「この日、実は母の誕生日。なんだかとってもとっても幸せな気持ち」

モデルで女優の宮本茉由が、チョーヤ梅酒「The CHOYA」の新イメージキャラクターに抜てきされた。同商品でタレントが起用されるのは初めてのことで、宮本にとっても初のメイン出演となるCM。インスタグラムでは「放送は8月21日からです!」と告知しながら、母の誕生日と偶然重なった喜びもつづった。

2015年に芸能界入り。2016年9月、第1回ミス美しい20代コンテストで審査員特別賞を受賞し、その後は『CanCam』専属モデルや女優として活動の幅を広げ、現在放送中のフジテレビ系ドラマ『監察医 朝顔』(毎週月曜21:00~)では第1シーズンから鑑識係員・渡辺英子役に起用されるなど、注目を集めている。

『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』の秘書役で、小日向文世演じる弁護士界のドンからワインをぶっかけられる衝撃シーンから2年。心の支えだった“弟メモ”は、別のカタチで演技の土台となっていた。

  • 女優の宮本茉由 撮影:泉山美代子

■『CanCam』モデルで経験した挫折

――2015年に『CanCam』でモデルとして芸能界デビュー。専属モデルになってから約4年が経過しましたが、同じ雑誌の専属モデルの方々は宮本さんにとってどのような存在ですか?

ライバルというよりは、私にとっては歳下でもみなさん先輩。十代の頃から経験を積んでいる方も多いので、教えて頂くことの方が多いです。同い歳や歳下の子もいるんですけど、最初に編集の方からは「さん付け」で呼び合っていることを教えてくださって。でも、トラちゃん(トラウデン直美)は最年少でみんなから「トラちゃん」って呼ばれていて、私が「トラさん」って呼んだら、「トラさんはやめて(笑)」と。そういうこともあって、最初に「ちゃん付け」させて頂いたのは、トラちゃんでした。

――インスタグラムには、そのトラウデンさんとのツーショットも投稿されていましたね。“トラたろう”と書いてありましたが、いろいろな呼び方があるんですか(笑)?

トラちゃんはみんなにいろんな呼び方をされていて、「トラたろう」「トラのすけ」「トラ」とか。すてきな名前なので、みんないろいろな呼び方をしています。トラちゃんはかわいくてピュアで真面目で。私よりも4つも歳下なんですけど、すごくしっかりしているので相談をすることもあります。

――『CanCam』以前のモデル経験は?

ほとんどありません。事務所に所属してから、YouTubeでいろいろなモデルさんの動画を観たり、雑誌を見たりして研究していました。3人で撮影をしていると2人は完璧なのに、私の顔が微妙な時もあって。すっごく寒い中、ノースリーブで撮影したりするので、「1回で確実に良い表情ができるように」と反省して、家で練習したりしました。

――他と比べて「自分がダメ」というのは、すぐに分かるものなんですか?

撮った後にモニターチェックするんですよ。そこで、「私の顔、ダメだな……」と分かるんです。編集さんからも、「もう1回いいですか?」と要望があったりするので。2年目くらいになると、周りにも合わせられるようになって。そういう中でも『CanCam』メンバーはみんな仲良いので、楽しく撮影させて頂いています。

■将来の夢は客室乗務員だった

――モデルデビューを経て、2018年9月の「オスカープロモーション2018女優宣言」発表会では、「『20代からでも努力すれば夢は叶う』ということを体現し、夢を持つ多くの20代の方に伝えていけたら」とおっしゃっていました。

そんな難しいこと言ってたんですね(笑)。私は20代からのデビューです。周りは十代から活躍している方がたくさんいて、ファッションショーに出るとだいたいみなさん友達なんです。私は友達が一人もいないから、ずっと一人で本を読んで過ごしたりしていて(笑)。十代からスタートした人たちのことを「いいなぁ」と思っていたんですけど、私が普通に学校に行って、普通に生活していた頃、みなさんは十代から大変な思いもしている。私はその大変だった分を今やらなければいけないと思って頑張らなきゃと。

――自然とそう思えたんですか?

母とかにも相談しました。「十代からやりたかったなぁ……」という私に、母は「その子たちも大変な思いをしてるわけだし、その分、がんばらないといけないんじゃない?」とアドバイスしてくれたからこそ、素直に受け入れられたんだと思います。

――大学に進学するまでは別の将来像を思い描いていたんですか?

もともとはCAに憧れていました。でも、大学は国文学科に通っていました(笑)。英語は独学でやろうと思って、勉強して進めてたんですけどご縁があって今の事務所に入ることになりました。その後に『CanCam』専属モデルが決まった時、「ここで頑張ろう」と。20歳から入ったことで不安もありましたが、「選んで頂いた恩返し」ができればと思って頑張っています。

――ご家族の支えも。

やりたいことをずっとやらせてもらってきました。ただ、私が「やりたい」と言い出したことはなかなかやめさせてもらえない。「やるからにはちゃんと続けなさい」と。だから、5歳の誕生日のときに私がクラシックバレエを習いたいと言って、大学に入るまで何回も辞めたい時期がありましたが、最終的に15年ぐらいは続けました。

――今でも支えに。

応援してくれています。チョーヤのCMの放送日は母の誕生日だったので、大きなプレゼントになったかなと思います(笑)。すごく喜んでくれました。

■演技のダメ出し「弟メモ」その後

――以前、取材をさせて頂いた時の話が印象的でした。家で演技の練習していると、弟さんが「ダメ出しのメモ」を渡してきたと。その後もメモは続いていますか?

『リーガルV』の撮影の時ですね。今はメモじゃなくて、母と弟の3人で演技の練習をしていて……(笑)。動画で撮っているのですが、私が入って来る前のセリフもしっかりやってくれるんですよ。2人が楽しくなっちゃって、「ちょっと、もう1回冷静にやって! 私が入れない(笑)」みたいな状態になって。演技指導とかもしてくれたりするんですけど、「いや、経験ないよね!」と(笑)。2人とも目立ちたがり屋なので、2人の方がうまくできるんじゃないかなと思ってしまう時もあります。面白いですね(笑)。

――『妖怪シェアハウス』と『竜の道』でも、「3人の演技」で備えたんですか?

やってくれました(笑)。母が遠藤憲一さんの役とかをやってくれるんですけど、全然似てなくて入れないんですよ。そういう時は弟に頼んだりしています(笑)。『妖怪シェアハウス』では、母が主役の小芝風花ちゃんの役。そこはちょっとコツを掴んでいるところがあって(笑)。基本は一人でセリフを覚えて、自分で確認したい時は動画を撮って。家族が帰ってきて、自分の中での「これで正解かな?」をもう一度確認したい時にお願いしています。

――最終的な仕上げのイメージ?

そうですね。「この人はこのぐらいのトーン、間でセリフを言うだろうな」と思って、母と弟が想像と違う言い方をしてきた時に、「えっ!?」となるんです。そこにも対応できるようにしておけば、「どんな反応でも返せる」という自信にもなります。母と弟みたいな方は絶対にいないと思いますので(笑)。私はすぐに自分の中での答え合わせがしたいので、母と弟には申し訳ないですが、帰ってきてすぐに付き合ってもらってます。

――『竜の道』では遠藤憲一さんと共演されましたね。遠藤さん演じる源平が通うクラブのホステス・安奈役でした。

遠藤憲一さんは優しくて面白い方で。現場ではずっと盛り上げてくださって、とても楽しい現場でした。撮影期間が短かったのでたくさんお話しすることはなかったんですけど、愛人のホステス役なのに最初はボディタッチにすごく気を遣ってしまっていて、「思いっきりやっていいよ」と言ってくださったんです。そのおかげで遠慮せずにできましたし、遠藤さんが役に入り込んでいらっしゃるからこそ私も役になりきることができました。もちろん、母が演じる遠藤憲一さんとは全然違いました(笑)。

――そっちも見たかったです(笑)。『妖怪シェアハウス』は、Sっ気のある役どころでしたね。

意地悪な女の子の役は初めてでした。友達からは、「のびのびやってるね」と(笑)。自分を演じる方が逆に恥ずかしいので、あれぐらい自分と違うタイプでズバズバ言うのも面白いですね。撮影の合間には大東駿介さんが怖い話をしてくださって、すごく楽しい現場でした。

――そして、『監察医 朝顔』シーズン2もスタート。

チームワークができている状態での再スタート。同じチームでまたご一緒できることは、そんなにないですよね。先輩方も優しくしてくださいますし、同世代の方も多いので、みんなで和気あいあいと休憩中も話したり楽しく撮影しています。解剖シーンも、最初のときと比べてスムーズになって、3時間巻きで終わったりする日もあります。

■好きな言葉は「ありがとう」

――取材で好きな言葉を聞かれると、「ありがとう」と答えていらっしゃいますね。ここにはどのような思いがあるのでしょうか?

幸せの感じ方は人それぞれだと思っていて。日々、幸せを感じて感謝することを自分の中で心掛けていたら絶対に幸せになると思っています。些細なことも「幸せ」と感じることが多いので、母の教えだと思います。

――デビューして5年。「ありがとう」から思い浮かぶ人は?

一人じゃないですね。やっぱり色々な方がいてくださって、怒ってくださった方も私のことを思って言ってくださったと思うので……いろいろな方のおかげで今があると思います。

自粛期間中は、過去のことを思い返す時間にもなりました。昔の写真や動画を見て、当時はたぶん感じられてなかったんですけど、すごく楽しくて幸せな日々を送っていたんだなと思えたんです。自分は常に幸せだったんだなと。今もすごく幸せですし、そういう環境にいさせて頂けるのは本当にありがたいと思います。

■プロフィール
宮本茉由(みやもと・まゆ)
1995年5月9日生まれ。2016年9月、第1回ミス美しい20代コンテストにて審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。同年12月から『CanCam』専属モデルに抜てきされ、2018年10月期のテレビ朝日系『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』でドラマデビュー。『東京独身男子』(テレ朝系)、『監察医 朝顔』(フジ系)、『トップナイフ』(日テレ系)、『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジ系)、『妖怪シェアハウス』(テレ朝系)に出演。11月スタートの『監察医 朝顔』第2シーズンに出演中。