【コロナ正月元年】おせち商戦は大混戦に オイシックスは注文数1.5倍、楽天はトレンド発表

新型コロナウイルスの影響で、今シーズンのおせちの販売は、EC、店舗ともに活況となりそうだ。楽天は10月1日、おせちの特集を開始したのと同時に、今期の商品トレンドとして、「プチ贅沢」「一人前」「好きなものだけ」とのポイントを挙げた。オイシックス・ラ・大地では、おせちの販売が前年の1.5倍で推移。スカイネットは、予約注文が10%増となっている。百貨店やギフト系のおせちもECにシフトしており、販売の出足は好調だ。モールの動向、販売会社、百貨店・ギフト系などカテゴリーに分けて、おせちの動向をまとめた。

【楽天】「プチ贅沢」「一人前」「好きなものだけ」3つの流行予測、売上1.2倍に
楽天は10月1日、年末商戦のおせちトレンドを発表し、「プチ贅沢」「一人前」「好きなものだけ」の3つが流行のキーワードになると説明した。トレンド発表と同時に、おせちの特集ページを開設した。

「プチ贅沢」は旅行を控える人が例年より多くなる中、例年よりも少し贅沢なおせちを楽しむ消費者が増えると予測している。


楽天市場では28万円以上するふぐとおせちのセット商品もある

「一人前」は、コロナの感染症予防の観点から、大皿料理を避け、取り分けが不要な小さなサイズのおせちのニーズが高まるというもの。

「好きなものだけ」は、ニーズの多様化、フードロスの流れから、肉だけ、海鮮だけなど「好きなものだけ」で作ったおせちの人気が上昇傾向にあるとしている。来年もこの流行は続くと予想している。

トレンド発表と同時に、楽天市場におけるおせちの流通額にも触れた。2017年と2019年で比較すると、約1.2倍に拡大したと説明。楽天市場で販売しているおせち関連商品数は2020年9月末時点で、約3万点あるという。

おせちの特集ページでは、人数や予算などの検索条件に加え、「洋風」「和風」「中華」などのテイスト、「冷凍」か「冷蔵」など、詳細な条件で商品の検索ができるように機能を拡充している。

【生鮮品EC】「Oisix」は前年比1.5倍 自宅用と実家用の購入提案も好評
オイシックス・ラ・大地が9月7日から先行受注を開始した「Oisix」のおせちが、昨年同期間に比べ1.5倍の販売実績となり、好調な滑り出しだ。「例年と比べて、お正月を自宅で過ごすと早く決めた方が増えている」(広報)と分析する。年末の帰省予定が立てられない家庭向けの、自宅用と実家用おせちをペアにした購入提案も好評だという。

冷凍食品を主力に食品宅配を手掛けるSLCreations(エスエルクリエーションズ)は9月3日から、ECサイト「オンラインストア」で、おせちの取り扱いを開始した。年末年始商戦に向けてタレントの彦摩呂を起用した動画の販促も始めた。お試しセットも投入して販売促進につなげる。

5分ほどの動画は彦摩呂が「エスエルクリエーションズ公式ユーチューブチャンネル」で配信している。クリスマス商品を各メーカーの担当者がプレゼンする内容だ。お試しおせち「六華撰」(ろっかせん、一段重の6品目入り、税込1980円)を投入し、新規会員獲得につなげる。

9月25日からは全国紙朝刊に恒例の全30段のカラー広告を出稿。新聞広告とウェブの両方で訴求している。


【スカイネット】予約数は10%増で推移 2万円以上の商品が人気に
おせち通販大手のスカイネットは、今年8〜9月における予約受注件数が前年同期間比10~20%増で推移した。例年より価格の高い高級な商品の人気が上昇している。

新型コロナウイルスの影響により、外出を控えている消費者が高級なおせちを選ぶ傾向があり、購入単価に変化が出た。「毎年1万5000円程度のおせちの予約が多いが、今年は2〜3万円台の商品の予約が伸びている」(同社)としている。

「巣ごもり需要」の拡大に合わせて、テレビCMの出稿量を増加。新商品を5品目追加して、予約を増やした。

2020年は、ネット注文が少しずつ増えているという。同社の通販の売り上げのうち、ECは4割を占めている。ECのうち、8割が自社ECサイト経由の注文だ。

和田陽介専務は、「カニの予約も前年より20%増で推移しているため、今年のおせち商戦の売り上げは前年より10%ほど成長すると見込んでいる」と話している。

【百貨店・ギフト】出足好調 「リモート」「個食」の需要高まる
ギフト、百貨店の各社が手掛けるおせちECは、販売初動の売り上げが順調に推移している。リンベルの9月度におけるおせちのEC売り上げは前年の3倍だった。近鉄百貨店は、受注初日の売り上げが前年比30%増と好調な出足となっている。帰省できず、家族と一緒に正月を過ごすことができない人がリモートで同じおせちを楽しむ「リモートおせち」などが今シーズンの特徴だ。あらかじめ一人分が取り分けられている個食のおせちにも各社は力を入れている。


出足1カ月で受注3倍
ギフト通販大手のリンベルでは、おせち通販が好調なスタートを切っている。9月1日から9月25日までの受注は、前年の3倍に増加した。受注は12月25日まで受け付ける。

国内各地の名産食品や、料亭と共同開発した「日本の極み」シリーズのおせちが好評だ。冷凍ではなく、冷蔵のおせちのため生産量に限界があり、前年の企画では完売していた。今年の売り上げは前年の2倍を計画し、生産量を増やした。今年は少人数向けの要望もあり、10月1日からは急きょ、税抜2万円(3人前)のおせちを追加した。

オンワードホールディングスは10月1日から、運営する食品通販サイト「オンワード・マルシェ」でおせちの通販企画を開始した。おせち通販企画は2回目。売り上げは前年実績の2倍に引き上げたい考えだ。

2021年のおせちは、家族がオンラインを介し、離れた場所でも楽しめる「リモートおせち」の需要が高まると見ている。料理があらかじめ1人分ずつ取り分けられている「個(こ)せち」のニーズも増えるとみて、商品ラインアップ拡充に乗り出している。

複数人用のおせちよりも、1人用のおせちの需要増加が予想されるが、離れて暮らす家族用に小さなサイズの商品を複数購入する可能性も高いため、顧客1人当たりの購入単価は高まるのではないかと見ている。


百貨店もECにシフト
東急百貨店も「リモートおせち」の需要を見据えている。2021年は帰省しにくい正月になるため、従来までの自家需要に加え、実家へ送って、同じおせちで新年を祝えるように品ぞろえを強化。個食のおせちや、ひと家族用(3~4人前)を中心にラインアップを拡充した。

販売は、店頭の「密」を避けるため、店頭分をデジタルへシフトしているという。「コスパの良いおせちを中心に動き出しは好調。受注数・受注金額ともに増加している」(業務推進室)。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、ECサイト「三越伊勢丹オンラインストア」のおせちECの売り上げ目標を前年比約25%増としている。展開するおせちの数は店頭を含め約380種類で、前年並み。今年のテーマは「Happy Sharing Osechi(ハッピーシェアリングおせち)」。幸せや思いを家族で分かち合える「つながる」おせちを紹介するとしている。

従来のラインアップに加え、コロナ禍での「巣ごもり正月」におすすめの「少人数おせちセレクション」、添加物やカロリーに配慮した「からだにやさしいおせち」などを展開。年末年始を自宅で過ごし、いつもより豪華な食事を楽しむニーズが見込まれることから、鍋や刺身、総菜メニューも一部をリニューアルしている。


近鉄は初日売上3割増
9月17日からECサイトで受注を開始した近鉄百貨店は、販売初日の売り上げが前年比30%増になった。10月1日に発表した9月の売り上げ速報によると、あべのハルカス近鉄本店のおせちはネット予約が増加し、順調に推移しているという。今年のおせちは、PB商品、個食・少人数向け、送料込み、広域配送に対応する商品を拡充。オードブルの展開も強化している。


「個食」おせちが急増(写真は1人用×3セット。近鉄百貨店)

小田急百貨店もEC経由の注文増を見込み、今期のおせち企画のEC売り上げは前年の2割増を目標としている。10月3日から予約販売を開始した。ネット予約限定で全品送料無料としている。メルマガ、ECサイトの会員に向けた周知や、検索順位の向上を図り、集客に向けた販促を行っている。