みなさんこんにちは。科学コミュニケーターの伊達です。
新型コロナウイルス感染拡大が続いています。そんななかでも私たちの生活は続きます。冬はセンター試験や資格試験などを控え、感染対策レベルを上げたい方も多いはず。このような状況のなか、具体的にどんな対策ができるのでしょうか?
今回は家庭内感染対策に絞り、感染症対策のプロ・堀成美さん(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)とニコニコ生放送で視聴者の皆さんと一緒に考えました。

家庭内にウイルスを持ち込まないためには?

番組放送の前日1月2日、東京・埼玉・千葉、神奈川の1都3県の知事が政府に緊急事態宣言の発出を求めたというニュースがありました(これを受け、1月8日に発出されました)。20時以降の夜間外出を控えることなどが求められていますが、、感染対策で重要なことは「マスクを外して会話する場面を減らすこと」と堀さんは話します。

職場や学校で仲間と一緒にランチをしたり、友人のお家でホームパーティーをしたときに、マスクを外したまま会話することがあれば、そこで感染するリスクは夜の会食の場と同じです。昼や夜かは関係ありません。家庭内感染の発端は、家庭の外から持ち込まれたウイルスです。まずは、家庭の外での「マスクを外して会話する場所」をできる限り避けましょう。

お店などであれば、そこに入るのを避けるといったこともできます。ですが、家を避けることは難しいですし、本来、家庭は安らぎの場であるはず。感染症対策に熱心になるあまり、安らげなくなってしまったら、長続きは難しいでしょう。日常的に無理なく感染対策を続けるためにはどうすれば良いでしょうか?そして受験期など一定期間対策レベルを上げたい場合は、どんな方法があるのでしょうか?このあと具体的な対策を紹介していきます。

家庭内での感染対策ポイント

100人いれば、100通りの暮らしかたがあります。1人暮らしの方もいれば、小さなお子さんや介護が必要な方と暮らしている方もいると思います。そして家の広さも違います。それぞれの生活に合わせた対策を自分自身で考えための、対策ポイントは下記5点です。

家庭内での感染対策5つのポイント

例えば、「せっかくつくったご飯を同居人が残している... 捨てるのもったいないし、自分が食べよう」──こういう場面は避けると感染リスクを減らせます。食べ残しには、お箸やスプーンについた唾液がうつっている可能性があるからです。
みんなで一緒に使うもの、特に誰かの唾液がついている可能性のある歯磨きコップなどは使用後によく洗うようにしましょう。逆に、ドアノブや電気のスイッチなどは歯磨きコップと比べれば、感染リスクは低いです。共用物をすべて洗ったり消毒したりするのが難しければ、リスクの高いところを重点的にすることが有効です。また、自分が手を洗うことで物の接触を介した感染リスクは減らせます。

「対策ポイントは分かったけど、自分の生活でどこまで徹底すれば良いんだろう... この場面、避けられないこともあるけどどうしよう...」など、自分がやるときにどうすれば良いかに迷っている方もいると思います。

ここからは、科学コミュニケーター高橋のゆる~いイラストを交えて、生活の中でできる感染対策を紹介します。

1人暮らしの場合

同居人に感染させてしまう、といった心配はありません。部屋の大きさに関わらず、換気は必要ないでしょう。ですが、自分の体調が悪くなったときにどうするかを考えておくことが重要と堀さんは話します。
「具合が悪くなったときに生活に必要なものを買い行くのは体力的にしんどいですし、コロナ陽性になると外出を控えるよう保健所から言われます。いざというときに生活に必要なものをあらかじめ蓄えておくことに加えて、生活用品を配達してくれるお店や近くに住む知人、そして具合が悪くなったときに相談できる自治体や病院の窓口の連絡先をまとめておくと良い」と言います。

同居人がいる場合① 食事をともにするとき

同居人と一緒に食卓を囲むとコミュニケーションが生まれ、和むと思います。こころを休めるためにも重要な時間です。しかし、もし食卓を囲むだれかの体調がすぐれないときは、距離をとったり、別の場所で食べたり、時間をずらして食べることで感染リスクを下げることをおすすめします。

とはいっても相手が下右のイラストのように、食事に手伝いが必要な小さなお子さんの場合、距離をとることもできません。大人の体調が悪い場合は、大人はマスクをするなどの対策がおすすめです。

家での食事シーンでの感染対策は?

同居人が入試や資格試験を控えているなど、何が何でも感染するわけにはいかない!という場合はどんな対策がありえるでしょうか?この場合は期間が限られるので、その間だけ生活に強い制限をかけることも可能でしょう。

堀さんは、感染から守りたい人が別空間で生活する“逆隔離”という考え方を紹介してくれました。感染していても無症状の人がいる新型コロナウイルスの特性上、誰もが気づかないうちに感染して同居人にうつしてしまうと言うことが起こりえます。コロナの特性を踏まえて、(隔離される方の苦労が大きいのですが)逆隔離の対策が有効と話してくれました。

同居人がいる場合② 介護が必要な方と過ごすとき

二つ目は介護が必要な方と暮らしている場合です。多くの場合は高齢者や病気をお持ちの「守りたい人」になりますが、介護が必要なので受験生のように逆隔離をするわけにはいきません。介護は、下のイラストのように身体的な接触や顔の近くで話すことが避けられない場面です。

介護が必要な方との生活での感染対策は?

この場面で有効な対策は、近くでの会話を可能な限り避けること、そしてできれば双方が、それが難しい場合でも着用できる側はマスクをつけることです。
イラスト右の抱き上げるときなど、声掛けをすることで相手に心づもりをしてもらわないと驚かせてしまう状況ではどうすれば良いでしょうか?この場面では、少し離れた場所から必要なコミュニケーションをとったあとに、近づいてからは話さないようにするなどの工夫をすると良いとのことでした。

もし自分の「陽性」が判明したら?

陽性とわかって入院したら、医療従事者が近くにいて対応してくれますが、問題となるのは入院までの間です。陽性の判明から病院や療養用ホテルに入るまでに自宅で待機する場合もあります。自治体やその地方での病院の混み具合にもよりますが、無症状、もしくは症状が軽い場合はそのまま自宅療養になることも多いです。

感染しても元気な状態の方が多いのも新型コロナウイルスの特徴です。しかし、「今、元気だからといって活動してしまうと、のちのち体調が悪化する危険がある」と堀さんは話します。自宅療養中であれば普段できなかった家の掃除やテレワークでできる仕事をしたくなるな、と伊達も思いました。
その気持ちをぐっとこらえて、「”真面目に休む“ことが重要」と堀さんは話します。医療現場でも、陽性判明後に動き回ったことで体調が悪化した方を何人も見ているそうです。

陽性とわかったら “真面目に休む”ことの大事さは、2020年4月、12月に出演してくださった臨床医の大曲貴夫先生 (国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)も繰り返しお話ししてくれていました。感染の流行状況が変わっても、休むことの重要性はかわりません。

「陽性」ならば元気でも、真面目に休みましょう

一方、視聴者に頂いたコメントでは、無症状だと会社から在宅勤務を指示される場合もあるそうです。自覚症状として出ていなくても体はウイルスと戦っています。休むことをサボらないようにし、体調を整えることに真面目に向き合うことができる環境づくりも必要だと感じました。

また、食事をとっている人のほうが回復が早いというのが、医療現場での実感だそうです。とくに味覚障害があると食べる気がなくなったりするそうですが、ゼリーなど食べられるもので栄養をとることも大切だと堀さんは話していました。

おわりに

このブログでは、家庭内での具体的な感染対策に焦点をあてて紹介しましたが、他にも番組では1月3日時点での感染状況や感染対策グッズについての話題なども扱いました。お伝えしきれなかった内容についてはぜひ番組アーカイブをご覧ください。

番組アーカイブURL:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv329684418

急速に感染拡大が起きて不安な気持ちになると思うのですが、私たちができることは「マスクを外して会話する場面」を避けることなど、昨年4月からこの番組で紹介している基本的な感染対策です。家庭はゆっくり休みたい場所です。まずは外で感染をしないように基本の対策をしっかり行い、家ではその家庭ごとの事情に合わせた対策を無理のない範囲で続けていきましょう!

番組放送内容一覧

・感染者の状況(4:00)
 検査の敷居が下がり、想定外の「陽性」に驚く人も多い(7:49)
 医療のノウハウが整い、助かる人が増えている(8:52)
 重症患者数が増えている?(9:52)
 Q:「濃厚接触者」の定義がよく分りません(15:51)
 顎マスク、鼻マスク、フェイスシールドで濃厚接触にならない?(18:50)
・家庭内の感染について(20:10)
 家庭内感染の状況について(東京都)(21:10)
 東京は濃厚接触者も検査が受けやすくなったが、制度に地域差がある(22:40)
 家庭内の感染対策(まずは持ち込まないことが大事)(25:15)
 一人暮らしでの対策(31:23)
 Q:万一の際の買い物支援をしてくれる自治体もある?(34:23)
 同居人が居る家庭の対策(36:52)
 受験など、一時的に対策レベルを上げたい場合の対策(39:45)
 介護をしながらの家庭での対策(41:35)
 同居人が濃厚接触者・感染者になったら?(45:20)
 自分が感染してしまったら?(47:45)
 感染したけど元気な時、意外と言われない注意点(48:35)
 感染した時、食べられるなら食べた方が良い(周りも応援しよう)(51:55)
 Q:味覚障害が出たら何を食べたら? 食感を重視するのはどう?(55:25)
・感染対策の切り札になるグッズはある?(58:30)
・この冬、新型コロナ以外で注意が必要なことは?(1:02:49)
・まとめ(1:05:35)



Author
執筆: 伊達 雄亮(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
"どこでもドア"、"タイムマシン"、"タケコプター"......。ドラえもんの「ひみつ道具」を作りたい!! と夢見た少年時代。その夢を叶えるべく大学院へ進学し、工学修士号を取得。その後メーカーで日用品の研究開発に従事するも、多くの方とこんな「ひみつ道具」があったらいいな、ということを語り合いたい!という思いから、未来館へ。