米Mozillaは、10月20日(現地時間)にWebブラウザ Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 82」をリリースした。Firefox 81から4週間でのバージョンアップである。途中、10月1日にマイナーバージョンアップの81.0.1、10月13日には81.0.2がリリースされている。81.0.1では、以下の修正が行われた。

  • Blackboard.comでコースリストにおいてコンテンツ欠落問題の修正
  • HiDPI macOSシステムでのFlashコンテンツが正しくスケーリングされない問題の修正
  • さまざまな印刷関係の問題の修正
  • GPO経由で設定すると、レガシー設定が適切に適用されない問題の修正
  • オーディオのみのページ要素でピクチャーインピクチャーコントロールが表示される問題を修正
  • 切断などのアドオンがインストールされているとメモリ消費が大幅に増加し、時間の経過とともにブラウザの応答性の問題が発生する問題を修正
  • さまざまな安定性の向上

セキュリティアップデートは行われなかった。81.0.2では、以下の修正のみが行われた。

  • ネットワークプロトコル違反エラーページが断続的に表示され、Twitter.comが利用できなくなっていた問題の修正

以上である。したがって、今回のバージョンアップは、81.0.2からとなる。

Firefox 82のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 図1 Firefox 82へのアップデート

    図1 Firefox 82へのアップデート

アップデート後のFirefox 82は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン82にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 82をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 82のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能や変更点のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 82の新機能

続いて、新機能であるが、今回のリリースでは、Firefoxで動画より楽しく見るための多くの改善が導入された。具体的には、以下の通り。

  • ピクチャーインピクチャーボタンの外観などが新しくなり、この機能を見つけやすく、簡単に使用できるようになった
  • macOS向けには、動画再生中にショートカットキー(Option+Command+Shift+])で、ピクチャーインピクチャー状態に切り替えることが可能となった
  • Windows向けには、ハードウェアデコードされた動画にDirectCompositionを使うようになった。結果、ビデオ再生中のCPUとGPUの使用率が向上し、バッテリー消費量を抑えることが可能になった
  • 図5 新しいピクチャーインピクチャーボタン

従来は、動画上にボタンが表示されるだけであった。それが、より大きく、その動作内容も表示されるようになった。実際にピクチャーインピクチャーを使用すると、図6のようになる。

  • 図6 ピクチャーインピクチャー

今回の新機能導入の背景には、ピクチャーインピクチャー機能自体があまり認知されていないこともある。そこで、より積極的にその利用環境を明示することで、普及を図りたいとのことだろう。

また、ページの読み込みや起動時間でパフォーマンスの向上が図られた。

  • flexboxベースのレイアウトを使用するWebサイトでは、以前より20%の高速化を実現
  • セッションの復元では17%の高速化が行われた。中断したWebサイトの再開がより快適に行うことができる
  • Windows向けには、新しいウィンドウやタブを開く動作が10%高速化された

他には、

  • FirefoxツールバーからWebページをPocketに保存するときに、新しい記事を探索できるように
  • GPUを利用してWebページ表示のレンダリングを支援する機能のWebRenderも、対応OSやハードウェアが拡張されている。Windows 10では、ほとんどのハードウェアに対応するようになった

今回の新機能の多くは、パフォーマンスや使い勝手に寄与するもが多い。より快適なWebブラウジング環境が提供されている。このあたりは注目したいところだ。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で7件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が4件、上から3番目の「Moderate」が2件、もっとも低い「Low」が1件となっている。

「High」では、

  • usersctpでのメモリ解放後使用
  • crossbeam rust crateの境界チャネルにおける未定義の動作
  • Firefox 82とFirefox ESR 78.4で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox 82で修正されたメモリ安全性の問題

となっている。最高レベルの「Critical」はないが、早めのアップデートをすべきであろう。