近年、退職金のない働き方をしている人が増えています。退職金に頼らない老後資金の作り方をご紹介します。

◆将来受け取る年金を増やす方法とは?
退職金のない人は、自分でお金を管理して、老後に備えなければなりません。退職後の主な収入源は、やはり年金です。が、自営業者やフリーランスの人が加入している公的年金は「老齢基礎年金(国民年金)」だけ。会社員であれば、厚生年金や企業年金などの上乗せがありますが、自営業者やフリーランスが受け取れるのは老齢基礎年金だけです。

2020年9月度の老齢基礎年金の支給額は、満額(40年間加入)で年額78万1700円。月額にして約6万5000円……これだけでは不安ですね。

そこで、老齢基礎年金に上乗せできる「国民年金基金」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をご紹介します。

◆「国民年金基金」とは?
国民年金基金は、厚生大臣(当時)の認可を受けた公的な法人です。会社員と比べて、将来受け取る年金が少ない自営業者やフリーランスの老後の所得保障を目的に導入されました。

国民年金基金には、「全国国民年金基金」と、職種別に設立されている「職能型国民年金基金」の2種類があり、どちらか1つの基金を選択します。

掛金は、加入時の年齢と選択した年金の型により決まります。上限は、月額6万8000円(年額81万6000円)に定められています。では、この国民年金基金に加入すると、どれくらいの上乗せ効果が期待できるのか見てみましょう。

たとえば、女性が33歳から26年間加入し、毎月の掛金を4万1190円、終身年金(15年保証期間なし)に設定してみましょう。すると、月額約6万円、年額約73万円の上乗せ年金を作ることができます。これを国民年金と合わせると、月額約12万6000円、年額約151万円を受け取れることになります。国民年金基金のウェブサイトでは、これらの詳しいシミュレーションができますのでチェックしてくださいね。

注意したいのは、1度加入すると原則として解約することはできません。掛金を増額または減額することはできるので、もし支払いが苦しい状況になったときは掛金を減額できます。また、余裕のある方は、掛金を前納すると割引を受けることもできます。

◆「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とは?
つぎに「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を見てみましょう。

iDeCoも国民年金基金と同じく、公的年金に上乗せする個人年金の1つで、自分で資産運用して年金を作っていく仕組みです。具体的には、運営管理機関が用意する専用の個人口座に資金を積み立て、あらかじめ選ばれた運用商品(投資信託、定期預金など)の中から、金融商品を選択します。

この選択した商品の運用成績によって、将来受け取る年金が変わります。たとえば、株式で運用する投資信託の割合を多くすると、株式市場が好調であれば年金額は増えるでしょう。ただし、その逆もあり得ます。リスクを取りたくないという人は、株式の割合を下げ、債券や元本確保型の商品を増やすこともできます。

掛金は毎月5000円以上で、1000円単位で任意に設定できます。加入者1人の上限は、月額6万8000円(年間81万6000円)ですが、掛金の限度額が国民年金基金と共通のため、両方に加入している場合は、限度額内におさまるよう調整が必要となります。
確定拠出年金(個人型)を利用すると……
2017年1月からは、自営業者やフリーランスだけでなく、会社員や専業主婦の方もiDeCoに加入できるようになりました。ただし、企業年金の規約によっては加入できないケースもあります。加入資格については iDeCoのウェブサイトで確認してください。

◆年金は老後の大きな助けとなる
資産は限りがあるのに対し、年金は生涯支給される心強い存在です。1カ月あたりに増やせる額はわずかであっても、それが何十年も続ければ定年後の家計の大きな助けとなることは間違いありません。

また、国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)共に、掛金の全額が所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されるメリットがあります。これらの制度を上手に活用し、ゆとりのある老後の生活設計を目指しましょう。

文=井戸 美枝(マネーガイド)