そして未来へ…HKT48の次世代エース石橋颯&上島楓が盟友・工藤陽香の卒業を語る

今年9周年を迎えるHKT48。秋には新劇場のオープンも控え、HKT48はどう動き出しているのか…ドキュメンタリー形式で綴る短期集中連載がスタート。長年グループの活動を追い続けてきた元『週刊プロレス』記者で、『活字アイドル論』『ももクロ独創録』など多くの著書を持つ小島和宏氏がメンバーへの徹底取材を行い、HKT48の「今」に迫る。第7回目は、HKT48の未来を担う研究生に焦点を当てる。先日電撃卒業した工藤陽香について、また研究生たちの“野心”について…次世代エースの石橋颯と上島楓に話を聞いた。(毎週土曜日午前7時公開)

※<第6回“希望”田中美久がHKT48の新劇場オープンに胸膨らませる「新しい時代がはじまりそう」>はこちらから。

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10月12日。

5期研究生の工藤陽香(くどう・はるか)が卒業した。

次世代エースと目されていた存在だけに、ファンからも惜しむ声が相次いだが、それはメンバーも同じだった。

「今日、くどはるからお知らせがあります、というニュースを見て、なんだろう?と思っていたら、それが卒業発表でした」

そう語るのは工藤陽香との『いぶはる』として人気を博してきた同期の石橋颯(いしばし・いぶき)。つまりメンバーもファンと同じタイミングで卒業を知らされたことになる。

「私の中ではなんとなくですけど『ひょっとしたら卒業を考えているのかな?』という予感があったんです。だから『まだ辞めないよね?』『卒業するときにはちゃんと言ってね』って話してきて、はるちゃんも『いぶさんには言うよ!』って話してくれていたのに……でも、SHOWROOMでの話を聞いていたら『伝えようと思ったんだけど、なんて言えばいいのか言葉が見つからなかった』って。最後まではるちゃんは私たちの気持ちを考えてくれていたんだなってわかりました」(石橋颯)
 
HKT48では代々、同期同士によるペアが注目を集めてきた。
 


1期生の兒玉遥&宮脇咲良を筆頭に、2期生のめるみお(田島芽瑠&朝長美桜)、3期生のなこみく(矢吹奈子&田中美久)。彼女たちは早くから注目を集め、最終的には全員がセンターを張っている。
 
だからこそ、中学生という若さもあって「なこみくの再来」と呼ばれたいぶはるには、近未来センターの期待もかけられていた。

「5期生にとって、いぶはるの存在は大きかったです。公演でのMCも面白かったし、とにかくそこにいるだけで画になる。5期生にとって自慢のコンビだったし、ある意味、5期生にとって大きな武器を失ったな、という感覚はあります」
 
同じく5期生の上島楓(かみじま・かえで)は5期生全体を眺めながら、そう語る。この夏、19歳になった彼女は5期生の中ではお姉さん的な存在であり、4月にリリースされた新曲『3-2』では初の選抜入りを果たすなど、そのパフォーマンス力も大いに認められているのだが、彼女は選抜入りしてから、ずっと思い悩んできた。

「ありがたいことに選抜入りさせていただいたんですけど、コロナ禍で活動ができなくなってしまった。私は劇場での公演などでのパフォーマンスで力を発揮したかったんですけど、それもできなくなってしまいました。

自粛期間中はSNSから発信することが大切だとはわかっていたんですけど、私、SNSが苦手だったので……このまま選抜として、私はここにいていいのかな? とネガティブになっちゃいましたね。もっとSNSを頑張っているメンバーが選抜になったほうがいいんじゃないか、とか、周りにも申し訳ない気持ちになってきて……」
 
この連載でも新曲のセンターに抜擢された運上弘菜の苦悩の日々をお伝えしてきたが、せっかく新曲がリリースされたのに、一度もパフォーマンスを披露することなく、何か月も経過してしまったことで上島楓のように「私が選抜でよかったんだろうか?」という疑念を抱いてしまうメンバーが出てきても、たしかに不思議ではない。初選抜の実感もないまま、なにもできずに時間だけが過ぎていってしまうのだから……。



「でも、先日『@JAM』のステージで初披露させていただいて。めちゃめちゃ緊張したし、もう泣きそうになっていたんですけど、あのステージに立ったことで、やっと自分は選抜メンバーとしてここにいていいんだ、というか、少しは自信を持っていいのかなって思えるようになりました。
 
まだ私は研究生ですけど、いつまでも研究生のままではいられないし、いつかは必ず昇格したい。そのためにも研究生のうちにしっかりと実力をつけておかなくちゃいけないですよね。私はこうやって前向きになれましたけど、逆にはるちゃんが卒業することでいぶちゃんが心配になりました。はるちゃんがいなくなるだけじゃなくて、いぶはるも消滅することになってしまうので」
 
実際、工藤陽香が卒業を発表したとき、石橋颯のもとには上島楓から「大丈夫だよ。楓がいるよ」というメッセージがすぐに届いた、という。

「かえちゃんがいてくれるから、5期生はまとまっているんですよ。なかなかファンのみなさんには見えないところで、こうやってメンバーにも気を遣ってくれたりするんです。そして、私もいままでかえちゃんに甘えすぎてたなって。ダンスとかわからないことがあったら、かえちゃんに聞けばいいや、みたいな考え方だったんですけど、よく考えたら、かえちゃんだってやらなくちゃいけないことがたくさんあるわけで……私ももう中3だし、グループの中では(工藤陽香が卒業して)最年少になっちゃいましたけど、しっかりしなくちゃいけないなって。そういうオーラを出していきたいです、アハハハ!」
 
上島楓に話を聞くと「いぶちゃんは真面目だから、こういうときに自分を下げて、私を上げるんですよ。たしかにわからないことを私に聞きにくることもあるけど、そんなに多くはないですから。きっと家で相当、努力しているんでしょうね、リハーサルの段階で振りは完全に入っていることがほとんどなんです。最初は心配しましたけど、はるちゃんが卒業したことによって、いぶちゃんは強くなったと思います」。
 
現状、お客さんを入れてのイベントが難しい中、工藤陽香の卒業イベントは『はるちゃんを送る会』と題された配信にて行われた。
 
やっぱりファンの前で、できれば劇場で送り出したかった、という声も多く聞かれたが、配信を見て、むしろ、この形でよかったのかもしれない、とすら思った。
 


約2時間に渡る配信はすべて5期生の手によって作られた。
 
出演するのも5期生。MCを担当するのも5期生。そして、HKT48の卒業公演では恒例となっているメンバーの軌跡をまとめたVTRも、なんと石橋颯が作ったのだという。

「私ひとりではできませんでしたけどね。みんなに『はるちゃんと一緒の写真を送って!』ってお願いして、いま、お休みしている(長野)雅にも協力をお願いしたら、喜んで参加してくれたのがうれしかった。こういうところなんですよ。個々の気持ちをよくわかっているのが5期生のいいところなんです!」(石橋颯)
 
このイベントではいぶはるでの歌も披露したが、2人が選んだのはなこみくのオリジナル曲『生意気リップス』。これは「最後なんだから、泣いて終わりたくない」という彼女たちの意志もこめられた選曲だったが、そのパフォーマンスには視聴者の涙腺が崩壊した。
 
全員が集まることがなかなか難しい状況が続いてきた中、工藤陽香の卒業に合わせて、みんなが力を合わせて、ひとつのイベントを作り上げる。単なる思い出作りではない。これはもう2020年11月以降の5期生のための第一歩。これはきっと、工藤陽香からの同期に対する最後の置き土産だったに違いない。
 
自信を持った上島楓。

強くなった石橋颯。
 
そして、他のメンバーもそれぞれに新しい力を備えはじめていることが『はるちゃんを送る会』の画面からひしひしと伝わってきた。
 
同期がいつでも一緒にいることが当たり前ではなくなってしまったこの時代。大切な仲間を送り出すために集結した5期生たちは、もうすぐ新劇場のステージに再集結する。そこには新しいHKT48の「今」と「未来」がぎっしりと詰まっている。

「建物ができたとき、一度、見学に行ったんですよ。はじめての専用劇場ってだけで感動しちゃって、もう、そこにあるものがすべてすごく見えました。きっと、どこにでもあるものなんだろうけど、みんなで『これもある、あれもある。これもすごくない? あれもすごいよね!』って(笑)。もうワクワクしかないです!」(石橋颯)
 
でも、新劇場にとって、もっとも「すごいもの」になるべきなのはメンバーの成長した姿。それを5期生が体現してくれることに、見る側としても、もうワクワクしかない。

(つづく)

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