アイドルグループ・KAT-TUNの亀梨和也が主演する日本テレビ系ドラマ『レッドアイズ 監視捜査班』(23日スタート、毎週土曜22:00~)。このアクションシーンの演出から編集までを手掛けるのが、日本を代表するアクション監督の下村勇二氏だ。

そんな同氏が、自身が演出するアクションの見どころから、主演・亀梨の魅力などを語った。

  • 下村勇二氏(中央)=日本テレビ提供

――アクション監督というのは、作品制作の上で、どういう役割なんでしょうか?

チームや人によって違いますが、僕の場合は、先ず台本にあるアクションシーンのドラマと動きをアクションチームで構成してから、ビデオコンテを作ります。その際に実際の撮影を想定したカメラアングルやカット割りを決めます。その後、役者さんのトレーニングをして、撮影現場ではアクション演出はもちろん事故防止の安全管理などもやります。最終的にはそのシーンの編集から効果音までを担当しています。

――アクションシーンの指導だけではないんですね。

そうですね。作品ごとに少しずつ関わり方は違いますが、もちろんアクションは一人では作れないので、チームとして役割分担をしています。今回はアクション指導の谷本(峰)を助手に付け一緒にアクションシーンを考えています。

――演じる役者さんたちとはどういったコミュニケーションをとって実際に撮っていくんですか?

アクションをただの暴力に見せないために、戦う意味と必然性を一緒に考える事もあります。キャラクターの性格や特殊技能など裏設定も監督からお話しを伺い、役者さんと話し合った上で撮影していくと、アクションに深みが出てくる。ドラマ全体を通してアクションが浮かないように、キャラクターが自然と戦っているように見せる意識をしています。

――本当に細かいところも考えて、ひとつひとつの動きを作られているんですね。その中で下村さんが一番大切にされている部分というのは何でしょうか?

どうしてもアクションというと動きだけになりがちなんですけど、実は動いてないところもすごく重要なんですよ。

――動いていないところ?

はい。佇まいだったり、歩き方だったり、ちょっと振り向く動きもキャラクターによって違うはずですよね?例えば、強いキャラクターなら普段から強そうな雰囲気が感じられるはず。例えば銃声を聞いて驚くという演技でも、強くて戦い慣れているキャラだったら、大きく驚かないかもしれない。でも、戦い慣れてない人は、弱そうな表情や動きがつい出てしまう。そういった瞬間だけでもキャラの裏が見えてきます。

――そうですね、本当に一人一人の個性がそこに見えますね。

キャラクターを理解しながら、日常の動きの中にアクションシーンを作っていくと、より世界観が広がってアクションに説得力が出ます。そのためにはやっぱり、『アクションをしていないところ』がすごく重要です。だから、構えって実はすごく難しいんですよね。動いているとごまかしが効くところも、下手な人が構えると『この人絶対弱いよね』ってバレてしまう。だから僕の中ではアクションというと、ただ立ち回りをするだけではなく、動いていない瞬間も大事にしています。

――1話のラストシーンで、亀梨さん演じる伏見が感情を爆発させるシーンがとても印象的でした。

あのシーンは、現場にいた僕が見ていても良いシーンだと思いました。狭い空間での撮影で、雑物も多く位置関係や動きの幅などに制限もありアクションをするのは難しかったと思います。その中で、ただ容疑者を拘束するアクションだけでなく、どこで伏見の感情のスイッチが入るのか、どこで理性を失う瞬間があるのか?監督と打ち合わせをしながら、こだわって撮影しました。

――主演の亀梨さんの印象は?

まず、アクションを覚える感覚がすごいと思いました。僕たちがアクションの動きを見本でやるのを見て、大体、1~2回で動きを覚えてしまうんですよ。僕自身もまだ覚えきっていないのに(笑)。お仕事でダンスをされている感覚と同じなんでしょうか。そして、早く覚えるだけではなくて、動きがきれいですよね。

――きれいなアクションというのは具体的にどんなところなんですか?

身体の使い方がキレイ…あと、躍動感ですね。ちゃんと格闘技をやっている体の使い方もされていて、蹴りもしっかりと腰が入っていて、すごくアクションに向いている動きなんです。このパンチで人は飛ばないだろうとか、この蹴りで人は倒れないだろうっていう嘘をなくすための身体の使い方がある。それができないとただの形や段取りに見えてしまう。そういう意味でも亀梨さんは、説得力のある動きをされるので、やっぱりうまいなと感じました。