「ジャイアントキラー」と呼ばれたポルシェ│小排気量レーシングロードスターの究極進化形

「少ないほどよい」という古い格言を何よりも見事に体現しているのが、シンプルだが極めて効果的なポルシェ718 RSKスパイダーだ。有名な550の後継モデルで、ポルシェの小排気量レーシングロードスターの究極進化形となり、"ジャイアントキラー"と呼ばれるに至った。
 
最高出力より軽量さと敏捷性を優先したRKSは、多くのレースカテゴリーを次々に制し、大幅にパワフルなイタリアのライバルをパフォーマンスで上回ることもめずらしくなかった。

ジャイアントキラーと呼ばれるポルシェ
 
搭載するのは4カムの1.5リッター、タイプ547/3エンジンだ。550Aから引き継いだユニットだが、先代を上回る成績を目指してさらに改良が加えられた。1958年には、ジャン・ベーラとハンス・ヘルマンが初期モデルでル・マン総合3位、クラス優勝に輝く。ベーラは同年のタルガフローリオでも総合2位でフィニッシュし、翌年はエドガー・バルト/ヴォルフガング・ザイデルが総合優勝を成し遂げた。シングルシーターでオープンホイールバージョンの718はF1でも使われた。
 
写真のスパイダーは、シャシーナンバー718-031で、製造わずか34台の中で最後期の1台だ。ニュージャージーのモータースポーツ・エンスージアスト、バーニー・ヴィルが1958年に購入し、ボブ・ホルバートがステアリングを握って好成績を収めた。
 
ホルバートはSCCA主催のイベントで何度も上位フィニッシュを飾ったが、最大の成功は1959年のバハマ・スピードウィークで訪れた。2リッター以下クラスのガバナーズ・トロフィーで総合優勝、2日後のナッソー・トロフィーでも総合3位、クラス優勝に輝いた。ホルバートは1960年末までSCCAのレースで表彰台フィニッシュを積み重ねた。
 
現オーナーは、このシャシーナンバー718-031がレースキャリアを終えた1974年からずっと所有し、極めてオリジナルな状態で維持してきた。この718が公開オークションに出品されるのは初めてで、売りに出されること自体、約50年ぶりだ。
 
落札額は223万2500ドル(約2億3548万円)で落札された。