ヴィーム・ソフトウェアは10月28日、オンラインで「VeeamON TOUR」を開催した。説明会にはVeeam Software APJ シニア・バイス・プレジデントのショーン・マクレガン氏と、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏が出席した。

Kubernetesのデータ保護を強みとするKastenを買収

冒頭、マクレガン氏は10月6日に発表したKastenの買収について触れた。すでに両社は5月に協業を発表していたが、ヴィームがKastenを1億5000万ドルで買収した。これにより、ヴィームのクラウドデータマネジメントプラットフォームにKubernetesのバックアップとアプリケーションモビリティを実現する「Kasten K10 Data Management Platform」(K10プラットフォーム)が統合し、コンテナのデータ保護機能が追加される。同氏は「今回の買収はパブリッククラウド、プライベートクラウドのデータ保護を強力にするものだ」と述べた。

  • Veeam Software APJ シニア・バイス・プレジデントのショーン・マクレガン氏

    CVeeam Software APJ シニア・バイス・プレジデントのショーン・マクレガン氏

  • Kastenの買収によりKubernetesのバックアップとアプリケーションモビリティを実現するという

    Kastenの買収によりKubernetesのバックアップとアプリケーションモビリティを実現するという

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界の変化についてマクレガン氏は「仕事のやり方が大きく変化したが、その中でもデータの管理が最も重要なものになっている。リソースの管理/活用やリモートワークに伴うセキュリティとガバナンス求められ、ニューノーマルに移行せざるを得ない状況下でデジタル変革のプロジェクトが急激に増加している。その中で2つの重要な要素があり、それは組織の『人』と『データ』であり、当社としては両方を保護していくという大きな役割がある」との認識を示す。

人に関しては使いやすいソフトを利用することで生産性を向上させ、データについてはインテリジェンスな形でデータを取り出し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが肝要である一方で、リモートワークでテクノロジーに対する依存が注目されており、Microsoft 365のユーザーが2億人以上に達していることが、それを物語っているという。企業は重要なデータをMicrosoft 365に保持しており、同社の調査によるとバックアップに関して保護が必要であるという認識はあるものの、回答企業の68%がマイクロソフトに依存している結果となった。

  • Microsoft 365利用企業の68%がバックアップをマイクロソフトに依存している

    Microsoft 365利用企業の68%がバックアップをマイクロソフトに依存している

そして、同氏は「これまで当社は2008年に仮想ワークロードの保護に注力し、2010年代はデータセンターのアベイラビリティの担保にフォーカスしていた。今回、Kastenの買収により目指すべき姿が明確になった」と話す。

このような中で同社の事業は堅調に推移しており、グローバルにおいて年間経常収益の成長率は20%、サブスクリプション受注額の成長率が75%、Veeam Backup for Office 365の受注額の成長率は89%、ガートナーが発表しているバックアップベンダーにおけるシェアは3位だという。

また、APJでは年間経常収益の成長率は28%、受注額の前年比成長率が21%、サブスクリプション受注額の前年比成長率が101%、取引の平均規模の前年比成長率が45%となっている。

  • APJの実績

    APJの実績

国内のビジネス概況は

続いて、古舘氏が国内における事業方針について説明し、国内では売上成長率が昨年比40%、新規顧客数が前四半期比39%、従業員数増加率が昨年比46%にそれぞれ成長した。

  • ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏

    ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏

  • 国内の実績

    国内の実績

日本の方向性として「パートナー」「クラウド」「エンタープライズ」「広域サポート」の4点を挙げている。パートナーでは支援体制・トレーニングの拡充、クラウドは「Veeam Cloud Service Provider」プログラムの推進、エンタープライズではクラウドデータマネジメント、広域サポートに関しては日本語化の充実と大阪・名古屋オフィスを開設している。

  • 日本の方向性の概要

    日本の方向性の概要

同氏は「特に今年はエンタープライズ市場で好調だった。これまで、ユーザーはオンプレミスだけでデータ管理していたが、クラウドを含めて全体的なデータマネジメントを指向しているほか、DRの仕組みを再考している。東日本大震災後に大規模なBCP対策を行ったが、クラウドが当たり前に使える現在ではクラウドの活用が多くの業界で進んでおり、クラウドなしでは考えらない状況となっていることから、リプレースに際しては当社の製品が検討対象になっている」と説く。

そのような背景もあり、同社ではクラウドデータマネジメントアセスメントを提供している。これはクラウドを前提にデータ保護を見直す際に「バックアップと復元」「クラウドモビリティ」「監視と分析」「オーケストレーションと自動化」「ガバナンスとコンプライアンス」の5つ観点でアセスメントを行うというものだ。

  • クラウドデータマネジメントアセスメントの概要

    クラウドデータマネジメントアセスメントの概要

同氏は「5つの観点で棚卸をしていない企業が多く、クラウドデータマネジメントアセスメントを用いて棚卸することで新たな気付きやクラウドを中心としたデータ管理のブループリントを作成するきっかけにしてもらっている。顧客からの引き合いも多く、クラウドを利用したDR環境に変革したいという考えが強い」と話していた。