顧客へのメール配信頻度はどう決めたらよいのか?【最短でリピーターを倍増させるCRMノウハウ】第6回

ECサイトからお客さまへ、日々さまざまな形でメッセージ配信が行われています。例えばメールやLINE、郵送のダイレクトメール、同梱物など、企業から顧客へのメッセージ配信は、さまざまな形で存在します。そのメッセージ配信をどのように行っていくか決めていく中で、必ず話題に出るのが「配信頻度」です。

今回は、顧客のロイヤルティーを高めてリピーターを最大化させるための、メッセージの配信頻度についてお伝えします。その中でも特に、話題に上がることの多い、総合通販のようなアイテム数の多いECサイトにおけるメールの配信頻度についての考え方を解説します。 


お客さま一人一人に合わせた頻度を実現するのが最適解
まず結論からお伝えすると、過去の記事でお伝えしたメールの配信時間帯の問題と同様、「月4回」「週1回」などと画一的に配信頻度を決めるのではなく、コンテンツごとに顧客一人一人に合わせて配信するのが理想です。特別なキャンペーンやセール情報のように、すべてのお客さまに伝えるべき情報なら問題ありませんが、いまだにほとんどの場合が、企業側の一方的な都合で配信頻度が決められ、ルーチン業務として担当者が送る内容を考えて、その都度手作業で配信しているのです。

企業から顧客に配信されるメールにはさまざまなコンテンツがあります。例えばセール情報、売れ筋ランキング、新商品のお知らせ、おすすめ商品のお知らせやコラムなどです。

例えば、ある顧客が、新商品情報は毎回チェックするけれどもランキングはあまり見ない、といった行動をとっているとしますその場合、。購入検討時にランキングをよく見る人と、同じ頻度でランキング情報のメールを送ることはあまり効果的ではありません。

このように、それぞれのコンテンツに対する興味度の違いを反映した配信頻度を実現する必要があります。
 

なぜ顧客ごとの最適な頻度のメッセージ配信が難しいのか

では、「一人一人に最適な頻度でメッセージ配信する」という理想を実現することが、なぜ難しいのでしょうか。それは、「施策に必要なデータが取れていないこと」「データが取れたとしてもそれを活用した施策を実行できるシステム環境がないこと」、さらには「施策設計〜実行までのノウハウがない」などといったことが、根本原因だと考えられます。

また、多くの企業では、ECサイトのCRM領域を統括する専任の担当者がおらず、他の業務と兼任しているケースが多いです。片手間になってしまうことで、システム環境とノウハウがあっても時間がない、ということも要因の一つでしょう。

顧客ごとの最適なメッセージ配信を実現するためには、これら三つの問題(システム・ノウハウ・時間)を全て解決する必要があります。

 
どうすれば理想的な配信頻度を実現できるのか

上記のような、顧客に合わせた最適な施策を行うために重要なのは、「どのようにすれば実行できるのか」「自社の運用体制で施策の実行が可能なのか」という観点で、CRMシステムを選定することです。そうでないと、せっかく高機能なシステムを導入して機能的には可能となっても、シナリオの実装ができず、システムが活用されないという問題が生まれます。施策を実行しただけでその後の検証や改善ができない「施策のやりっぱなし」という問題も起こります。

また、CRMの施策が十分実施できているつもりでいても、実はこの「やりっぱなし」という状態になってしまい、ターゲットやコンテンツ、タイミング、頻度が全くチューニングできておらず、最適な状態になっていないというケースは非常に多いので、注意が必要です。特に、大企業に多い問題です。少なくとも、メール経由の売り上げ構成比の高いシナリオについては、まずは現状の効果がどうなっているか(最低でも配信数や開封率、クリック率、購入率、売り上げなどのKPI、そのシナリオリピート率、LTVへの貢献度合い、時系列の変化)を把握しましょう。改善の余地の有無については、必ずチェックすることをおすすめします。こういった「状況把握を迅速にできる」ということも、システム選定で重要なポイントです。


最適化を追求していくと、究極の理想は、「開封率」「クリック率」「購入率」すべてが100%のメールを配信することですが、そればかり狙いすぎると、効率は上がっても効果が減少して先細りとなっていきます。つまり、売り上げのボリュームが減少してしまうということです。

メール配信の目的は、顧客にメッセージを伝えることで、再来店のきっかけや再購入といった短期的なゴールにつなげることだけでなく、ショップのファンになっていただくという長期的なゴール(高いLTV)の実現にあります。

そのため、ターゲットとなる顧客や効果的な施策に絞った最適化を極端に行うだけでなく、一斉配信のメルマガも組み合わせた運用を行うことで、顧客に対してさまざまな角度でメッセージを伝え、リピート売り上げの規模拡大を実現することができます。

効果的だからといって同じ手ばかり使っていては刺激に慣れてしまうためです。
 

ECは、売り手と買い手がどちらも「人」の商売です。「自分が顧客の立場だったらどう思うだろうか」「毎回見ないコンテンツを高頻度で送られたらどう思うか」「毎回同じような情報ばかりで飽きないか」「その顧客がよく見るコンテンツが更新されたタイミングで通知されたら喜んでいただけるのではないか」など、”顧客視点”で喜ばれる施策を想像し、プランニングすることが重要です。

現在は、さまざまなサービスや商品が生まれています。今までもこれからも、顧客が受け取る情報量は増加をし続けていきます。興味のない情報ばかり配信してくる企業は次第に選ばれなくなってしまいます。ぜひテクノロジーの活用と、担当者の想像力で顧客から喜ばれるメッセージ配信を実現し、事業の拡大につなげていただければと思います。

 

【著者プロフィール】



株式会社アドブレイブ 執行役員 中村隆嗣(なかむらたかつぐ)

2003年に株式会社北国からの贈り物に入社。自社サイトの立ち上げ期から参画しマーケティング責任者として月商3億円を超える成長まで導く。2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランド、アジアTOP3化粧品メーカーなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングおよびCRMプロジェクトを手がける。コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年にアクションリンクを立ち上げ、2019年アドブレイブに執行役員としてジョインし現在に至る。