女優の安達祐実が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回読んだのは、10月25日・11月1日に2週連続で放送される『母の涙と罪と罰 2020』。前科者、薬物依存といった過去から抜け出し、“やり直したい”人たちを支援する遊佐学さん(45)に密着した作品だ。

子役時代から表舞台で活躍し続ける安達とは、とても遠い世界での出来事に見えるが、「知ることの大事さを感じました」という彼女。この物語を通して、何を受け止めたのか――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った安達祐実

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った安達祐実

■「人は人に支えられないと生きていけない」

覚せい剤で逮捕された前科のあるヤクザだったが、そこから立ち直って、自身と同じ境遇だった人たちの“やり直し”を手助けする学さん。そんな彼を追った『母の涙と罪と罰』シリーズは2018年、19年にも放送された。

このいずれの回もナレーションを担当している安達は、3回目となる今回の収録を終え、「毎回そうなんですが、やっぱり題材が重たいですね」と本音を吐露しながら、「結局、人っていうのは、人に支えられないと生きていけないものなんだなというのは、このシリーズを見ていつも思うことです」と感想を語る。

前編では、学さんが面倒を見るタカシさんがヤクザを辞めて介護施設で働くも長続きせず、覚せい剤に手を出して逮捕されてしまったり、依存症の回復施設で働き始めた学さんが突然クビになってしまったり、学さんが仕事を失ったにもかかわらず、12回の逮捕で計30年間を刑務所で過ごした高齢男性を自宅で引き受けたりと、濃密な5年が描かれ、後編でもさらなる衝撃的な“事件”が待ち受けている。

自身のキャリアでも、衝撃的な展開が続く『家なき子』など、ドラマや映画で様々な役を演じてきた安達だが、「今回の原稿を家で読んでいて、1つのことがうまくいかないと、そこから坂道を転げ落ちるように負のスパイラルに陥っていってしまうのが、映画の世界のような話だと思ったんです。でも、それが現実にも起こっているということは、とても悲しいことだし、知ることの大事さを感じました」と向き合った。

  • 『母の涙と罪と罰 2020』前編より (C)フジテレビ

■学さんから感じる安心感

特に印象に残ったシーンを尋ねると、「学さんが、やり直そうとする人たちに対して、いつでも否定しないところですね。受け入れて肯定しながら支えていく姿勢や、ご自身も経験されたからこそ出てくる言葉に深い優しさを感じて、読んでいて毎回ちょっと泣きそうになるんです」と回答。

その言葉は「やり直そうとする人たちにとって本当に励みになるだろうなと思いますし、学さんのひと言ひと言が相手にとっては生きるか死ぬかの分かれ道になる場合もあるので、1つ1つの言葉がズシンと重く感じますね」と、第三者として見守る立場でありながら受け止めた。

さらに、これまで断続的に見てきて気づいた学さんの変化を聞くと、「より元気になられた印象を受けました。学さん自身も『覚せい剤や薬は、またやってしまうかもしれないものだ』と言って、まだそういう葛藤の中で生きていらっしゃる部分はあるのかもしれないけど、本当にこの人はやり直せたんだなと感じました」と、安心感が増した印象もあるそうだ。