液晶ディスプレイに替わる次世代ディスプレイ技術として市場の拡大が続く有機ELの材料、とりわけ青色ドーパントに強みをもつJNC(旧チッソ)は、有機EL材料の開発、販売を行う子会社「SK JNC JAPAN(SJJ)」を設立し、同子会社への有機EL材料事業の移管、設備のリースを行うほか、韓国SKグループの素材メーカーであるSK Materials(SKM)と有機EL材料の販売を行う合弁会社「SK JNC」を設立し、SKKをSK JNCの傘下に入れることを発表した。

子会社化は意思決定と材料開発のスピードアップを図るために行われるもので、SK JNCの傘下に入ることで、韓国ディスプレイメーカーとの対応を強化することが可能になるとしている。これは、SK Materialsと協業し、有機EL材料の開発、製造、販売までを韓国内で行うということを意味する。

SJJは2020年12月に、SK JNCは2021年1月にそれぞれ設立される予定で、SK JNCの出資比率はJNC49%、SKM51%、SJJの出資比率も合弁手続き後、JNC49%、SKM51%へと変更がされる予定だという。

このところ、半導体やディスプレイの製造装置や素材を手掛ける日本企業の韓国進出が相次いでおり、中には韓国の大口顧客との連携を強化することを目的に開発から製造までを韓国で行うケースもでてきた。韓国の大口顧客は、リスク管理および開発や納品の期間短縮のために、このような形態を強く希望しているといわれている。

積極的に半導体・ディスプレイ用素材を手掛けるSK Materials

SKMは、日本政府の対韓輸出規制の対象になっているフッ化水素ガスの国産化にすでに成功しており、韓国の栄州工場に15トン規模の生産施設を作るなど国産化作業を進めてきており、2023年まで国産化率を70%まで引き上げることを目標としている。

さらに、SKMは2020年3月に、韓クムホ石油化学(KUMHO PETROCHEMICAL)の電子材料部門を買収することで、ArFフォトレジスト事業に進出。2021年にフォトレジスト生産設備を竣工し、2022年から年5万ガロン規模のフォトレジスト生産を目標としている。また、半導体用特殊ガスの生産も同社は手掛けているが、一部の特殊ガスは昭和電工との合弁会社であるSK Showa Denkoにて製造を行っている。

なおSKMは今後も半導体・ディスプレイ向け素材事業の拡大を進めていくとしており、韓国市場へ進出したい海外の(とりわけ日本の)半導体素材メーカーと合弁企業を韓国に設立するための支援を進めるとしている。