シンクライアントは、近年ではリモートワーク用によく利用されている仕組みです。本稿では、シンクライアントの基本的な仕組みと製品選定のポイント、おすすめのシンクライアント3製品の特徴や参考価格などについて解説します。

シンクライアントとは

シンクライアント(Thin Client)は、クライアント端末にはハードディスクやメモリを持たず、サーバー側に全ての処理を任せる仕組みのことです。ノートパソコンのようなクライアントのことは、シン(薄い)クライアントとの対比でファット(太った)クライアント(Fat Clinet)と呼ばれます。

シンクライアント用の端末は、内部にデータを保持しないため、端末持ち出しによる情報漏洩リスクやセキュリティ管理の手間を軽減します。

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シンクライアント3製品を徹底比較!

既存PCをシンクライアント用端末に「ThinclST(シンクラST)サービス」
NECソリューションイノベータ株式会社

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:パッケージ(USBブート型、HDDインストール型)
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 売上規模:全ての規模に対応

「ThinclST(シンクラST)サービス」は、既存のPCを簡単にシンクライアント用端末として使えるようにするパッケージソフトです。サーバー側はLinuxですがWindowsライクに使用できるユーザーインターフェースを持ち、画面転送型(VDI型)で誰でも操作しやすいという特徴があります。

提供形態にはUSBブート型とHDDインストール型があります。USBブート型は既存PCのHDD内容をそのまま残せ、HDDインストール型はHDD内のデータを全て消す点が大きな違いです。

自宅PCで会社の社内システムにVPN接続をして利用する場合にはUSBブート型、HDDの内容が不要な社内の遊休パソコンに適用する場合はHDDインストール型が適しています。

本製品はローカル環境を遮断するため、既存環境のセキュリティ状態を気にする必要はありません。また、専用OSのためWindowsでは必要なセキュリティメンテナンスが不要な点も強みです。

価格は1ライセンス単位で買い切りのため、長く使えば使うほど運用コストはお得になります。


データをパソコンとクラウドで分散管理「Zenmu Virtual Desktop」
株式会社日立システムズエンジニアリングサービス

POINT
  • 参考価格:1ライセンス月額780円~(年額9,360円、最低利用期間1年、5ライセンス~)
  • 提供形態:クラウドサービス
  • 従業員規模:50名以上
  • 売上規模:10億円以上

ネットワークブート型のシンクライアント「Zenmu Virtual Desktop」。秘密分散技術であるAONT(All-or-Nothing Transform)方式を採用し、利用しているクライアント端末とクラウド上にあるデータ断片をPC内で復元して作業を進めます。

作業をしていない間はPCにもクラウド上にも無意味化したデータしかありません。PCとクラウド上の無意味化したデータは、すべて揃わないと正しいデータに復元できない仕組みです。そのためデータが少しでも欠けると復元不可能であり、非常に高いセキュリティを実現しています。

クラウドサービスのためサーバーの運用を考える必要はなく、管理・運用コストは月額料金以外かかりません。また、事前登録したスマートフォンやUSBデバイスと連携させることで、シンクライアントの弱点であるオフライン作業も可能です。

ただし、そのままでは社内システムへのVPN接続はできないので、別途VPNサービスとの組み合わせを相談する必要があります。

月額料金は780円で、最低利用期間1年で5ライセンスから利用できるため、従業員が5人以上の中小企業にも適したシンクライアント製品です。


仮想デスクトップ構築をフルサポート!「Amazon WorkSpaces導入支援サービス」
株式会社TOKAIコミュニケーションズ

POINT
  • 参考価格:別途お問い合わせ
  • 提供形態:サービス / クラウド
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 売上規模:全ての規模に対応

「Amazon WorkSpaces」とは、アマゾン ウェブ サービス社が提供する画面転送型(VDI型)のクラウドデスクトップサービスです。TOKAIコミュニケーションズはAmazon WorkSpacesの導入支援サービスを展開しています。

Amazon WorkSpaceではクライアントPCにデータを転送せず、画面転送によって社内のシステムを安全に利用できます。急遽テレワークが必要になった場合には、自宅PCへすぐ導入することも可能です。また本サービスはパソコン1台から利用できるため、あらゆる規模の会社が利用できます。

オプションのサービスとして、多要素認証機能の導入やOSレスで画面転送に特化した「ゼロクライアント」などがあります。求めるセキュリティレベルによってオプションサービスも組み合わせると良いでしょう。

価格は明示されていないので、検討する場合はぜひ問い合わせてみてください。


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シンクライアントの2方式の特徴と違い

シンクライアントには、ネットワークブート型と画面転送型の違いがあります。それぞれの特徴について解説します。

ネットワークブート型

ネットワークブート型とは、クライアント端末を起動する際、サーバーからOSイメージをダウンロードする方式です。

OSイメージそのものをダウンロードするため、一度ダウンロードが終われば従来のPCと同じように使える点はメリットと言えます。しかしデータ量が大きいため大容量のネットワーク回線がないとダウンロードに時間がかかり、利用開始が遅くなる点には注意が必要です。

画面転送型

画面転送型は、アプリケーションの実行は全てサーバー側で行い、その処理結果を画面に転送する方式です。処理をしているアプリケーションの画面だけを転送するのでネットワークに大きな負担がかかりません。またPCの性能も不要なので、現在では画面転送型のシンクライアントが主流となっています。

画面転送型にはサーバーベース型、ブレードPC型、VDI型に細分化できます。サーバーベース型は1台のサーバーで同一のデスクトップ環境を、複数PCで共有するタイプです。サーバー処理には負荷がかからずコスト的にも安価ですが、環境設定が自由にできない不便さが問題となります。

ブレードPC型はCPU・メモリ・ハードディスクなどの部品を、1つの基盤(ブレード)に集め、シンクライアント端末1台につき1つのブレードを割り当てる方式です。シンクライアント端末1台でブレードを占有できるため、処理が速く環境設定もできる利便性もある点がメリットです。ただしどうしてもコストは高くなります。

VDI型は、1つのサーバー上で仮想デスクトップ(VDI)を、シンクライアント端末ごとに用意してやり取りする方式です。1台のサーバーで運用でき、環境設定の利便性もあることはメリットと言えます。しかし、サーバー管理コストがかかり、仮想デスクトップごとにライセンス数が必要となる点はデメリットです。

シンクライアントの導入メリット3つ

シンクライアントを導入することにより、大きく3つのメリットが得られます。それぞれ解説します。

1、端末の盗難・紛失に対する情報漏えい対策になる

シンクライアントは、ネットワークブート型・画面転送型いずれの方式でも手元の端末上にはデータが残りません。たとえ外出先で端末の盗難・紛失が発生しても、端末自体の損失のみで済み、情報漏えいの発生を防ぐことができます。

また、端末自体のパスワード設定などで悪用までのリードタイムを長くすることができるとともに、サーバー上で該当端末からのアクセスを制限すれば悪用もできなくなります。シンクライアントを導入することで、テレワーク業務で発生しやすい端末の盗難・紛失に対するセキュリティ性を高められます。

2、ネットワーク環境さえあれば業務が可能

シンクライアントはアクセスする端末とネットワークさえあれば、どこからでも社内の自席端末にアクセスして業務ができるようになります。ネットワーク環境が違ってもシンクライアントを利用する手順は変わらないため、ユーザー側への負担が増えることもありません。

画面転送型であれば、専用のシンクライアント端末ではなくタブレットやスマートフォンでアクセスできる点も大きなメリットです。

3、端末の管理コストが削減できる

シンクライアントは手元の端末で多くのアプリケーションを動かす必要がないため、管理者が個々の端末を管理する負担が少なくなります。端末によって利用しているアプリケーションやバージョンがバラバラにならず、一元管理で管理コストの削減が可能です。

ユーザー側でも、都度のアップデートから開放され、負担が少なくなります。

シンクライアントのデメリット2つ

シンクライアントの導入により多くのメリットが得られる一方で、デメリットも存在します。シンクライアントの主なデメリットを2つ紹介します。

1、自社内でシンクライアント環境を整えようとすると初期コストがかさみやすい

シンクライアントは多くのユーザーが同時にシンクライアントサーバーにアクセスするため、サーバーへの負担が大きくなります。アクセスする人数に応じて十分なリソースを持ったサーバーを自社で用意するとなると、ある程度の初期コストがかかることは認識しておきましょう。加えて、専用のシンクライアント端末を従業員に配布する場合は、端末分の費用も初期コストに上乗せされることになります。

初期コストを抑えてシンクライアントを導入したい場合は、既に十分なリソース環境が整えられているクラウドサービスを活用するのが良いでしょう。

2、シンクライアントサーバーのメンテナンス・障害影響が大きい

メンテナンスや障害などでシンクライアントサーバーが停止する場合、サーバーにアクセスしていた多くのユーザーがアクセス不可となり、業務がストップしてしまいます。リモートから業務を行う従業員が業務継続不可能になり、社内業務全体に影響を及ぼす可能性があることは認識しておく必要があります。

シンクライアントサーバーを自社で用意する場合にはサーバーを冗長化する、クラウドサービスを利用する場合は耐障害性に優れたものを選ぶなどの対策を行いましょう。

シンクライアント製品選定のポイント3つ

シンクライアント製品を選定するポイントを3つ解説します。

1、シンクライアント導入の目的を明確にする

まずは、シンクライアント導入の目的を明確にしましょう。以下は、導入目的の一例です。

  • テレワークの必要があり情報漏洩対策をしたい
  • 改めてクライアントの端末を用意できる予算がないため既存のPCを活用したい
  • ネットワーク環境があまり高速ではないため回線に負担をかけず社外からの利用を可能にしたい
  • VDIではアプリケーションが動作しないためオフライン作業をしたい

導入の目的がはっきりとしたら、シンクライアント製品を選ぶポイントも見えてきます。

2、目的を踏まえた上で最適な方式を検討

自社の状況を確認できたら、次はどの方式が最適かを選択する必要があります。シンクライアントの方式には、ネットワークブート型・画面転送型(サーバーベース型、ブレードPC型、VDI型)があるため、目的にマッチする方式を選びましょう。

また、シンクライアント製品にはかなり大きな個性があります。既存PCを活かせるパッケージソフトタイプや、データを無意味な形で分散格納して、ネットワークに負担をかけないタイプなどはその一例です。こちらも導入の目的に合った特徴を持つ製品を選んでください。

3、ライセンス数などを確認した上で価格を比較

シンクライアント製品は、パッケージソフトやクラウドサービスなどの形式により買い切り価格か月額料金かなどが変わります。自社の必要ライセンスを確認した上で各社に見積もりを取り、価格を比較しましょう。

シンクライアント導入費用の相場とは

シンクライアントの導入には、自社でシンクライアント環境を構築するか、クラウドサービスを利用するかの2種類があります。ここではそれぞれの導入費用の相場を見ていきましょう。

自社で環境を構築する場合

現在主流である画面転送型の仮想デスクトップ(VDI)であれば、1台あたり20万円前後が相場といわれています。この費用はシンクライアントに必要なライセンス・サーバー・クライアントPCの費用をユーザー数で割った平均額です。ユーザー数に関わらず最低限購入するハードウェアの費用があるため、小規模環境に導入する場合はさらに割高になる可能性が高い点には注意が必要です。

また、無料のオープンソースソフトウェア(OSS)を利用する方法もあります。オープンソースソフトウェアであればライセンス費用がかかりませんので、通常よりもコストをかけずに導入可能です。ただし、オープンソースソフトウェアにはサポートがなく、利用期間が設けられている場合が多いため、コストをかけてでもサポートが充実したソフトウェアを導入するほうがおすすめです。

クラウドサービスを利用する場合

一方、クラウドサービスであれば、クライアントPCの購入・初期費用を含めて1台あたり10万円程度+月額費用が目安になります。月額費用は1ライセンスあたり1,000円未満のサービスもあるため、小規模環境であれば自社で環境を構築するよりも費用を抑えることができるでしょう。

ただし、クラウドサービスはサービスによってシンクライアントの方式や費用が異なるため、気になるサービスがあればまず見積もりをとって検討することをおすすめします。

シンクライアントでテレワーク関連のセキュリティを高めよう

これからテレワーク導入を検討する場合、情報漏洩リスクを低減できるシンクライアントの導入は有効な手段です。自社のデスクトップ環境を確認するとともに導入の目的を定め、目的に応じたシンクライアント製品を選びましょう。シンクライアント製品の導入を検討する場合は、以下の資料を入手してご活用ください。

※(価格は2020年12月6日時点、税別で記載)

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