キーサイト・テクノロジーは、同社のハイエンド・ミクスド・シグナル・オシロスコープ「Infiniium MXRシリーズ」の機能限定版という位置づけとなるミッドレンジ・ミクスド・シグナル・オシロスコープ「Infiniium EXRシリーズ」を発表した。

  • Infiniium EXR

    ミッドレンジ・ミクスド・シグナル・オシロスコープ「Infiniium EXRシリーズ」の外観

従来、同社は販売店モデルとしては「InfiniiVisionシリーズ」を展開し、「Infiniiumシリーズ」を直販で提供してきたが、Infiniium EXRは販売店で取り扱えるInfiniiumシリーズという位置づけ。フラッグシップモデルであるInfiniium UXRでも使用している高性能ASICを搭載しながら、InfiniiVisionの使いやすさを融合したモデルで、オシロスコープ、デジタル電圧計、波形発生器、周波数応答アナライザ、周波数カウンタ、プロトコルアナライザ およびロジックアナライザの7つのアプリケーションをサポートしている。

  • Infiniium EXR
  • Infiniium EXR
  • Infiniium EXR
  • Infiniium EXRシリーズの基本概要

基本性能としては、4チャネルもしくは8チャネルに対応。4チャネルモデルを購入しても、後日、アップグレードパスの購入で8チャネルへのアップグレードも可能。また、周波数帯域は500MHz~2.5GHzに対応しているほか、16GS/sのサンプリングレート、100Mpts/ch~400Mpts/chのメモリ長となっており、これらもオプションとして、機能のアップグレードを実施することで、後日、より高い性能に向上させることができるようになっている。

  • Infiniium EXR

    購入後のアップグレードリスト (出所:キーサイトInfiniium EXRシリーズデータシート)

8チャネルに対応したことで、同社では一般的な汎用オシロの用途に加えて、電源装置関連の開発や設計などにも活用しやすくなったとしている。例えば、8チャネルを活用する形で電源投入/遮断シーケンスのマスクテストを標準機能として実施することができ、かつ画面も15.6型フルHD対応モニターを採用しているため、8つのパラメータ結果を同時表示することも容易に行えるというまた、Infiniiumのクロストーク解析ツールを活用することで、電源ノイズを除去できた場合、どの程度アイパターンを開くことができるのか、といったことも分かるため、クロック/データ信号における電源誘起ジッタ(PSIJ)の相互作用や影響を解析するのにも役立つという。さらに、バッテリーで駆動する低消費電力機器における低ノイズ測定などにも対応するとしており、幅広い電源開発分野での活用が期待できると同社では説明している。

  • Infiniium EXR

    Infiniiumシリーズ向けに提供されている各種解析機能を活用してさまざまな解析ニーズに対応することも可能となっている

このほか、アフターコロナ、ウィズコロナ時代に求められるリモート操作にも対応するアプリケーションも提供される。Infiniiumオフライン解析ソフトウェア「D9010BSEO」は、PC上でInfiniiumシリーズのオシロスコープのGUIを表示させ、波形データの解析を可能としたもので、ネットワーク環境さえ整備されていれば、ラボ外、つまり自宅でのデータ解析が可能となる。拡張デスクトップ機能にも対応しており、PCのハードウェアが対応していれば、複数枚のディスプレイに表示することも可能だという。

一方のMultiScopeアプリケーション「N8834A」は、逆にInfiniiumオシロスコープをリモートで操作することを可能とするもので、最大10台のInfiniiumオシロスコープを1台のInfiniiumオシロスコープとして多チャンネル解析を自宅から実行したりすることができるようになるという。

加えて、フォルトハンター(異常検知)機能を活用することで、まれな信号またはランダムな信号障害であっても自動で検出することが可能となっている。しかもボタンを押すだけで、オシロスコープが自動で信号波形を30秒で自動的に学習し、異常波形を解析できるほど容易で、かつアドバンスドトリガを起動して、まれな信号またはランダムな障害を検出することも可能だという。

なお、同社は希望小売価格を約251万円(税別)から(4チャネル/500MHz品)としており、すでに同社の契約販売店より購入が可能となっている。