毎日24時間、365日稼働している冷蔵庫は、家庭の電気使用量の約14% を占め、電気代が多くかかる家電です。冷蔵庫の電気代は、毎月いくらかかっているのでしょうか。冷蔵庫の電気代の計算方法や、さまざまな節約術をご紹介します。

  • 冷蔵庫の節約術を紹介します

    冷蔵庫の電気代を安く抑える方法を紹介します

冷蔵庫の電気代、1カ月でどのくらいかかっている?

冷蔵庫の電気代は、冷蔵庫の説明書に記載されている「年間消費電力」をもとに計算します。説明書がない場合は、ウェブサイトで冷蔵庫の型番を検索してみましょう。 冷蔵庫の電気代を知るために、以下の2つの計算を行います。

  • 年間消費電力 × 契約している1kWh(キロワットアワー)あたりの電力量単価=年間電気代目安
  • 年間電気代 ÷ 12=1カ月の電気代目安

※契約している1kWhあたりの電力量単価がわからない場合は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会による、新電力料金目安の「27円」で計算するとよいでしょう

つけっぱなしの冷蔵庫、電気代はどうやって計算する?

計算に必要な1kWhあたりの電力単価は、契約している電力会社やプランによって異なるため、ここでは東京電力の従量電灯Bプラン、30Aの契約の場合を例に計算してみましょう。

上記プランの場合、1kWhあたりの電力量単価は、最初の120kWhまでは19.88円、120kWh以上300kWhまでは26.48円、300kWh以上は30.57円と、電力量で3段階に変わります。

例として、3~4人のファミリー向けの冷蔵庫(470L)で年間消費電力が315kWh(※)の場合を考えると、電力量単価は30.57円になります。これらの値を用いて計算をすると、1カ月あたりの電気代目安は以下の通り。

315kWh × 30.57円 = 年間電気代 : 9,629円
→9,629円 ÷ 12カ月 = 1カ月あたりの電気代目安 : 802円

冷蔵庫の消費電力は季節や食材、開け閉めの回数によっても変わりますので、あくまでも目安とはいえ、電気代が結構かかっていることがわかります。

  • 大きい冷蔵庫ほど年間消費電力は小さい

    冷蔵庫の電気代は意外にかかります

(※)2020年発売の機種の年間消費電力をもとに計算。小数点以下は切り捨て。電気代参照機種/パナソニック「NR-F476XPV」

冷蔵庫のサイズと電気代は比例しない?

冷蔵庫は、大きいほど電気代が高くなると思われるかもしれませんが、大型タイプのほうが年間消費電力は小さくなる傾向があります。 大型冷蔵庫本体は高額ですが、その分、小型タイプよりも省エネ性能が充実しているため、電気代を抑えられるからです。

一人暮らしタイプとファミリータイプで電気代を比較

冷蔵庫のサイズごとに、上記の条件(東京電力の従量電灯Bプラン、30Aの契約)で電気代を算出し、比較してみました。

<1カ月あたりの電気料金目安>

  • 一人暮らしタイプの225Lの冷蔵庫(年間消費電力297kWh)の場合 : 約655円
  • 2~3人のファミリータイプ330Lの冷蔵庫(年間消費電力342kWh)の場合 : 約871円
  • 3~4人のファミリータイプ475Lの冷蔵庫(年間消費電力274kWh)の場合 : 約604円
  • 4人以上のファミリータイプ600Lの大型冷蔵庫(年間消費電力270kWh)の場合 : 約595円

※2020年発売の機種の年間消費電力をもとに計算。小数点以下は切り捨て。電気代参照機種/三菱電機「MR-WX60F」、日立「R-HW48N」、東芝「GR-S33S」、シャープ「SJ-D23F」

上記の計算結果より、一人暮らしタイプの小さい冷蔵庫よりも、3~4人以上のファミリータイプのほうが、消費電力量が小さく電気代を抑えられることがわかります。

冷蔵庫を購入する際には、配置するスペースに合わせるために、冷蔵庫の大きさに気をとられるかもしれませんが、年間消費電力に注意して選ぶことが電気代の節約につながります。

冷蔵庫はここ10年で消費電力が約半分に!

経済産業省・資源エネルギー庁の調査によると、401~450Lの冷蔵庫の年間消費電力は2007年が570~640kWh、2017年は290~320kWhとなっており、2017年製の冷蔵庫は消費電力が半減しています。

最新機種の冷蔵庫は10年前と比べると約49% の省エネ効果があり、冷蔵庫の買い替えは、電気代の節約に直結することがわかります。家族の人数や食材の買い置きの量などに応じた容積を考慮するなど、ライフスタイルに合わせて冷蔵庫の大きさや機能を選びましょう。

また、消費電力量は特に冷凍室の大きさに影響されますので、冷凍食品の買い置き量などを事前にイメージしておくことをおすすめします。

省エネ性能が高い冷蔵庫にはどんな機能がついている?

省エネ性能が高い冷蔵庫には、節電に効果があるさまざまな機能がついています。例えば、コンプレッサーやモーターなどを効率良く運転するインバータ制御のほか、庫内の温度を低く保つノンフロン真空断熱材、節電モード、LED照明といった機能があります。

おすすめの冷蔵庫の見分け方

省エネ家電には、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に定められた、「トップランナー基準」の達成度合いを示す指標である「省エネルギーラベル」がついています。

冷蔵庫の本体やカタログ、包装などの見やすいところに貼られている、省エネルギーラベルを確認してみましょう。

省エネルギーラベルには省エネ性マーク、省エネ基準達成率、エネルギー消費効率(年間消費電力量)、目標年度が表示されています。

省エネ性マークは、省エネ基準達成率100% 以上の製品にはグリーンのマーク、100% 未満の製品にはオレンジのマークで色分けされて、わかりやすくなっています。最新の冷蔵庫を選ぶ場合、冷却方法や定格内容積が同じであれば、省エネ基準達成率が高いものにするといいでしょう。

各メーカーの製品の省エネルギーラベルや省エネ性能の最新情報は、経済産業省・資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトでチェックすることができます。

  • 省エネ機能付きの冷蔵庫で電気代を節約する

    省エネ機能付きの冷蔵庫で電気代を節約する

知っておきたい冷蔵庫の節約術

冷蔵庫は、置き方や使い方によって節約効果が変わってきます。最後に、具体的な冷蔵庫の節約術をご紹介します。

壁や上部に適切な間隔を空けて設置

冷蔵庫は内部を冷やすために、本体から外部に向けて熱を放出しています。冷蔵庫の置き場所は、放熱の効率を上げるため、直射日光やガスコンロなどの熱源近くは避け、本体の上部や左右にメーカーが推奨する間隔を空けて設置しましょう。

冷蔵庫の上部と両側が壁や食器棚等に接しているより、片側のみが壁に接しているほうが、年間で45.08kWh、電気代約1,220円の節約ができます。

庫内の設定温度の変更

夏と冬では、冷蔵庫内が冷える効率に違いがあります。冬は外気の気温が低いため、庫内温度の設定を「中」や「弱」にすると省エネになります。

周囲の温度が22℃で、設定温度を「強」から「中」に変更すると、年間で61.72kWh、電気代は約1,670円の節約になります。

冷蔵庫内に物を詰め込みすぎない

大きな容量の冷蔵庫であっても、たくさん詰め込みすぎると、庫内の空気循環が悪くなり、余計な電力を消費してしまいます。

冷蔵庫内の物を半分にすると、年間で約43kWh、電気代は約1,180円の節約が可能です。

開閉回数は少なく、開けっ放しの時間を短くする

冷蔵庫のドアを何度も開閉したり、長く開けっ放しにしたりすると冷気が逃げて、冷蔵庫内を再び冷やそうとして消費電力がかかります。

開閉回数を半分にすると年間で約4kWh、電気代は約280円節約になります。

また、開けっ放しの時間を20秒から10秒間にすると、年間で約6kWh、電気代は約160円の節約が可能です。

温かい物をすぐに入れない

煮物やカレー、麦茶など、温かい食品や飲み物をそのまま冷蔵庫へ入れてしまうと庫内の温度が上がります。

周りの食材の温度を上げてしまう上に、庫内の温度を一定に保つために余分な電力を消費するため、温かい物は冷ましてから冷蔵庫に入れるようにしましょう。

冷風口をふさがない

冷蔵庫の冷風口の付近に食品を置いてしまうと、冷蔵庫内の空気循環が悪化して冷えにくくなります。

庫内の温度が下がらなければ、必要以上にフルパワー運転の時間が長くなり、電力を消費してしまいます。 冷風口の位置を確認して、食材の配置に注意しましょう。

冷蔵庫の電気代は、省エネ家電への買い替えや日々の使い方で節約できる

冷蔵庫の省エネ性能は年々進化していますので、長年使った冷蔵庫であれば、最新機種に買い替えることが電気代の節約につながります。

日頃の冷蔵庫の開閉回数を減らすことや季節に合わせて設定温度を変えるなど、使い方をちょっと意識することで節約につながりますので、使い方を見直してみましょう。