IC Insightsは、WSTSが定義しているIC33品種(セグメント)のうち、21品種が前年比でプラス成長となる見込みであるとの見通しを明らかにし、そのうち売上高が高かった5品種、ならびに前年比で成長率が高かった5品種を発表した。なお、全品種の詳細は分析中であり、2021年1月に同社の会員向けレポートで報告するとしている。

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    2020年のICセグメント別売上高ランキングトップ5(左)、ICセグメント別成長率ランキングトップ5(右) (出所:IC Insights)

2020年のIC33品種の中で最大市場となるのはDRAMで、その規模は652億ドルとみられる。DRAM市場は2021年も最大市場であり続けるとIC Insightsでは予測している。2番目の市場規模はNANDで352億ドルの予想。3番目はコンピュータ向けCPU、4番目はコンピュータおよび周辺機器など特殊用途向けロジック、5番目は携帯電話向けアプリケーションMPUとなっており、上位5製品はすべてコンピューティングまたは通信アプリと関係があるものとなっている。

コンピュータ向けCPUは、2020年に売上高の面で3番目に位置するとIC Insights は予想している。新型コロナウイルスのパンデミックは、消費者と企業が在宅オンライン活動に移行するにつれて、コンピューティングシステムのアップグレードにつながった。さらに、これらすべての情報を処理および保存するためのデータセンターサーバーの出荷の増加も、このセグメントの売上に貢献した。2020年下半期の高価格の5Gスマートフォンの販売は、今年の携帯電話向けMPU販売の増加の鍵となっている。

一方、2020年でもっとも成長率が高いのはNANDで、前年比25%増と予想している。データセンターサーバメーカーからの強い需要が平均販売価格の急上昇につながったため、特に第1四半期が好調だった。また2番目としては、5Gスマートフォン市場が立ち上がったこともあり、携帯電話向けMPUが同24%増と予想されている。ほとんどの5G向けプロセッサは、高価な5nmプロセスを用いて製造されることもあり、通信関連IC製品セグメントの売り上げそのものを増加させるのにも貢献した。

IC業界は、新型コロナウイルス感染症に悩まされた2020年にあって、成長できた稀有な市場の1つであった。深刻な世界的な不況の中にあって、世界のデジタル化が加速した結果、33のIC製品カテゴリのうち21製品がプラス成長となる見通しとなっている。2021年は、世界中で開発が進められているワクチンが各地で投与が開始される見込みであり、それに伴い世界経済も回復し、IC市場も2桁のプラス成長となることが期待されるとIC Insightsでは予測している。