成績は両者2勝1敗に。豊島竜王は名人復位に向け大きな白星

第79期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の▲佐藤天彦九段-△豊島将之竜王戦が9月29日に東京・将棋会館で行われました。名人位を争った第77期名人戦七番勝負以来の対決となった本局を制したのは、豊島竜王でした。この結果、両者の成績はともに2勝1敗になっています。

相掛かりの将棋となった本局は、後手の豊島竜王が積極的に動いていきました。飛車で揺さぶりをかけて相手に悪形を強いてから、角を活用。大駒2枚で先に攻めの形を作ってから、自陣の桂を活用して5筋に勢力を集中させます。

佐藤九段も玉と飛車角で5筋の守りを固めますが、豊島竜王は巧みに攻めの手をつなげていきます。まず飛車を捨ててから、歩で敵陣を乱します。歩のたたきを2発入れた後に飛車を取り返し、大駒総交換を果たした局面は、豊島竜王が桂の駒損。しかし佐藤玉は金銀の守りから離れて露出しており、さらに桂頭には傷があります。一方の豊島陣にはすきがありません。豊島竜王が優位に立ちました。

佐藤九段は自陣をまとめ切れないとみて、攻め合いに活路を見出そうとします。しかし、豊島竜王の受けは的確でした。持ち駒をしっかりと自陣に投入して守りを固め、相手の大駒3枚の攻めをシャットアウト。攻防ともに見込みがなくなった佐藤九段が88手目を見て投了となりました。

この勝利で豊島竜王は2勝1敗に。前局敗れていた豊島竜王は、連敗せずに白星を先行させています。一方敗れた佐藤九段も2勝1敗の成績となりました。現在の暫定首位は3連勝の斎藤慎太郎八段ですが、長丁場のA級順位戦は始まったばかり。誰が挑戦者になってもおかしくはありません。

第77期名人戦七番勝負(写真)以来の対決は豊島竜王に軍配
第77期名人戦七番勝負(写真)以来の対決は豊島竜王に軍配