村上春樹 伝説のジャズ喫茶「ピーターキャット」時代に、よくかけていた50年前のレコードとは?
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。10月25日(日)の放送は「村上RADIO~秋のジャズ大吟醸~」と題して、村上さんが所有するアナログ・レコードのなかから、まさに“大吟醸”の名にふさわしいジャズをセレクト。村上さんが愛聴してきたレコードや、「大好きなジャズ・ミュージシャン」と語るアーティストの曲など、秋に似合うさまざまなジャズをお届けしました。この記事では、中盤2曲についてお話された概要を紹介します。


◆Ben Webster「That's All」
今日はなぜかサキソフォンの演奏が多いです。秋の夜には、サキソフォンの音色がなぜか似合います。次は、僕が大好きなテナーサックス奏者のベン・ウェブスターです。デューク・エリントンの楽団に入っていて有名になった人だけど、さきほどのコールマン・ホーキンズと同じくスウィング時代に活躍したスターでした。スタイルを超えて、長い間、ジャズ・ファンにそのジャズ・スピリットを愛されてきました。とくに彼のバラ―ド演奏は絶品です。

なかでも僕がいちばん好きなのは、この「That's All」です。これ、ほんとに泣かせます。リズムセクションは、オスカー・ピーターソンのカルテットで、このテナーサックスのプレイととてもよく馴染んでいて、素晴らしいです。

◆Lucky Thompson「When Sunny Is Blue」
次はソプラノ・サックスです。ラッキー・トンプソンの演奏する「When Sunny Is Blue」、「サニーがブルーになるとき」。もともとはテナーサックスの奏者で、たぶんジョン・コルトレーンの影響だと思うんだけど、60年代に入って、ソプラノ・サックスをよく演奏するようになりました。

バックをつとめるのはスペインの盲目のピアニスト、テテ・モントリューのトリオ。スペインのレコード会社のためにバルセロナで吹き込んだ曲です。
トンプソンはどちらかといえば古いタイプのテナーサックス奏者ですが、60年代に入って、ソプラノ・サックスを積極的に演奏するようになってからは、はっとするような新鮮な演奏スタイルになって、独特なポジションを獲得していきました。とても個人的な演奏家ですね。一般的な人気はそんなにないけど、こっそり愛好するジャズ・ファンは多いかもしれません。



これは僕が店をやっていたときに、よくかけていたレコードで、好きなんです。ここに店の名前「ピーターキャット」のスタンプが押してありますね。レコードってけっこう持つものでしょう? 50年近く前のレコードなのにちゃんと聴ける。

<番組概要>
番組名:村上RADIO~秋のジャズ大吟醸~
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:10月25日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/