高等学校でかかる学費とお金について、文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』に基づき見てみましょう。公立高校と私立高校に分けて、学年別にかかる学習費を解説します。

◆高校はどれくらいお金がかかる?
文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』のデータをもとに、高校でかかるお金を、公立と私立に分けて見ていきます。

「高校無償化」(「高等学校等就学支援金制度」)や「高校生等奨学給付金制度」についても確認しておきましょう。

◆公立高校の学習費総額(年額)
公立高校で、1年間に平均してかかるお金の合計と内訳は下のとおりです。

・公立高校でかかる学習費……45万7380円↑
・うち学校教育費……28万487円↑
・うち学校給食費……0円→
・うち学校外活動費……17万6893円↑

(文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』より)

*前回調査より高くなったものに↑、下がったものに↓、変わらないものに→を付けています(以下同)。

2010年度から「高校授業料無償化」(「高等学校等就学支援金制度」)が導入されたことで前々回調査(2014年度)では学習費が下がったのですが、前回(2016年度)は4万円近くアップしました。増加した4万円のうち、3万円が学校教育費、1万円が学校外活動費でした。今回は前回に比べ微増でした。

学校教育費がアップしたのは、「高等学校等就学支援金制度」が当初は全員対象だったものが、2014年度から所得制限が設けられ、一部該当しない家庭ができたためと考えられます。

続いて、学年別推移で見ると以下のようになります。

【学年別 公立高校でかかる学習費】
・高校1年……50万7980円↓
・高校2年……46万470円↓
・高校3年……40万3622円↑

高1、高2は微減ですが、高3は約4万円の増加でした。

◆公立高校でかかる学校教育費の内訳
同じく公立高校において、学校教育費の内訳を見てみましょう。

【公立高校の学校教育費】
・授業料……2万5378円↑
・修学旅行・遠足・見学費……3万5579円↑
・学校納付金等……5万5360円↑
・図書・学用品・実習材料費等……4万1258円↑
・教科外活動費……4万427円↑
・通学関係費……7万9432円↑
・その他……3053円↓

増減は微小なものがほとんどです。

◆公立高校でかかる学校外活動費の内訳
次に、公立高校でかかる学校外活動費(年平均)の内訳を見てみましょう。

【公立高校の学校外活動費】
・家庭内学習費……1万6769円↑
・家庭教師……1万2836円↓
・学習塾費……10万6884円↑
・その他(補助学習費)……1万1386円↑
・体験・地域活動……2140円↓
・芸術文化活動……8507円↓
・スポーツレクリエーション活動……5784円↓
・教養・その他……1万2587円↑増減は微小なものでした。

◆「高校授業料無償化制度」と「高校生等奨学給付金」
「高校授業料無償化制度」(「高等学校等就学支援金制度」)は2010年度より導入され、公立高校では年間授業料11万8800円が無料、私立高校では所得によって上乗せがありました。

2014年度より所得制限が設けられ、対象世帯が一定年収以下に絞られました。給付の対象になるのは夫婦と子ども2人の4人世帯で世帯年収910万円未満(共働きの場合は合算)の世帯に限られます。

授業料無償化に所得制限が設けられたことで、浮いた資金を回す形で、低所得層への給付型奨学金「高校生等奨学給付金」も設けられました。一定以下の低所得の世帯に支給されます。

◆私立高校の学習費総額(年額)
ここからは、私立高校でかかるお金について見てみましょう。

私立高校の場合、1年間に平均してかかるお金の合計と内訳は次のとおりです。

・私立高校でかかる学習費……96万9911円↓
・うち学校教育費……71万9051円↓
・うち学校給食費……0円→
・うち学校外活動費……25万860円↓

前回調査に比べ、約8万円減少しています。やはり「高校授業料無償化制度」と「高校生等奨学給付金」の効果だと思われます。

なお、「学校給食費」が0円となっていますが、かからないという意味ではなく、別途、昼食費がかかっていることになります。

次に、学年別推移でみると下のようになります。

【学年別 私立高校でかかる学習費】
・高校1年……116万16円↓
・高校2年……89万3127円↓
・高校3年……85万1087円↓

私立高校は入学金もかかり、公立高校に比べて授業料も高めです。しかし、前述のように「高校授業料無償化制度」と「高校生等奨学給付金」の効果で、大きく負担軽減が進みました。

なお、詳しくは後述しますが、2020年4月からは、私立高校の実質無償化も始まりました。

◆私立高校でかかる学校教育費の内訳
学習費のうち、学校教育費の内訳は次のとおりです。

【私立高校の学校教育費】
・授業料……23万26円↓
・修学旅行・遠足・見学費……5万3999円↓
・学校納付金等……21万5999円↓
・図書・学用品・実習材料費等……4万2675円↑
・教科外活動費……5万6224円↑
・通学関係費……11万4043円↑
・その他……6085円↑

前回調査時と比べ、授業料が4万円弱下がりました。ほかの増減は微小です。

◆私立高校でかかる学校外活動費の内訳
学習費のうち、学校外活動費は下記の通り。やはり学習塾費の占める割合が高くなっています。

【私立高校の学校外活動費】
・家庭内学習費……2万7205円↑
・家庭教師……2万20円↑
・学習塾費……12万9313円↓
・その他(補助学習費)……1万7407円↑
・体験・地域活動……6098円↓
・芸術文化活動……1万4596円↓
・スポーツレクリエーション活動……1万5101円↑
・教養・その他……2万1120円↑

学習塾費が約4万円ダウンしたほかは、増減は微小でした。

◆2020年4月から私立高校の就学支援金の上限額引上げ
2010年度以降、公立高校同様、私立高校でも授業料が軽減されてきました。また、公立高校同様、2014年度より所得制限が設けられました。夫婦と子ども2人の4人世帯の例で世帯年収910万円未満(共働きは合算)の世帯のみ対象になり、これが前回の学習費調査に顕著に表れました。

所得制限によって浮いた分を資金源として、2014年度から、低所得層への給付型奨学金「高校生等奨学給付金」も設けられました。返済不要の給付型奨学金で、私立のほうが公立よりも高めになっています。

さらに、2020年4月からは、年収によって3段階だった加算額が1本化され、金額的も拡充されました。私立高校生のいる世帯では、中学生の子の4人家族で、両親の一方が働いている場合の年収目安で年収約590万円未満の場合は39万6000円までの授業料が軽減されることになりました。

2020年4月の私立高校実質無償化の効果が学習費調査に表れるにはまだ時間が必要ですが、高校時代の親の学費負担は軽減されてきました。

文=豊田 眞弓(マネーガイド)