電力変換ICを手掛けるPower Integrations(PI)は10月26日(米国時間)、同社のスイッチング電源IC(AC-DCコンバータ)「InnoSwitchファミリ」の出荷数が累計で10億個を突破したことを発表した。

同ファミリは2014年に発表され、独自のFluxLink通信技術を採用することで、フォトカプラを必要としない高精度な二次側制御を可能にしたスイッチング電源ICであり、高いエネルギー効率、信頼性、堅牢性などを特徴としている。

InnoSwitchファミリは、USB PD充電器、家庭用電気機器、PC、ディスプレイ、サーバー、白物家電、産業用デバイス、自動車を含む幅広い電源に採用されている。現在、その製品ラインナップは、次のようなバリエーションが提供されるようになっている。

  • USB PDやその他の定電力アプリケーション向けの「InnoSwitch3-CP」
  • 大型家電や産業用電源向けの「InnoSwitch3-EP」
  • IoTやハイカレント充電器、アダプタ向けの「InnoSwitch3-CE」
  • ディスプレイなどの多出力定電圧及び定電流アプリケーション向けの「InnoSwitch3-MX」
  • 電圧や電流をデジタルプログラム可能なI2Cを採用した「InnoSwitch3-Pro」
  • 自動車向けのAEC-Q100認証を取得した「InnoSwitch3-AQ」

InnoSwitchデバイスでは、650Vから900Vの幅広いシリコントランジスタ、または独自のPowiGaNスイッチ技術による750V GaNが採用されている。これにより、ヒートシンクレス、効率95%で最大100Wの電力供給を実現している。

なお、今回の10億個達成について、同社の社長兼CEOを務めるBalu Balakrishnan氏は、「電力変換技術における新しい基準を設定し、電源設計におけるパラダイムシフトとして支持されている。一次側コントローラ及びそれに関連づけられているMOSFETを同期整流コントローラと組み合わせた高級で複雑な方式が、シンプルかつエレガントで信頼性と効率性に優れた、さらに高集積なアーキテクチャへの道を開いた。InnoSwitch ICに対する市場の反応は素晴らしく、10億個を超える数量を出荷したことを誇りに思う」と述べている。