状況は落ち着く可能性はありますか?

宇佐美:短期的には落ち着くと思います。ただ、本質的には、“電力需給の予測を外した”ということが原因なので。その1つで電力危機に陥ってしまう、日本の電力業界の構造に問題があると思います。火力発電頼りをやめて、電源の多様化を進めないと。こういう問題は、おそらく今後も数年に一度は起きる可能性が高いと思います。

鈴村:根本的な構造の問題を改善しないと、またいつ起こるかわからないということなんですね。新型コロナウイルス感染拡大の影響もありますか?

宇佐美:ありますね。燃料を供給する側が、コロナの影響で電力消費がかなり落ちると思ってLNGの供給を絞ったので。需要側も減少すると見込んでいたのですが、その予測を外したことに繋がっていますね。

鈴村:電力需給の問題は、電力業界の構造自体を一度、考え直さなければならないのかもしれないですね。生活のなかで当たり前のように使っている電気ですが、どのように生み出されて、どういう問題があるのかを、もっと知っておかなければならないとも思いました。

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月~木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/