声優・駒形友梨が4thミニアルバム『Night Walk』をリリース。今年3月発表の3rdミニアルバム『a Day』と対になる”夜”をテーマにした作品で、彼女がこれまで歌ってきたシティポップやバラードも収録しつつ、初顔合わせの作家も含めあらたな挑戦も盛り込んだ充実の1枚に仕上がった。果たして彼女は”夜”というテーマをもとに、どんな世界を表現していったのだろうか。

  • 駒形友梨(こまがたゆり)。1991年8月25日生まれ。東京都出身。スペースクラフト・エンタテインメント所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』高山紗代子役、『まんがーる!』鳥井あき役、『未確認で進行形』三峰白雪役など

●今まで以上に明確だった、アルバムの全体像

――『Night Walk』は、前作『a Day』と2部作の関係にあるんですよね。

そうなんです。最初に「今年はミニアルバムを2枚出したいと考えています」という打合せがあって、まず”お昼”にフォーカスして明るい曲を集めた『a Day』の方向性が決まったんですけど、私自身は元々暗くて地味な曲が好きなので「夜もやりたい!」という話になりまして。それでもう1枚は、”夜”をテーマにすることに決まったんです。

――タイトルになった「Night Walk」という言葉は、どんなイメージに由来するものですか?

もともと私自身が夜型なんです。夜に散歩することも多くて、そのときいつも音楽を聴いていたんですよ。なので、同じように夜に散歩しながら聴ける音楽とか、それ以外にもいろんな夜のシチュエーションに合った曲を入れたアルバムにしたいな……という気持ちから出てきたことばです。

――そのイメージをもとに作家さんに楽曲を発注された際に、特にこだわられたことはなんでしたか?

話し合いながらいろいろ意見を出させていただいたんですけど……高橋諒さんは絶対「Night Walk」というテーマらしい曲がお得意だろうから、「ぜひお願いしたいです」というお話はしていました。その他にも、「めちゃめちゃアップテンポの難しい曲に挑戦してみたいです」というリクエストから「オービタル」を書いていただきましたし、三好啓太さんやBURNOUT SYNDROMESの熊谷和海さんともぜひご一緒したいですとお願いしました。

――作家陣も含めて、最初から明確なビジョンがあったんですね。

はい。それに今回はいつも以上にしっかりと打合せもさせていただいたので、私の中にもスタッフさんの中にもイメージがちゃんと固まっていて、すごく安心感がありました。

――前作からの約半年の間、ライブが中止になるなど新型コロナの影響も受けたと思います。そんななか、御自身のYouTubeチャンネルには弾き語りの映像もUPされていましたね。

いつかイベントで自分で弾きながら歌えたらいいなと思って、元々やっていたギターをまた始めたんですよ。特に6曲目の「insomnia」はすごくアコースティックな曲なので、ライブで弾き語りをするようなイメージもありましたね。私の曲って難しい曲ばかりらしいんですけど(笑)、いつか何らかの形で実現させて、お見せしたいですね。

●本作のコンセプトが後押しした、トライしたかった歌唱表現

――では、『Night Walk』の収録曲についてそれぞれお聞かせください。まずタイトルチューン「Night Walk」は、まさに”夜のお散歩”を感じる曲です。

他の曲がリード曲になる可能性もあったんですけど、この曲が私がイメージしていた『Night Walk』というアルバムのイメージに本当にぴったりだったんですよ。なので歌詞はそのイメージに沿った世界観のものにしていただきましたし、タイトルも元々は別のものだったところを「Night Walk」にしていただくなど、まさにこのアルバムを象徴するような存在になりました。

――歌ううえで、ポイントにされたことはどんなことでしたか?

今回は自分でも「ここまでやってもいいんだ」と思うぐらい、大人っぽく歌わせていただきました。今までもこういうふうにもっと楽にといいますか、素に近い感じで歌いたくはあったんですけど、どこか「もっと元気に歌わなきゃ」「もっと明るく歌ったほうがいいんじゃないか?」という葛藤もあったんです。でも今回は、アルバムのコンセプトやこの曲にすごく背中を押されて、今までやりたかったけど怖くてできなかった表現に挑戦させてもらえたように感じています。

――以前、「ナチュラルに歌うと声が暗くなりがち」とのお話もされていましたね。

そうなんですよ。ちょっと強めに口角を上げたりして明るい声を意識して、やっと普通に聴こえるような感じなので。でもこの曲は、そういうことを全然気にせず思ったままに歌えたのですごく楽しかったですし、いい具合に力も抜けて歌えたように感じています。

――その他にも、歌ううえでのこだわりはありましたか?

高橋さんがめちゃくちゃオシャレにしてくださったこの曲の世界観の中で浮かないように、持てる技術は全部使って、新しい引き出しにも挑戦したい……という気持ちで臨みました。なのでサビでのリズムの乗り方やアクセントの付け方など、よりエモーショナルに聴こえるよう話し合いながら進めていきまして。そのなかで、たとえば「月明かりはEternity」の部分にちょっとフェイクを入れるなど、自分がイメージする”洋楽っぽい歌い方”もしていきました。

――発売に先駆けて、MVのshort ver.もUPされています。

こちらもとても大人っぽい感じになっていまして。今までのリード曲は明るい曲がほとんどだったので、雰囲気が全然違うのを感じました。外を歩くシーンは得意な時間帯の夜がメインだったので(笑)、表情的にも結構リラックスしていると思いますし、部屋の中のシーンもライティングがすごくムーディーで。アンニュイな感じに撮っていただいているので、ぜひこちらもご覧いただきたいです。