東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、2020年9月のIT・ソフトウエア業界のM&Aの発表件数は10件で、9月としては2008年以降の13年間では4番目。取引金額は約79億円で、9月としては2008年以降の13年間では6番目となった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に全業種のM&A発表件数が2020年8月、9月と2カ月連続で前年同月を下回っており、IT・ソフトウエア業界のM&A動向にも一服感が現れつつあるようだ。

  • IT・ソフトウエア業界 M&Aの推移

金額最多はSHIFTの約30億円

額が最も多かったのは、SHIFTがERP(統合基幹業務)システムの導入・保守業務を手がけるホープス(東京都中央区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は30億5800万円だった。

デジタルトランスフォーメーション(DX)化の流れの中で、需要が高まっているERP関連のサービス体制を強化するのが狙い。

金額が2番目に多かったのは、バンダイナムコホールディングスが家庭用ゲームコンテンツ企画・開発のカナダReflector Entertainment Ltd.(モントリオール)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は18億6400万円だった。

重要パートナーである同社を傘下に取り込むことで、欧米の家庭用ゲームで日本発タイトルと現地発タイトルのバランスのとれた商品構成を目指す。

金額の3番目はフリービットが、薬局向けソリューションを提供する子会社のフリービットEPARKヘルスケア(東京都渋谷区)の株式47.53%を、日本事業承継アントレプレナーズ(東京都渋谷区)に譲渡することを決めた案件で、譲渡価格は18億1100万円だった。

ネット関連のインフラやプラットフォームなどの中核領域に経営資源を集中するのが狙い。

9月のM&Aは、このほかに10億円未満が3件、金額非公表が4件あった。