2021年の年頭にあたり、1月4日付けでレッドハットの代表取締役社長に就任した岡玄樹氏は、以下の年頭所感(抜粋)を発表した。

DXオープンな技術、組織文化、コラボレーションを三位一体で推進し、お客様のビジネス成長と変革を支援

新年明けましておめでとうございます。 旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

2021年1月4日付けで、新たに代表取締役社長に就任しました。

今世界は、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックにより、前例のない危機に直面しています。私たちの生活環境はもちろん、ビジネス環境も大きく変化しました。この変化によりいくつかのお客様では、このような状況においても重要なサービスを継続的に提供し続けることができるようにするために、デジタルを活用した新しいビジネスモデルの検討が進みました。

一方で、菅政権のもとデジタル庁の準備が急速に進んでいます。このような困難かつ激動の中、顧客の新しいデジタル体験を加速し、変化する市場のニーズに迅速に対応するサービスの開始にむけて、業界全体で新たにレッドハットのオープン・ハイブリッドクラウド・テクノロジーの活用が進展しています。

通信業界においては、いよいよ始まった第5世代移動通信システム(5G)のプラットフォームにRed Hat OpenStack Platformの採用に加え、業界をリードするエンタープライズ向けKubernetesプラットフォームのRedHat OpenShiftの導入がはじまりました。金融業界では顧客の新しいデジタル体験を加速させるために、新しくRed Hat OpenShiftを活用することで市場ニーズの変化に迅速に対応できる工夫を施した数多くのシステムがそのサービスを開始しました。

さらに、顧客向けの高品質なデータセンターサービスを速やかに提供するために、システムの柔軟性や拡張性を向上させつつ、開発や運用コストを抑えることが課題となっていたお客様が、国内外で豊富な実績を有する自動化プラットフォームRed Hat Ansible Automation Platformを活用し、10,000台以上の機器の徹底的な自動運用を図ることで将来の運用コストを50%削減していくという取り組みがありました。

また、Red Hat Enterprise Linux が採用された世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」による新型コロナウィルスと闘う薬剤候補の特定などに向けた研究を含め、学術および科学分野におけるコンピューティングの未来の基盤を構築支援しました。さらに、デジタルテクノロジーの活用を通じた顧客体験と企業価値の向上に向け、レッドハットのエキスパートが密接にサポートするRed Hat Open Innovation Labsサービスを利用いただくことで、ビジネス課題を共に解決しつつ、オープンな企業文化がもたらす変革の価値を体感いただくなど、数多くデジタル革新の具体的な実績に対して貢献が出来た一年になりました。

2021年は、全世界の国々、企業、人々が一丸となってパンデミックを克服し、これまで持続したデジタルイニシアチブをさらに継続するという観点からも重要な年になるでしょう。経験と知識と斬新なアイデアを強みに、弊社は、以下の3領域を中心にお客様のビジネス革新に貢献してまいります。

顧客体験を創出するデータ駆動型のデジタルプラットフォームの構築を支援

企業の喫緊の課題は「デジタル化がより加速していく中で、データを活用した新しいビジネスモデルを早急に立ち上げる」ことです。AI(人工知能)やML(機械学習)技術の発展に伴い大量で多様なデータが迅速に活用され、ビジネスや顧客体験の進化を駆り立てていきます。レッドハットは、オープン・ハイブリッドクラウドのパワーにより、組織が直面しているどのようなシナリオに対しても適切なインフラストラクチャを適切なタイミングで提供できると考えています。そのためには、高度に自動化されたデータ駆動型のデジタルプラットフォームの構築が重要です。特定のクラウドにロックインされることのないハイブリッドクラウドを実現するRed Hat OpenShiftは、顧客接点となるデータをリアルタイムに処理するクラウドネイティブなデジタルサービスアプリケーションをより安全、安心、安価に、そして、素早くリリースさせることができます。グローバルな知見と斬新なアイデアをもとに、比類のない顧客体験を提供できるデータ駆動型のデジタルプラットフォームの構築を支援することで、企業のビジネス成長に貢献します。

不断に成長できる組織へのオープンな変革を促進

未曾有の危機を乗り越えるためには、如何なるときでも企業として成長できる組織への変革を進め、次世代のデジタル企業へと変わっていくことが必要です。レッドハットは、企業のデジタル・トランスフォーメーションを支援するだけでなく、組織文化そのものをオープンに変革するお手伝いをします。レッドハットが実践する、能力主義、透明性、コミュニティ、包含性そしてコラボレーションを基盤とした企業文化「オープンソースウェイ」を体感いただけるRed Hat Open Innovation Labs のサービスを更に拡張することで、不断に成長できる組織への変革を伴う開かれた企業文化への変貌「オープントランスフォーメーション」に貢献します。

パートナーと共にオープンハイブリッドクラウドを促進し、企業の新しい成長に貢献

ビジネス活動の成果を生み出すクラウドネイティブなアプリケーションの開発には、パートナー企業との協業が不可欠です。パートナー企業が既に提供している様々なデジタルソリューションをすぐに安心して利用いただくために、コンテナ運用の工数削減につながるKubernetes Operator技術の開発ノウハウや知識、テスト環境などをパートナー企業に提供する支援プロジェクトRed Hat Kubernetes Operator Projectを推進します。高度に自動化され、あらゆるクラウドで利用できる多くのパートナーソリューションからなるエコシステムの構築は、企業のデジタルビジネスの基盤やアプリケーションをいち早く整えることができます。パートナーと共に、オープンハイブリッドクラウドを促進し、お客様が必要とする選択肢と柔軟性を提供します。

どのような環境下においても不断に成長する企業は、オープンでイノベーティブなテクノロジーの採用だけでなく、企業の組織文化を変革することが重要です。レッドハットは引き続き、お客様、開発者、パートナー企業の懸け橋となり、企業のビジネスの成長と組織文化の変革に貢献してまいります。レッドハットは、オープンハイブリッドクラウドのリーダーであり続け、組織が直面しているどのようなITシナリオにおいても顧客をサポートできる俊敏性を提供します。

本年も引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。