志村けんさんが愛したドライブミュージック!元愛車のリヤシートで聞いていたのはどんな音楽?

2020年3月に新型コロナウイルス感染症による肺炎のため帰らぬ人となった“国民的コメディアン”志村けんさん。個人的に、他界された後に明らかになったさまざまな逸話の中で印象的だったもののひとつに、思い切りばかばかしい(ホメ言葉ですよ!)コントを収録した帰り、愛車の中で志村さんはいつも“かっこいい音楽”を聞いていたという話がある。

元々、志村さんは、というかドリフターズは音楽集団。その素養が笑いにも生かされていた…という話は、きっと多くの人がご存知だろう。では、志村さんは晩年、愛車のリヤシートで寛ぎながら、一体どんな音楽を聞いていたのか。

じつは縁あって、志村さんが最後に所有していた2台のクルマのうちの1台、キャデラック エスカレードに残されていた4枚のCDを拝見することができた。志村さんの愛車の後継者探しを正式に請け負った愛媛県のチューニングショップ、株式会社PRINCEの仙波王仁氏から連絡を受けて松山まで飛び、実車と4枚のCDに対面してきたのである。

【志村けんさんのキャデラック エスカレード…実車】

その4枚、なるほどと思うものもあれば、えっ!と、にやりとさせられるものも含まれている。早速、見ていこう。

なお、今回の取材、記事化については関係各所の了承、許諾をいただいていることを念のため、記しておきます。
 
■シェネル「ビリーブ」/2012
Che’Nelle/BELIEVE



拠点であるアメリカより先に日本でブレイクしたR&Bシンガー。久保田利伸「Missing」のカバーも話題になった。表題曲の「ビリーブ」は日本で映画主題歌となってヒットした。他にも日本語歌詞の曲を多数収録。歌唱力だけでなく、その発音の美しさにも驚かされること必至だ。巧みなアレンジが施されたトラックに乗った耳心地よい歌声は、聴いていて心地よく、聴きながらレインボーブリッジを渡って帰るのは至福の時間だったに違いない。

■ケイティ・ペリー「プリズム」/2013
Katy Perry/PRISM



アメリカのポップアイコン、ケイティ・ペリー。キャッチーで歌いやすい曲、伸びやかな歌声、さらには可憐なルックス、おしゃれなファッションなどで長く活躍しているケイティにとって、4枚目のアルバムとなる。力強い歌声、いや叫びが印象的な「Roar(叫び)」で幕を開けるアルバムは、ポジティヴな空気があふれていて、きっとこれは仕事帰りではなく、仕事に向かうときに聞いていたのでは…などと想像させる。

■安室奈美恵「Uncontrolled」/2012



言わずと知れた日本の誇る歌姫のデビュー20周年を飾った10枚目のアルバム。シングル曲もカップリング曲含めて9曲と多数収録されているが、そのうちの2曲、そして新曲3曲は全編英語歌詞となっている。志村さん、安室奈美恵さんの大ファンだったという。

■安室奈美恵「FEEL」/2013



上記「Uncontrolled」に続く11枚目のアルバム。配信限定シングルの「Contrail」なども収録されている。この2枚、見て通りベスト盤的なものではなく、もちろんシングル曲はどれもチャート上位に入ったものばかりだが、誰もが知る「安室ちゃん」的なポップチューンは含まれていない。“NAMIE AMURO”のディーバとしての魅力が炸裂した曲をこそ、志村さんは愛していたのだ。

志村けんさんが愛してやまなかったのは、いわゆるブラック・ミュージック、ソウル・ミュージックなどと呼ばれる音楽である。これについても検索すれば記事はいくらでも出てくるので詳解はしないけれど、ブレイクに繋がった「東村山音頭」にしても「ヒゲダンス」にしても、志村さんは当時最新の洋楽にインスパイアされて、それを笑いのかたちにしてお茶の間に届け、そして当時の子どもたち(=私達!)を見事に踊らせていたというわけである。

一方で特にソウルは、どこかひんやりした寂寥感のようなものが通底している音楽でもある。そのどこか醒めた部分が、伝え聞く志村さんの優しさに繋がっているのかな、などとも思える。もちろん、それも想像でしかないのだけれど…。

個人的には近年の志村さんと言えば、某飲料のCMにて東京スカパラダイスオーケストラと、三味線で共演されていた姿が鮮烈な印象として残っている。志村さん、元々はギタリストだったそうだ。この先、もっとこうした音楽好きとしての部分を見せてくれていたら…と思うと、本当に惜しいなと思えてくる。

間違いなく、2020年最大の悲しく寂しい出来事のひとつだった志村けんさんの逝去。これまでの偉業に敬意を表して、これらのアルバムを新しい年に向けたドライブミュージックに選んでみてはどうだろうか?

〈文=島下泰久〉

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