2月43日?榎木淳弥と小野賢章が語る『2.43 清陰高校男子バレー部』 

2021年1月7日からフジテレビ ”ノイタミナ” ほかにて放送されているTVアニメ『2.43 清陰高校男子バレー部』。壁井ユカコ氏の同名小説を原作とする本作は、東京から母方の郷里・福井に引っ越してきた灰島公誓と、彼の幼なじみ黒羽祐仁を中心に、清陰高校男子バレーボール部が弱小ながら全国を目指す熱い青春ストーリーになっています。そんな今作で、黒羽祐仁役を務める榎木淳弥さんと灰島公誓役を務める小野賢章さんに、作品の魅力や収録現場の裏話などを伺ったインタビューをお楽しみください。

――『2.43 清陰高校男子バレー部』という作品名ですが、初めて聞いた時に『2.43』が何を意味しているか、お二人はピンと来ましたか? 

榎木 いやー、分からなかったですね。一瞬日付かなと思ったのですが、一体何日だよって。2月43日ってなんだよって(笑)。その後調べてみてようやく、バレーのネットの高さだと分かった感じでした。

小野 僕も最初「2.43」は日付かなって思っていて。もしくは、大会までの期間かなって。2カ月と43日間みたいな……。

榎木 じゃあ、3カ月と13日間とかになるんじゃない?

小野 そうなの! なんかよく分からない感じになるの。だから、実際の意味を知った時に、目標の高さを表している、良いタイトルだなって思いました。

――ちなみに、お二人はバレーの経験はありますか?

榎木 いや、体育の授業くらいで……。

小野 僕も同じくです。だから、2m43㎝も跳べないと思います(笑)。

――身長よりも随分高い位置ですもんね。今作は、福井県が舞台になっていて、灰島以外のキャラクターは基本的に福井弁で話すことになります。配役はオーディションで決まったとお伺いしていますが、オーディションの時に何か印象に残っていることはありますか?

榎木 僕は、黒羽と灰島を受けました。オーディションの段階では、福井弁のガイドとかはいただかなかったので、各々福井弁を聞いてくるか、そのまま標準語でやるか、どちらでも良かったんです。けど僕は親戚に福井の人がいるので、「俺、福井弁やってまっせ感」を出そうかなと思って、一応福井弁のコツを聞いてからオーディションに臨みました。そのお陰か、「なんかネイティブっぽい自然さがある」と言っていただけたので、良い方向に向かえばいいなと思ったのは覚えていますね。

――結果、黒羽役に結び付いたと。

榎木 そうなるんですかね。まあ、これ見よがしに「福井弁、調べてきました」ってアピールしましたからね(笑)。

小野 僕は、灰島以外に越智役も一緒に受けたのですが、めちゃくちゃ適当になまらせましたよ(笑)。

榎木 方言の部分は、いざ本番になったらガイドがついて正式に教えてもらえるので、オーディションの段階ではそこまで意識しなくてもいいところなんですけどね。まあ、僕の場合はやる気アピールです(笑)。

小野 僕は誰に聞けるでもなく、オーディションの前はとにかく福井弁どうしようっていう感じで……。自己流なので福井弁にはなっていなかったと思いますが、一生懸命福井弁ぽく演じたので、受かるとしたら越智のほうかなと思っていましたが、灰島役と聞いた時はびっくりしました。

――灰島のほうなのかと驚いたんですね。

小野 驚くとともに、(標準語で話す役の)灰島なら、方言しなくていいや、ちょっとラッキーとも思いました(笑)。でも、普段、標準語で話すのが当たり前になっているので、こういう機会に福井弁に挑戦してみたい気持ちもありましたね。

――大阪弁とか博多弁とかはよくありますけど、なかなか福井弁をアニメでやるってないですものね。

榎木 なかなか聞かないですよね。

――榎木さんはご親戚が福井にいらっしゃるとのことですが、福井にも行かれたことはあるのですか?

榎木 小さい頃は、夏休みに家族で福井の親戚の家に遊びに行ったりしていました。

――では、なんとなく福井の風景とかはイメージしやすいものがあったり?

榎木 そうですね。なんか空気感みたいなものとか、言葉遣いも頭に残っていたりしましたね。

――福井弁ってどんな感じなんでしょうか?

榎木 ねっとりとしている感じですかね。ねっとりのんびりしている印象です。

小野 僕は福井とは全く縁がなかったですね。行ったこともない気がします。多分…………。

榎木 それだけ考えてなかったら、ないね(笑)。

小野 うん。記憶を辿ってもないです(笑)。

――福井に対して抱いているイメージはありましたか?

小野 申し訳ないんですけど、本当になくて……。アフレコが始まる前に、福井のことを知ろう番組みたいなのをやらせていただいたのですが、そこで色々と知ることが出来て良かったです。有名な観光地の東尋坊とか、ソースカツ丼とか!

榎木 確かにソースカツ丼は美味しい!


――魅力いっぱいの福井が舞台の作品ですが、今回お二人が演じていらっしゃる黒羽と灰島はそれぞれどんなキャラクターなのでしょうか?

榎木 黒羽は身長も高くて、ポテンシャルはかなり高いんですけど、灰島に引っ張られる形で始めたのもあって、バレーに対する情熱はまだそこまである訳ではないんです。それに、高いポテンシャルの割には、メンタルがあまり強くなくて……。緊張するとミスが多くなってしまうというところがあるんです。でも、基本の性格は明るくて普通の高校生って感じですかね。

小野 灰島は、勘違いされやすいキャラというか。不器用な人間だなと思います。とにかくバレーが好きで、バレーのことしか考えていないので、言葉をストレートにぶつけてしまうキャラなんです。それ故に色々とトラブルを起こしたりするのですが、それでも、とにかくバレーのことしか考えていないという、ぶれない人間だなと。

――黒羽と灰島を演じる際に意識されていることはありますか?

榎木 福井弁の特徴として、あんまりハキハキ喋らないというのがあるらしいので、聞き取れる範囲で、濁音とかはちょっと鼻にかけて発音したり、あんまりはっきり喋らないところを作ってみたりしていますね。

小野 僕は、セリフに悪意をもたせないように気を付けていますね。灰島って、セリフ自体が鋭くてちょっと棘があるんです。受け手側からしてみると、これって俺のこと嫌いなのかって思うくらいの棘のあるセリフなので、言葉自体の強さにさらに音声としての強さを乗っけてしまうと、灰島が嫌な奴にも見られかねないなと思って。なので、本当に悪意はなく、ただ純粋に先輩が春高に行くため、バレーで勝つためだけに発している言葉で、そこに悪意はないんだよというのは意識するようにしていますね。

――難しい表現ですよね。

小野 そうなんです。だから本番を録っても、これで良かったかなって不安になることが多くて……。なので監督のOKを信じています。

――アフレコ現場はどんな感じなのでしょうか?

小野 和やかな現場なんですが、他の現場に比べて、セリフの練習している人が多いです。

――それは熱心な人が多いからとか……?

小野 いや、福井弁が難しくて(笑)。

榎木 僕、1話とか2話のアフレコ時は、福井弁に慣れるのに必死で、賢章君と会話していないですもん(笑)。だから、賢章君には暇な思いをさせてたかなって。

小野 いえいえ、大丈夫です。ゲームしてたんで(笑)。

――じゃあ、現場はひたすらみんなぶつぶつセリフを唱えている感じなんですね。

榎木 そうですね。ひたすら唱えています。

――小野さんは、それを横目にゲームを?

小野 そうですね。申し訳ないなとは思いつつも、ゲームもね、大事な仕事なんで(笑)。

榎木 充電しながらやってましたもんね(笑)。

――練習のお陰で、福井弁はだいぶ板についてきましたか?

榎木 そうですね。だいぶ慣れてきて、アフレコの時に会話する余裕もあります(笑)。

――今回の作品は、比較的キャストの皆さんの年齢が近いですが、皆さん面識はあったのでしょうか?

榎木 僕は皆さんありましたね。

小野 僕は伊東(健人)さんだけ初めてで。

――伊東さんに初めてお会いされていかがでしたか?

小野 SNSではたまにお見掛けしていたんで、SNS上では出会っていたんですが、初めて本物に出会った時は、思ったより身長が高い!ってびっくりしました(笑)。それに、性格は穏やかな方で、本当に(伊東さんが演じている小田のように)主将っぽい方でしたね。


――清陰高校男子バレー部はキャラクターも中々濃いメンバーが揃っていますが、お二人が友達になるなら、どのキャラクターが良いとかありますか?

榎木 僕は棺野ですかね。やっぱり女バレと繋がりがあるんで(笑)。

小野 その繋がり大事!

――そう来ましたか(笑)。確かに棺野は外練習の時はいつも女バレと練習してますもんね。

小野 僕は斜に構える考えが好きだったりするので、ニヒルな感じのする青木とかちょっと合いそうな気がします。

――この作品は、もちろんスポーツ物でもありますけど、男子高校生の等身大の悩みというか、心の繊細な揺れ動きにも、スポットが当たっている作品だと思うのですが、実際に演じてみていかがでしたか?

小野 人と真正面からぶつかって自分の心情が変化していくことで、物語が進んでいく作品なので、演じていて「こんな青春、自分にはあったのかな」って思うことがあるんです。特に灰島は、まわりくどい言い方をしないので、凄く恥ずかしいことも何のためらいもなく言ったりするんです。でも、演じていて、逆にそれが気持ち良いというか……。言葉にすることの大切さも、包み隠さずに言う危険性も、灰島で味わえているという感じですかね(笑)。大人になるとちょっと察してくれみたいな、あえて言葉にしないことってたくさんありますけど、そういうことがない、若いからこそ出来ることがたくさん表現されているので、そこにエモさを感じてもらえればなと(笑)。

――エモいな~と思いながら演じていらっしゃるんですね。

小野 そうですね。僕にはこんなエモさあったかなって思いながら演じています。じつは、セリフを言うのがちょっと恥ずかしいんですよね。まあ、本番入ったら恥じらいなんてなくなりますけど、普段の自分が言うとしたら凄く恥ずかしい。台本貰って読む時は毎回、「ほわっ~!」ってなるんです(笑)。恥ずかしいなこれ!みたいな。今日録ったセリフも恥ずかしかったです。

榎木 確かに今日は恥ずかしかった。なんか愛の告白かと思った(笑)。

小野 凄いセリフって思いながらも、これがスポーツをしている高校生の青春なんだなって思って演じています。

――青春をまざまざと見せつけられている感じなんですね。

小野 そう! 見せつけられています。「お前はあったか? こういう青春」って、毎週見せつけられていますね(笑)。

榎木 キャラクター同士の人間ドラマ的な部分とか、過去に関連したシリアスな話も結構描かれていて、爽やかなだけじゃない作品だなって思いました。キャラクターが重い過去だったり何かしらと戦わなくてはならないことが多いのですが、それを乗り越えていこうとする姿がすごく美しい作品だなと思っています。何歳になっても、乗り越えていかなくてはならないことって常にあると思うんです。乗り越えられるか分からないけれど、そこを乗り越えいこうと奮闘している姿勢は、見ていてすごく気持ち良いものがありますし、勇気をもらえるものだと思うので、そこを楽しみに、観ていただけたら面白いんじゃないかなと思います。

小野 是非観てみてください!

終始リラックスした表情で、時にお互いにツッコミを入れつつも笑顔で取材に応じてくださった榎木さんと小野さん。若者ならではの心の機微を演じる難しさや楽しさを熱く語ってくださいました。皆さんも是非、アニメ『2.43 清陰高校男子バレー部』を観て、青春のきらめきを感じてみては?

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(C)壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会