小さなお子さんがいらっしゃる方は「教育費」の準備が気になると思います。でも、教育費を貯めようと考えるときに、大きな誤解をしているかもしれません。よくある誤解3つをお伝えします。

◆“大学受験”を目指して貯めていくのが正解
これからお子さんが生まれるご家庭や、現在小さなお子さんを育てているご家庭では「子どもの教育費をどのように貯めるか」が気になるのではないでしょうか。

筆者も小学低学年の子どもが2人いまして、まさに将来に向けて教育費を準備していかねばならない時期です。

教育費に関するご相談をいただく際に、誤解をしているケースが時々あるため、今回はよくある誤解を3つお伝えします。

◆誤解1:教育費は“一括”でかかるわけではない
「子どもが大きくなるとお金がかかるんでしょう。1人あたり1000万円!って……。そんな大きなお金を準備できる自信がないし、(子どもが小さい)今がお金の使い時ですよね?」と聞かれることがあります。

実はこれ、発想を逆にしてみてください。

「子どもの教育費は、積もり積もって1000万円以上になる。大きな山場は大学受験からなので、子どもが小さいうちから貯蓄して備えておこう」と考えるのが正解です。

子ども1人あたりの教育費は「少なくても1000万円以上」と聞くと、焦ってしまうかもしれませんが、もちろん、いきなりドン!と1000万円が必要なわけではありません。少しずつ少しずつかかった合計が、1000万円以上になるのです。

ちなみにこの「1人1000万円以上」という目安は、小学校~大学まで、すべて公立(大学は国公立)に通った場合の合計額。私立に行ったり、一人暮らしをしたりすると、もっと大きなお金が必要なので、その予定がある場合はしっかり準備しておきたいものです。

データを見ると、教育費の山場は、大学受験~大学卒業まで。赤ちゃん~高校生までは、貯蓄を取り崩したり、ボーナス払いをしたりすることなく、可能な限り月収から出せる学費の学校を選ぶことが大切です。

ですので、教育費の準備とは、“大学進学の時期”を目指しましょう。子どもが小さいうちなら、大学進学の時期まで時間がたっぷりありますから、月々積み立てていけば、大きなお金を準備することができます。

国公立大学に自宅から通う場合、目安は500万円ほどです。例えば大学入学までに300万円ほど準備できれば、残りの200万円は、月収から出すということも考えられます(私立大や一人暮らし、医歯薬系、大学院、留学などを考える場合は、もっと準備しておく必要があります)。

「貯蓄がないから、この学校には行けない……」という選択肢ダウンを防ぐためにも、ぜひ早いうちから少しずつ貯めていきたいですね。

◆誤解2:“公立校”でも、教育費が安いとは限らない
一般的に、学費は「私立校」は高く、「公立校」は安いものですが、実はそれ以外の“家庭学習費”も頭に入れておくことが大切です。

私立校では、「授業の範囲内で受験対策がされているため、塾に行かなくても受験対策ができる」というケースがあります。

一方公立校では、「受験対策は個人に任せる」というケースがあり、放課後に「大きなお金をかけて塾に通う」場合もあるわけです。

夏期講習や冬期講習などを含めると、公立校で学費が安いはずが、年間の教育費として大きな出費になることもあります(もちろん、私立校で受験対策をしていないケースや、公立校で受験対策をしているというケースもあります)。

また、子どもに「うちは公立校しかだめよ」と言っていても、合否結果次第で併願校の私立校に行くことになるかもしれません。さらに「留学やホームステイをしたい」「大学院に行きたい」という希望も出てくる場合も……。

子どもの進路希望をじっくり聞き、子どもの進学希望先のHPや口コミ情報を見るほか、早いうちから先輩パパママに様子を聞いておくこともオススメです。

子どもが小さいうちから教育費としてやや多めに貯蓄しておけば、選択肢を広げてあげられますし、もし教育費としてのお金が余ったら、夫婦の老後費用として使えるわけです。

◆誤解3:早いうちから“奨学金”をアテにするのは危険
時々「我が家は子どもの自主性を重んじています。将来は奨学金をもらい、社会人になったら自分で返させます(なので、親は教育費の準備は特にしません)」という話を聞くことがあります。

もちろん、ご家庭の方針があるとは思いますが、返済するときの状況を知っておくことも必要です。

奨学金には、大きく分けて、貸与型(借りた金額を、卒業後少しずつ返済していく)と給付型(返済する必要がない)がありますが、注意したいのは「貸与型」。

日本学生支援機構の貸与型奨学金で3カ月以上滞納している人が4.8%(平成26年度末のデータより、筆者計算)いるのです。

延滞が始まった理由のトップは「家計の収入が減った」(69.4%)、そして延滞が継続している理由のトップは「本人の低所得」(51.6%)でした(いずれも平成26年度のデータより)。

滞納している割合が4.8%というとわずかだと感じるかもしれませんが、人数にすると17万3190人です。それだけ多くの人が、借りた奨学金を返済できなくなっているという現状があります。

もちろんご家庭の事情や進路先の変更などにより、奨学金を借りるケースもあるかと思います。

ですが、お子さんが小さいうちは、可能な限り奨学金を前提とせず、あくまでも奥の手という意識を持って、大学入学まで時間があることを活かして毎月少しずつ貯めて準備しておくことが大切なのではと思います。

以上、教育費にまつわる誤解を3つお伝えしました。教育費がどれだけかかるか、どれだけかけたいかは、ご家庭の教育方針やお子さん本人の考え、希望、またお金の余力、老後資金準備とのバランスなどにより大きく異なります。

ご家庭でよく話し合いながら、お子さんの将来に向けてしっかり準備してあげたいですね。

文=西山 美紀(マネーガイド)