• 遊佐学さん(右)と母親 (C)フジテレビ

学さんの場合は、故郷の母をはじめ、家族に支えられて新しい人生を歩み始めることができた。安達自身にとっても「やっぱり親には子供の頃に育ててもらったという恩がありますし、自分が大人になってからは逆に支えている部分もあると思います」と重ね合わせ、「家族の形や関係性は違うと思いますが、少なからずみんなそういう思いはあるのではないでしょうか」と、普遍的なものであることを再確認する。

また、学さんが「また薬をやってしまっても、そのことを話してもらえる存在でありたい」という考えを話す場面もあるが、安達にとって悪いことを打ち明けて話せる存在は「今は、やっぱり夫ですね。親には心配をかけられないし、子供はこっちが守るべきものだし、そうなると、自分のプライドを捨てて、トラウマとか弱いところなどを全部さらけ出して話せる相手だと思います」とのこと。

普段から包み隠さず話し合える関係だそうで、「お互いに『自分だけが大変じゃないんだね』『これが終われば次に行けるね』と、傷を舐め合うみたいな感じです(笑)」と明かした。

■厳しい現実をきちんと見せてくれる番組

『ザ・ノンフィクション』では、このシリーズ以外に最近でも、DVや望まぬ妊娠など誰にも頼れない問題を抱える少女たちを追った『19歳の漂流 ~妊娠…出産…家族を求めて~』(20年6月14日放送)など、重いテーマの回でナレーションを担当することが多い安達。

そんな番組への印象を、「自分に起こっていることではないけど、厳しい現実があることをきちんと見せてくれて、それが自分にも置き換えられることだったりするんですよね。そうやって、人生の難しさをはっきりと突きつけられると、世の中にある問題を考えざるを得なくなるので、社会にとっても自分にとっても、大切なことなんだと思いながら、いつも見ています」と語る。

そこに声を吹き込むナレーションは、「客観的な目が必要なのかなと思っています。俳優の習性で、どうしても感情を追ってしまうというのがあるのですが、この番組に関しては気持ちが入り込み過ぎないように気をつけています」と、意識を持って臨んでいるそうだ。

●安達祐実
1981年生まれ、東京都出身。2歳で芸能界入りすると、93年に銀幕デビューとなる『REX 恐竜物語』で主演を務め、翌94年に主演ドラマ『家なき子』で大ブレイク。その後も、『ガラスの仮面』『ナースのお仕事4』『大奥』『警視庁・捜査一課長 season3』『初めて恋をした日に読む話』『捨ててよ、安達さん。』などのドラマ、『ヒーローインタビュー』『お墓がない!』『LOFT ロフト』『花宵道中』『#バンド全力』といった映画などで活躍する。