皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする「マネープランクリニック」。相談者は、収入が少なく親の介護費用や自分の将来が心配な35歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆収入が少なく、結婚しても生活が成り立つでしょうか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、収入が少なく、親の介護費用や自分の将来が心配な35歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
さばしろさん(仮名)
男性/契約社員/35歳
持ち家一戸建て

◇家族構成
父(無職/70代前半)

◇相談内容
いつも記事を参考にさせていただき、大変感謝しております。

相談内容ですが、親が70代で高齢で、今は自力で動けていますが、今後は介護の問題も出てくることにどう対処していけばいいのか悩んでおります。

現在は契約社員で、給料が少ない中での住宅ローン返済もあり、このまま同じ仕事を続けるか転職を考えるか、自身の老後への備えや、もし結婚して子どもを育てるとなった場合に生活が成り立つのか、なども不安に思っています。

ぜひお力をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

◇家計収支データ
さばしろさんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「さばしろ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)食費、電気水道料金について
食費(家で食べる分)と電気水道料金は父親が負担。相談者の勤務先での昼食は本人小遣いより捻出。

(2)ボーナスについて
貯蓄はゼロ。仕事で必要なもの(スーツ、他衣類)で消えてしまう。

(3)父親の収入、金融資産について
公的年金が月12万円。貯蓄500万円程度。実家の土地は父親名義、建物は相談者名義。

(4)住宅ローンについて
・ローンの名義/相談者
・借入額/1400万円
・借入年数/25年
・金利/1.38%、10年固定

固定資産税額(年額不明/父親負担)

(5)繰上返済について
これまで住宅ローンの繰上返済はしなかったが、手数料がかからない信用金庫から借りているため、ボーナスの半分と合わせて40万円を目標に毎年返済していこうと考えている。

(5)社会保障、契約年数について
厚生年金には加入している。現在、契約期間は3年で更新されたばかり

(6)ご家族について
相談者コメント「両親は子どもの頃に離婚しています。兄弟は2人いますが、1人は他県で暮らしていて、お盆や年末年始に来る程度です。もう1人は別居の一人暮らしで、家族とは仲が悪く、今後も帰ってくる予定は無いと思われるため、もし父の介護が必要になった時に頼ることができない状況です。

父がもし介護が必要となった場合には、介護費用については父の蓄えから優先して負担してもらい、底をついたときには自分の蓄えから負担するしかないと考えています。今後の自分の貯蓄は父の介護費用へのもしもへの備えとすることが目的でもあります」

(7)結婚について
予定はないが、機会があればしたいと考えている。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:マネープランで優先すべきは父親より自分
アドバイス2:転職による収入アップは実現させたい
アドバイス3:繰上返済より手持ちの現金を増やすべき

◆アドバイス1:マネープランで優先すべきは父親より自分
最初のご相談である、お父さんの介護についてですが、さばしろさんご自身も言われているように「介護費用については父の蓄えから優先して負担してもらい、底をついたときには自分の蓄えから負担する」というスタンスが正しいと考えます。

介護費用という不確定要素に対して不安を抱かれていると思いますが、公的介護保険の範囲で収まれば、自立支援にかかる費用に対して自己負担は原則1割(要介護度によって保険適用の上限額が異なる)で済みます。

もちろん、どの程度の介護が必要か、あるいはそれを求めるかで費用は変わってきますが、お父さんが負担できる範囲内をひとつの目安にすればいいでしょう。

幸い、お父さんは12万円の公的年金を受け取り、貯蓄もあります。介護費用について、今から深刻に考える必要はありません。実際に介護の必要性を感じたら、一人で悩まず、まずは地域包括支援センターや市町村の福祉課に相談してください。

繰り返しになりますが、大事なのはお父さんの介護について、さばしろさんがその経済負担を抱え込まないことです。親を思う気持ちは尊いものです。

しかし、一般的には子どもの人生の方が親より確実に長い。マネープランで優先すべきは、親ではなく自分であり、結婚をしていれば自分の妻や子どもなのです。

◆アドバイス2:転職による収入アップは実現させたい
次に、現在の仕事を続けるか転職をするかですが、マネープラン的には転職をオススメします。現在、手取り収入16万円から6万円貯蓄できているのは、食費や水道光熱費をお父さんが負担しているものの、それでも住宅ローンを抱えてこれだけの貯蓄率は立派。しかし、それにも限界があります。将来を考えれば、収入はやはり増やしていくべき。

例えば、結婚をしてお子さんが生まれれば、教育資金を用意しなくてはいけない。進路にもよりますが、大学費用だけでも1人400万円。幼稚園から高校までを含めれば、諸々の費用を含めて、少なくとも1000万円は見ておく必要があります。

すでに住宅はありますが、自分たちの老後資金も備えなくてはなりません。夫婦で働くとしても、妻の出産、子育てを考えれば、基盤となるのは夫の収入です。

お住まいの地域の求人状況等はわかりませんが、まだ後ろ向きになる年齢ではないはず。正社員ならどんな仕事でも就くべきとは言うつもりはありませんが、自分で正社員は無理と決めつけるのは、もったいないと思います。まずは、トライしてみてください。

◆アドバイス3:繰上返済より手持ちの現金を増やすべき
最後に家計について。家計管理はまったく無駄がありません。それどころか、あまりに抑えられていて、やや心配になるほどです。もしも、節約のため無理に食費を削るということがあれば、それはやめるべき。身体を壊しては元も子もありません。

また、データを見る限り、生活に遊びの部分が少ない気もします。ストレスをためないよう、もっと生活を楽しむ部分があっていいのでは。そのために、毎月の貯蓄が6万円から5万円に減ったとしても、少なくとも現状ではそれでもいいと思います。

加えて、現在、保障が何もありません。まだ独身ですが、医療保障は入院給付で5000円程度確保したいところ。単体の医療保険か共済でも構わないので、検討してください。

気にされている住宅ローンの繰上返済ですが、焦ってする必要はありません。このままでも完済が55歳のとき。上手にローンを組んでいます。もちろん、繰上返済をすれば完済時期が早まり、支払利息も減らすことができます。

しかし、今は現金を増やすことを優先させたい。何かあったとき、今の貯蓄額ではやはり心許ないからです。貯蓄目標としては300万円。そこまで貯めることができたら、その後は繰上返済に回してもいいでしょう。

◆相談者「さばしろ」さんから寄せられた感想
深野先生からいただいたアドバイスを確認いたしました。今後について大変参考になりました。アドバイスをいただいただけではなく、収入アップのために有効な資格を取るための勉強など、やれることも考えながらがんばっていこうと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部