日本電気(NEC)は10月19日、社員個々が事業環境の変化を積極的に捉えプロフェッショナルとして成長・成熟していくための基盤となるという、社員の主体的なキャリア形成を支援するサービスを専門的に提供する、NECライフキャリアを100%子会社として設立し、2020年10月に営業を開始したと発表した。

NECは新会社を推進役として社員のキャリア形成やスキル開発などに関する各種施策を2020年10月から順次強化し、事業戦略の実行力強化に向けた適時・適所・適材の人材配置を一層加速するとしている。

主な取り組み内容として同社は、主体的なキャリア形成支援による成長機会の拡大及び、事業環境の変化に合わせた機動的な人材配置の2点を挙げる。

キャリア形成支援については、1)新たなキャリア支援プログラムの導入、2)ジョブマッチングの仕組みへのAI(人工知能)の導入、3)オンライン動画学習サービス「LinkedInラーニング」の導入の3点を柱としている。

キャリア支援プログラムとして、新たなプログラム群である「My Career Design」を2020年10月に導入し、社員が主体的に自らのキャリア形成に取り組む姿勢やスキル(キャリアオーナーシップ)を高めていくという。

また、キャリア面談やプログラムの強化に備え、キャリアコンサルティング技能士など国家資格・専門資格を持つ社内のキャリアアドバイザーを、現在の6人から20人程度に増員する。

ジョブマッチングへのAI導入に関しては、年間を通じて社員の職務経歴と各部門の募集ポジションを社内公開しマッチングすることで社員のキャリア形成を図る、2019年に導入した人材公募制度である「NEC Growth Careers」に、AIを使用したマッチングサービスを2020年度中に導入する。

職務経歴を公開する社員には推奨部門、募集部門にはマッチング可能性の高い人材リストをAIがそれぞれ自動的に提示することで、マッチングの一層の活性化を図るとしている。 LinkedInラーニングは、時間・場所を問わず多様な学習が可能といい、全社員を対象に2020年10月に導入して社員自らの成長・学びにつなげるとしている。

人材配置は、1)再教育によるスキル、コンピテンシーの開発強化、2)高度シニア人材の長期的な活躍の支援、3)役職定年制度の廃止の3点からなる。

スキルやコンピテンシーの開発強化に関して、事業の急拡大や見直しなどに伴う人材シフト時における人材マッチングから研修プログラムの設計・実施・学習度評価、キャリアコンサルティング、異動までの一連のプロセス全体をワンストップで対応するという「Re-skilling Camp」を2020年10月に導入した。

人材マッチング、研修、キャリアコンサルテーションの各領域に専門家を配置し、確実なスキル習得に加え、コンピテンシー(思考・行動様式)の変革を促進するとしている。

高度シニア人材の支援については、プロジェクトマネージャーを始めとする高度な技術的専門性や深い経験に基づくスキル・資格を持った人材を、同社グループ内外の職場に派遣・斡旋する取り組みを2021年度から開始する。

これにより、シニア人材が長期的に、かつ自分のライフスタイルに合わせた働き方で社会に貢献する機会を開拓する。

役職定年制度の廃止に関しては、年齢・性別・国籍などを問わず組織の各ポジションに常にベストな人材を登用するためとして、現在は56歳到達時としている管理職の役職定年を2021年度に廃止する方針だ。