アニメーター「固定給18万円~」“異例の求人募集”を出した理由は? 鈴村健一「月3万しかもらえず、夢を諦めた方もいました」
声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。11月19日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「動仕会社「reboot」が異例の求人募集」。ネットニュースサイト「ねとらぼ」編集長・加藤亘さんに話を伺いました。


(写真左から)鈴村健一、「ねとらぼ」編集長・加藤亘さん、ハードキャッスル エリザベス



アニメーション制作・管理にて主に原画・動画・仕上の業務を中心におこなっている会社「reboot(リブート)」が、Twitter上で動画アニメーターの求人票を掲載。その“異例”の内容で注目を集めています。

鈴村:異例の求人募集、その内容は?

加藤さん:まず、動仕会社「reboot」のTwitterに掲載された情報を一部抜粋して紹介します。

来年度求人のお知らせ
「reboot」では新規採用を募っております。
デジタルアニメーター(18万円)
デジタルアニメーター検査含む(19万円)
福利厚生あり。弊社は「ハイスペックな動画育成」をテーマにしているため、まずは生活が安定した状態で仕事に取り組んでいけるよう、月額固定給制度を取り入れました。

加藤:鈴村さんはもちろん、この募集内容にピンときた方もいらっしゃると思いますが、「固定給で18万円~」という点に注目が集まったんです。

鈴村:通常、動画アニメーターは1枚●●●円という歩合制がほとんどで、固定給は珍しいです。

加藤:“新人アニメーターの登竜門”という扱いになりがちな“動画職”は、一般的に薄給と言われています。日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の「アニメーター実態調査 2019」によると、平均年収は125万円。月給に換算すると約10.4万円。「reboot」の18万円という月給は、業界的になかなかの額だと思います。

ご存知ない方のために説明すると、動仕会社の“動仕”とは、アニメの「動画」と「仕上げ」のことです。動画は、原画と原画の間に中割の絵を加えることです。仕上げは、その動画をスキャンして彩色を施すことを指します。つまり、どんなに素晴らしい原画だったとしても、元の線や動きが拾えていなければ台無しになります。これらの重要な工程を専門的に請け負っているのが動仕会社です。

ちなみに今回注目された動仕会社「reboot」は、「ポケットモンスター」「呪術廻戦」「ハイキュー!! TO THE TOP」など、人気作品を数多く手がけている実績ある会社です。

加藤:今回、「reboot」の代表と人事部長に「異例の求人」について取材したところ、次のようなお答えでした。

まず、固定給にしたのは社長のお考えだそうで、「生活基盤がしっかりしてないと良い仕事はできない。なのに、この基本部分をどこもやっていないのは不思議じゃないですか。うちは単にそこをやっただけ」とのことです。

その基本ができなかった理由は、制作予算が少ないため。もし固定にしてしまったら、人を多く雇えない。すると生産量が上がらない。さらに雇った人が辞めてしまったら、教えたことも全部ダメになってしまう……ということで、会社としてなかなかリスクが取れなかったそうです。

もちろんリスクがあるのは「reboot」も同じですが、そこは割り切って「“海外”の動仕で利益を生んで、それを日本のクリエイターに投資していく。そんな、日本に仕事を戻していく流れを生んで行きたい」というのが「reboot」の考えでした。

鈴村:動仕は、海外での作業のほうが安いんですよね?

加藤:中国や韓国などは安価で、物量が圧倒的だそうです。海外での動仕の物量がなければ、現在日本で放送されている大量のアニメを作るのは不可能だと言われています。

鈴村:今回の募集は新人向けですか?

加藤:固定給18万円~の募集は、新規の人向けだそうです。経験者はまた別途相談ということで、技術を身につけてフリーになったり、他社に移籍したりも全然アリ! とのことでした。

鈴村:新人アニメーターで18万円を固定でもらえるのは大きいです。知り合いのアニメーターさんは月3万しかもらえず、夢を諦めた方もいました。例えば、何億円を稼いでるアニメがあったとしても、アニメーターさんも声優も基本的には給料が変わらない仕組みです。アニメが売れていても、売れていなくても、同じ給料でやっています。その仕組み自体を見直さないといけないと思っています。

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月~木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/