『ゴールデンカムイ』小林親弘×白石晴香 ゴールデンコンビ対談!

TVアニメ『ゴールデンカムイ』の杉元佐一役・小林親弘さんとアシ(リ)パ役・白石晴香さんの対談が到着した。

シリーズ累計1300万部を突破し、マンガ大賞2016/第22回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受賞した野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』。TVアニメ化にあたっては、新進気鋭のスタジオ・ジェノスタジオのもとに難波日登志監督をはじめとする実力派スタッフが集結。埋蔵金を巡るアクション&サスペンスを軸に、狩猟、グルメ、歴史などの五感を刺激する多彩な魅力が炸裂する極上のエンターテイメントが、アニメーションとなって観る者の心を鷲掴みにする!

◆TVアニメ『ゴールデンカムイ』

ゴールデンコンビ対談 ー第三期を終えてー

――第三期の収録は、コロナ禍の影響でこれまでとは異なる環境だったそうですね。

小林 はい。杉元側とキロランケ側でチームごとに分かれて録るような形だったので、キロランケ側がどんな感じでやっているのかわからなくて。コロナによる偶然の産物ですけど、ちょうど物語の中の杉元とアシ(リ)パさんと同じように離れ離れの状況だったんです。終盤まで、白石さんとはほぼ会わなかったよね?

白石 そうですね。私はだいたいキロランケ側の4人で録らせていただいていて、たまに白石役の伊藤(健太郎)さんと二人だけでやるときがあった感じです。ですから、収録が始まる前はワクワク感でいっぱいだったんですけど、いざ現場に行ってみると少し寂しい気持ちもありました。第二期まではみんなで同じブースに入って、同じ想いを共有した状態でマイクの前に立っていたので……。

ーー杉元陣営とキロランケ陣営のキャストが現場で一緒になれたのは、終盤だけですか?

小林 そうですね。

白石 最後の2話だけ一緒にやりました。

小林 そのときに初めて白石さんと(伊藤)健太郎さん、それに津田(健次郎)さんとも同じブースで収録ができて。ただ、てらそま(まさき)さんは別のブースにいたので、ちゃんとお会いできなかったんですよね。

――杉元とキロランケが絡むシーンは最後の最後までないですからね。

小林 そうなんです。今回はそういう役者さんが何人もいて。チカパシやエノノカも一緒に旅をしているのに、収録はずっと別でしたし。子供は子供だけのチームで録っていたので。

白石 私は先に収録したエノノカの声を聴くことができたので、可愛いと思いながらやってました。これまでアシリパさん以外の子供はチカパシぐらいで、同じ年頃の女の子はいなかったので。

小林 たしかに、女性自体が少ない現場だからね。

白石 でも小林さんが仰った通り、収録環境と登場人物たちの状況がリンクしている感じはありました。一緒に行動している人たちだけで収録していることが、ある意味ではリアル感に繋がっていて。そこだけは、不幸中の幸いだった気がします。

小林 コロナが1年早く来ていたらまた全然違ったでしょうしね。スタジオのロビーですれ違ったときも、以前なら「おお!」と近づいて話していたのが、今回は「やあ」と軽く挨拶するだけみたいな。

白石 どうしても遠慮がちになっちゃいますよね。ロビーでも距離を保たなければいけなかったり、マスクをした状態だったりしますし。第二期までは、収録の合間に作品の感想とかをみんなで話したりしていたんですけど。

小林 収録後もご飯食べに行って話したりね。今回は新しいキャストの方とも仲良くなりようがなくて、それがつらかったです。岩息役の三宅(健太)さんも収録はずっと別でしたし。ロビーで顔を合わすことはあったんですけど、お互いの人見知りが発揮されて軽く挨拶をする程度でした。

白石 え、誰が人見知りですか? 驚愕の事実なんですけど(笑)。

小林 いやいや、驚愕じゃないでしょ(笑)。それに、三宅さんってすごく謙虚な方なんです。ロビーにいるとブース内の三宅さんが「はーっ!」とか叫んでいるのが聴こえるんですけど、外に出てくると「あ、どうも」みたいな。

白石 (笑)

小林 とくに第三期の前半は、どちらか一方のチームに焦点が当たるともう片方のチームはあまり出てこないじゃないですか。そういう回だと、相手側がどんな芝居をしているのか余計にわからなくて。もっと言えば、新キャラクターの役者さんもわからないままだったり。ヴァシリが梅原(裕一郎)君で勇作が(畠中)祐君というのも、オンエアでようやく知ったぐらいです。

白石 本当にそうですよね。事前に知っていたとしてもお声がわからないので、放送がすごく楽しみでした。

(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

――オンエアを観て気になったシーンはありますか?

小林 めちゃくちゃたくさんあります。

白石 ですよね。自分が出ているシーン以外は、ほぼまっさらな状態でしたから。

小林 これまでは現場での芝居に触れた上で観ることができていたので、なるほどこのテイクを使ったんだ、という見方ができたんです。でも今回は、オンエアで使われたテイクがテストと本番のどっちなのかわからない。とくにエノノカや勇作のような新キャラクターはオンエアでの印象がすべてなので、現場でどんな試行錯誤があったのかすごく気になりました。きっとこのギャグシーンはテストではいろいろやったんだろうな、とか。白石さんも、アシ(リ)パさんがトドの脂身で「ゔぇあッ」となるところはひと晩中練習したって言ってたよね。

白石 いかに汚い音を出すかですね(笑)。

小林 そこ? って思うけど、そういうところが大切なわけで。さすがだな、と。

白石 もちろん練習したのはそこだけじゃないですよ(笑)。でも、あのシーンにはアシ(リ)パさんの魅力が詰まっていますから。

小林 うん。とっても魅力的な「ゔぇあッ」だった。

白石 (笑)。第二期まで一緒にやってきた方だと、オンエアを観ていても収録しているときの表情が浮かぶんです。杉元がハラキリショーで「うぇへへ~い」となるシーンは、小林さんも楽しんでやっている印象でした(笑)。

小林 あそこは一発OKでしたね。

白石 声が明らかに楽しげでした。気になったといえば、人斬り用一郎のお話も衝撃でしたね。清川(元夢)さんのお芝居が素敵すぎて、スタジオで間近で観たかったです。

小林 ホント、あれは生で拝見したかったよね。あまりにすごかったので、放送後に清川さんのお歳を調べちゃいました。85歳でこういう芝居ができるんだな、って。あれはちょっと真似できないですね。

――同じ役者としてどの辺がすごいと思われたんですか?

小林 そのまましゃべっている感じなんです。お芝居ではあるんですけど、思ったことをポロッと口に出しているぐらいに力みがない。まるで仙人みたいで、自分が同じような歳になった時にあんな芝居ができるんだろうか? と。

白石 アニメのアフレコはボールド(ガイド映像に表示されるセリフのタイミングや長さを伝えるテロップ)が決まっている中でお芝居をするので、どうしてもそこにはめにいく作業がのってきちゃうんです。普通にしゃべるのがいかに難しいかを身に沁みて感じているので、清川さんのお芝居には本当に感銘を受けました。

小林 あと、別角度ですごかったのが長谷川役の中野泰佑さん。放送後の皆さんのリアクションがめちゃくちゃ楽しみでした(笑)。

――最後のセリフだけ大塚芳忠さんがやられているのかと思ったら、エンドロールに名前がないという(笑)。

小林 ですよね。実は最後のセリフのほうが、中野さんの地声に近いんですよ。ちょうど同じ時期に海外ドラマの収録で中野さんとお会いして、ひと駅分ぐらい一緒に歩いて帰ったんです。そのときに、顔は違うのに芳忠さんとしゃべっているように感じるぐらい声がそっくりで驚かされました。

白石 本当に見事なキャスティングでした。オンエアを観た母もわけがわからなかったみたいで、LINEで「ねえ、どういうことなの?」と聞いてきたぐらいです(笑)。お話自体も衝撃的な展開でしたし。

――終盤は両陣営が入り乱れての展開となりますが、収録現場の雰囲気はいかがでしたか?

白石 てらそまさんは『ゴールデンカムイ』のことが大好きなので、最終話の収録では「これで終わりなの? やだー!」と仰ってました(笑)。キロランケの最後は、てらそまさんのお芝居が本当に素敵で。アフレコは4人で録ったんですけど、コロナ対策で1つのブースに入れる人数が決まっていたので、てらそまさんだけ個室だったんです。アシ(リ)パさんの中ではいろんな感情が渦巻いている状況でしたが、私個人としてはてらそまさんのお芝居を聴きながら泣きそうになっていました(笑)。

小林 その日は僕も白石さんと同じブースにいて。別のブースから声だけ聴こえたてらそまさんの「ソフィア…!!」のセリフがとてもよくて、自分も頑張ろうと思いましたね。キロランケは過去に皇帝を殺したりしてますけど、彼には彼なりの正義がある。しかもアシ(リ)パさんと旅をしているときは、全然悪い人に見えなくて。杉元目線だと、アシ(リ)パさんを巻き込みやがって、みたいな感じはありますけど、やっぱりキロランケの死は悲しかったです。

白石 キロランケが亡くなるシーンで、アシ(リ)パさんが「キロランケニ(シ)パ…」と3回言うんです。それが本当に難しくて。

小林 2、3回やってたっけ?

白石 2回やりました。アシ(リ)パさんを取り巻く状況を踏まえた上で、あの年頃の子が目の前で人を看取るのってどんな感じなんだろう、と。家でも練習したんですけど、そのときはどうやってもしっくりこなくて。

小林 心の準備ができている状態で看取るわけじゃないからね。

白石 はい。泣きながら言っている感じではないですし、かといって平坦な言い方も違うでしょうし。同じ言葉を続けて3回言うのが難しくて、最後のひと言を発するところまでひとりではうまく持っていけなかったんです。収録では、てらそまさんのお芝居に導いてもらいました。

――その前には杉元とアシ(リ)パが再会する大切なシーンもありますが、こちらはいかがでしたか?

小林 どうだった?

白石 それまで収録が別々だったので、やっと小林さんと一緒にできるという喜びがありました。二人が再会するあのシーンは……感動的でもありますし。

小林 何か含みがあるんだけど、どうしたの? そのあとのことは気にせず、再会だけを考えて(笑)。

白石 すみません(笑)。ゴールデン・ウォーターのことが……。

小林 あのシーン、アシ(リ)パさんは大変だったよね。

白石 原作を読んだときは、普通にかかっているだけだと思っていたんです。でも、ディレクションで「あれにおぼれてください」と言われて、「え!? ちょっとやってみます」みたいな(笑)。

小林 一発OKだったよね。完璧な答えで返してきて、すごかった。これまで培ってきたものがあったからこそ、思いっきり翼を広げてはばたけた感じ(笑)。間違いなくおぼれてましたもん。

白石 二度とできない経験でしたね(笑)。

小林 たしかに(笑)。

白石 そのシーンを録る前に、伊藤さんを交えた3人で「ここはアドリブをやりますか?」みたいな話もしましたよね。そういうやり取りも懐かしくて、いいなこの感じ! って思いました。

小林 台本にはとくに何も書かれてなくて、音楽だけで処理するのか、笑い声を入れるのか決まっていなかったんです。それで「笑い声も1回入れてみましょうか」となって。結果、オンエアでも入っていたもんね。

白石 そうですね。原作を読んでいたときから二人に早く再会してほしいと思っていたので、お互いの存在をはっきり確認できた嬉しさがすごく出ていた気がします。

小林 本当にあてのない旅をしてきたからね。その前に白石と会えたのも奇跡みたいなものだし。

白石 あのシーンは、先に小林さんたちが録った音声があったんですよ。伊藤さんがそれに合わせて録っているのを後ろから観ていたんですけど、終わったあとで伊藤さんが「杉元がちょっとカッコよすぎないか」って(笑)。原作を読んだときに脳内再生したイメージ以上のものでしたし、グッときました。

小林 本当? ありがとうございます。

(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

ーー小林さんは、再会シーンの収録にどんな意識で臨まれましたか?

小林 みんなそうだと思うんですけど、終盤の第三十四話から第三十六話はとくに悩みながらやっていました。ただ、いろいろ考えてはみるんですけど、そのイメージだけでやると実感がこもらなくなっちゃう気もして。自分の考えは考えとして持ちつつ、あとは本番に合わせていこうと。最終話のアフレコは、白石さんと健太郎さんが同じブースにいるだけで嬉しかったです。白石さんは、第三十五話でも別室にはいたんだけどね。

白石 はい。

小林 そのときは、津田さんと健太郎さんが同じブースで。でも白石さんと同じ空気を吸えている感じはしましたし、それだけで気持ちも昂ぶりました。言葉にするとなんだか気持ち悪いですけど(笑)、第三期はアシ(リ)パさんと再会するシーンを目指して芝居を作ってきたようなところがありましたので。

白石 私も同じです。意識はずっとそこに向かっていましたよね。『ゴールデンカムイ』の現場で好きなのが、マイクの前に立っていると隣にいる皆さんの空気が伝わってくることなんです。ちゃんと言葉をかけられている、お話をしていることが実感できると言いますか。今回、伊藤さんとは毎回それができたんですけど、透明とはいえカーテンがあったり、マイクとも前より少し距離があって。相手の空気を感じ取って、そこに合わせていくことの難しさを感じていたんです。

小林 そうだね。

白石 そういった中でも、ラスト2話は座長の小林さんが……やっぱりやめます(笑)。

小林 なんで(笑)!? ダメダメ、ちゃんと持ち上げてくれないと。

白石 (笑)。座長の小林さんが同じ空間にいてくださったことで、気持ちがグッと高まりました。ずっと意識してきたシーンでしたけど、いざやるとなると、やっぱり小林さんがいてくれたことが心強くて。

――収録中のディレクションで印象に残っていることはありますか?

白石 私はやっぱり、キロランケが亡くなるシーンですね。

小林 杉元で言えば、先ほど話に出た白石を助けるところです。原作では笑顔とセリフがセットで描かれているのに対して、アニメだと真顔でセリフを発してから笑顔になるんですよ。最初は久しぶりに会う感じをあまり出さないほうがグッとくると思って普通に「よォ」とやってみたのですが、「もうちょっと想いをのせてみてください」とディレクションを受けまして。結局、あのシーンは3回ぐらい録りなおしました。アシ(リ)パさんと再会するシーンも、当初は喜びを爆発させながら「元気そうだね」と語りかけるイメージだったんです。でも、それだと「子供として扱い過ぎている」ということだったので、もっと杉元の不器用な感じを出すことにしました。

白石 原作を読み込んで、そのシーンの台本を何度読み直しても、ひとりだとなかなか答えにたどり着けないんですよね。でも現場で一緒にやる相手がいるとそれぞれのセリフがポンポンと繋がって、自然と答えにたどり着けることがあると思うんです。アシ(リ)パさんが尾形に手を引っ張られていくところも、実際に津田さんとやるまで全然予想がつかなかったですし。

小林 尾形が三文小説みたいな嘘をつくところね(笑)。

白石 はい。とくに杉元とのちょっとわざとらしいやり取りが絶妙で(笑)。真実を知っているこちらとしては、なんだか笑っちゃうんです。でも、状況的には観ていてつらすぎるシーンですし、アシ(リ)パさんとしてどう演じるかをすごく考えました。収録では津田さんの発する声のすべてが感情に突き刺さってくるようで、久しぶりに演じながらウルウルしちゃって。最後に杉元が「あんこう鍋が食べたい…」と言うところも、こいつ何を言っているんだ、って本気で思いました(笑)。

小林 あそこはスーパー悩みましたよ。どうやるのが物語的に一番しっくり来るのか、原作を読んだときからずっと気になっていましたから。尾形が脳内再生しているシーンなので、いっそ津田さんっぽくしゃべったほうが面白いかな、なんて考えてみたり。実際、家でそのパターンも練習しましたし。

白石 (笑)

小林 最終的には真剣なほうが逆に滑稽さが際立つと思い、それでやってみたらOKをもらえました。

――第三期を見届けてくださったファンに向けて、メッセージをお願いします。

白石 第三期を観てくださり、本当にありがとうございました。今年はコロナ禍の影響で、皆さんの中にもいろいろな葛藤があった年だったと思うんです。でも『ゴールデンカムイ』を観ている時間はそれを忘れられるというか、お話的にもキャラクターそれぞれの過去がかなり描かれていたこともあって、大変な状況でも頑張らなきゃって勇気をもらえるようなところがありました。皆さんにとってもこの作品が、お家で過ごす楽しみのひとつになっていたら嬉しいです。あとは、ここまでやったらその先も……。

小林 ねえ。最後に杉元がアシ(リ)パさんに「相棒の契約更新だ」と言うんですけど、更新しただけで終わるのは寂しいですから。部屋も更新したら、さらに続けて住みたいじゃないですか(笑)。作品が続くのは応援してくださる方がいてこそですし、このまま皆さんに第四期、五期と届けられたら嬉しいですね。

白石 今年はイベントができなくて、ファンの皆さんと実際に会えないのが残念で。いつかちゃんと皆さんのお顔を見て、ありがとうという気持ちを伝えられる場ができるといいんですけど。

小林 本当にそうだね。僕も白石さんもただのファンでもあるので、同じファンの方たちと感想を語り合える日が早く来てくれることを願っています。

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(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会